女性起業家への米国のVC投資が過去最高を記録

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PitchBookの最新データによると、女性が創業したスタートアップへのベンチャー投資は2019年に33億ドル(約3600億円)に達した。これは今年の米国のスタートアップエコシステム全体への投資額の2.8%に相当する。

割合は小さいが昨年からは増加した。2018年の女性起業家へのベンチャー投資は580件、30億ドル(約3300億円)で投資額全体の2.2%だった。なお、2017年は21億ドル(約2900億円)だった。2019年はあと3週間を残して、男女共同を含め創業者に女性が含まれるスタートアップの調達額は合計172億ドル(約1兆8700億円)で、ベンチャーキャピタル投資総額の11.5%となった。昨年は2000件で、それぞれ170億ドル(1兆8500億円)、10.6%だった。

資金調達データベースのCrunchbaseは、今年10月までに世界で200億ドル(約2兆2000億円)が女性または男女共同創業のスタートアップに投資されたと報じた。グローバルのベンチャーマネーの3%は女性創業の、10%は男女共同創業のスタートアップに投資された。

女性起業家、ベンチャーキャピタリスト、シリコンバレーなどの多様な支持者による努力にもかかわらず、女性起業家は男性と同等の資金を調達するのが難しい。VCの公平性の欠如は、VC側に女性がいないことに一部原因がある。VCファンドによる女性起用はまだ非常に少ない。

2019年のAxiosの分析によると、多くのVCファームが各職位に女性を増やそうとしているが、意思決定層の女性は10%未満だ。同分析によると、1088人の投資家のうち女性はたった105人だった。2018年は8.93%、2017年は7%であり、女性の割合は増加しているが、VC業界は依然として男性が支配的であることが証明された。

ベンチャー企業に自社発行株式管理ツールを提供するCartaは先月、第2回ジェンダーエクイティギャップ年次調査を発表した。男性起業家と従業員は依然として女性よりもはるかに多く株式発行による資金調達に成功している。Cartaの調査結果によると、スタートアップの保有株式数の64%、保有株式の価値が100万ドル(約1億1000万円)を超える人の80%が男性だ。32万人の従業員、約1万社、2万5000人の創業者のデータに基づく分析結果は、スタートアップに在籍する女性にとってはさびしい結果となった。

ベンチャー企業であるTideは今年、女性起業家に関する独自調査を実施した。調査対象は英国と米国の起業家。いずれの国でも起業家の多様性が昨今話題だ。Tideによると、女性の起業家が英国の大学から取得した403学位のうち、約4分の1がケンブリッジ大学とオックスフォード大学からだった。米国の起業家の場合、ほとんどがスタンフォード大学、MIT、またはハーバード大学からだった。つまり最終的に投資家からの資金調達に成功した女性起業家のほとんどはエリート大学の卒業生で、特定の社会経済的地位にいる。トップ大学出身でなければ、投資家にアクセスしやすいネットワークに入ることはできず、当然資金へのアクセスはもっと難しくなる。

VCの多様性への取り組みは女性の問題を超えて広がっている。確かに、女性起業家を支援する使命を掲げたファンドは多数ある。Female Founders Fund、BBG Ventures、Halogen Ventures、Jane VC、Cleo CapitalなどのファンドやReady Set Raise、XFactor Venturesなどのアクセラレータープログラムだ。だが有色人種などのマイノリティも資金確保に苦戦している。PitchBookやCrunchbaseなどのデータベースでは性別は記録しているが、人種を記録していないため、資金調達の人種間格差の規模を把握することは困難だ。

格差を埋めることを使命として、Harlem Capitalのような企業がマイノリティの起業家に投資したり、BLCK VCのような組織が黒人ベンチャー投資家にコミュニティーを提供しようとしている。Harlem Capitalを率いるニューヨークのチームは先月、4000万ドル(約44億円)の資金調達デビューを発表した。ダイバーシティに注力するファンドとしては過去最大級の規模だ。BLCK VCと同様にHarlemも、現在多数のディールメーカーが白人やアジア系男性によって占められているベンチャーキャピタルに、より多くのマイノリティを引き付けることを望んでいる。

「VC業界に均衡をもたらすには、我々のようなダイバーシティファンドが必要だ」とHarlem CapitalのマネージングパートナーであるJarrid Tingle(ジャリッド・ティングル)氏は先月TechCrunchに語った。

VCやテクノロジー業界の女性に焦点を当てた動きとしては、今年初めに最初の最高経営責任者にPam Kostka(パム・コストカ)氏を迎えたAll Raiseもある。テクノロジーエコシステムで女性を含めたマイノリティの存在感を増す試みを行ったこの非営利組織にとって、2019年は当たり年だった。All Raiseは今年、最初のリーダーと数人の従業員を迎えただけでなく、ロサンゼルスとボストンへの進出を発表し、VCコホートと呼ばれるプログラムを開始し、対面やオンラインの資金調達ワークショップ、年次会議、ネットワーキングセッションを開催した。

「女性は我々のサポートとガイダンスに飢えている」とAll Raiseのコストカ氏は10月にTechCrunchに述べた。「ムーブメントは勢いを増しつつある」。

女性が創業した大規模かつ成長中の「ユニコーン」スタートアップも今年、ムーブメントを推し進める一助となった。女性が率いる企業がシリコンバレーのエリートからの支援を得られることを証明したのだ。PitchBookは、評価額が10億ドル(約1100億円)以上の企業であるユニコーンクラブへの新規参入者の例として、女性が創業した2つの会社、GlossierとRent the Runwayを挙げた。

Glossierは、Sequoia Capitalがリードした3月のシリーズDで1億ドル(約110億円)を調達した。Tiger GlobalとSpark Capitalも参加した。このラウンドで、Emily Weiss(エミリー・ワイス)氏が率いる同社は12億ドル(約1300億円)と評価された。そのわずか数日後に、Franklin Templeton InvestmentsとBain Capital VenturesがリードしたRent the Runwayの1億2500万ドル(約140億円)の資金調達ラウンドのニュースが届いた。バリュエーションは10億ドル(約1100億円)だった。

最新データの数値は異なる可能性があるが、2019年に男性経営者が米国のベンチャーキャピタルマネーの85%以上を調達し、ベンチャーキャピタルの意思決定層の90%以上が男性だった。ベンチャーキャピタル業界は、現状ではまだボーイズクラブのままだ。

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(翻訳:Mizoguchi)