全地球測位システム

中国版GPSの完成間近、脱米依存へ

次の記事

LuminaryがAlexaデバイスでサブスクベースのポッドキャストネットワークを開始

中国は12月27日、来年上半期までに米国が運用する全地球測位システム(GPS)ネットワークの競合版を完成させ、米国のテクノロジーからの離脱のペースを加速させると発表した。

「北斗七星」の星座にちなんで名付けられた中国の「北斗」衛星ネットワークは、米国空軍のGPSと競合する最初のサービスとなる。日経アジアンレビューによると、中国のスマートフォンの70%以上がサービスを利用できる機能を有しており、すでに大規模なユーザー基盤を持っているといえる。

北斗ネットワークは、次世代通信サービスを支配するという中国の長期計画に欠かせないピースであり、中国の第5世代無線通信技術の進歩とあわせて、通信インフラをめぐる米国の覇権への大きな挑戦を象徴している。

AP通信によると、プロジェクトのディレクターであるRan Chengqi(ラン・チェンチ)氏が声明で、中国は2020年6月までに北斗システムを稼働させるために必要な最後の2つの衛星を打ち上げる予定だと表明した。

中国のGPSと第5世代の無線ネットワーク技術が連携して動作すれば、中国は新しい通信サービス市場で大きなシェアを占めることができる。

技術が連携して動作するかが武漢で検証されている。武漢では、5Gと北斗のマッピング技術の両方を使用して、28 kmの道路で自動運転の試験車を開発する。

日経によると、北斗はすでに120のパートナーがサービスとの連携に備え登録済みだ。パートナーはすべて、中国が推進する一帯一路構想の下で締結された契約に関連している。

Counterpoint Researchの最新データが示すように、2019年第2四半期の時点で、中国のスマートフォンメーカーは世界の売上の40%以上を占めている。

中国のGPSは段階的にサービスを拡げた。2000年に国内サービスが、2012年にアジア太平洋地域のオンライン地域サービスが始まった。

35の衛星で構成される中国のネットワークは、2020年までに現行の米国のシステムを上回る。

「影響力拡大という側面は確かにあるが、経済安全保障も考慮している可能性が高い」と英国王立防衛安全保障研究所のAlexandra Stickings(アレクサンドラ・スティッキングス)氏は昨年BBCに語った。「独自のシステムを持つ主な利点は、他の国に頼らずにアクセスを確保できる点だ。米国は紛争のときなどは、特定地域のユーザーからのアクセスを拒否できる」

宇宙は中国政府にとって戦略的に重要な分野だ。中国は、宇宙能力を活用した量子通信や世界初の月の裏側の探査など、すでに重要なマイルストーンを達成している。中国の現行の計画では、2020年に火星に探査機を送り、2022年までに宇宙ステーションを完成させる準備を進めている。

宇宙での活動が増加していることから、地上で緊張が高まるリスクがあるにも関わらず、米国は軍の一部門として「宇宙軍」を創設した。

日経は、中国国営メディアの報道として、2020年までに北斗に関連する商品とサービスの価値が570億ドル(約6兆3000億円)に達すると報じた。数字自体は漠然としているが、中国が新しい衛星測位サービスで生み出したい一種の経済力を示している。

中国による代替インターネット開発が現実味を帯びてきたことは非常に重要な意味をもつ

Googleの元最高経営責任者で、中国のテック企業に馴染みのあるEric Schmidt(エリック・シュミット)氏が、昨年のプライベートディナーで以下のように述べた(CNBCが最初に報道した)。

「中国のインターネットは、中国のGDPの大きな割合を占めており、その数字は大きい。米国のGDP比よりも大きいが、その数字も大きい。中国を『そう、あの国のインターネットはいい』くらいに考えているならポイントがわかっていない。グローバリゼーションとは、中国も恩恵を受けられるものだ。中国の製品やサービスも素晴らしいリーダーシップを発揮すると思う。本当に危険なのは、製品やサービスに加えて、検閲や統制など、政府主導のリーダーシップ体制が出現することだ。60を超える国々が関わっている一帯一路の現状を見てほしい。それらの国々が、ある程度の自由を失ってでも、中国が保有するインフラを採用し始めるのはほぼ間違いない」。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)