複数SaaSを繋ぎ定型業務を自動化、“プログラミング不要”のiPaaS「Anyflow」が約2.2億円を調達

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プログラミングなしで複数のSaaSを繋ぎ合わせ、業務を効率化できる「Anyflow」。同サービスを展開するAnyflowは1月8日、グローバル・ブレイン、グロービス・キャピタル・パートナーズ、Coral Capitalより約2.2億円を調達したことを明らかにした。

同社は昨年9月にCoral Capitalから2000万円を調達していて、今回はそれに続くプレシリーズAラウンドという位置付け。調達した資金を用いて組織体制を強化し、対応SaaSの拡充などプロダクト開発を加速させる計画だ。なお今回のラウンドを含めると同社の累計調達額は2.6億円となった。

9月にも紹介した通り、Anyflowは複数のSaaSをAPI接続によってつなぎ合わせることで定型業務の自動化を実現するクラウドネイティブiPaaS(integration Platform as a Service)だ。

たとえばSlackにコマンドを打ち込むと勤怠管理サービスに勤怠情報が自動で打刻される仕組みを作ったり、クラウドサインで締結した書類のPDFをGoogle DriveやDropboxなどに保存して自動でバックアップをとったり複数のSaaSにまたがる作業をAnyflowに「ワークフロー」として登録しておくことで、その都度手を動かす手間がなくなる。

Anyflowで代表取締役CEOを務める坂本蓮氏によると大きな特徴は「国内のローカルSaaSに対応していて、なおかつプログラミングレス(ノーコード)」であること。日本国内でこそiPaaSを手がけるプレイヤーの数は限られているものの、グローバルで見ればZapierMulesoftを含めこの領域のプロダクトも多い。ただし海外のiPaaSは日本のSaaSに対応していなかったり、日本語のサポートを受け付けていなかったりするので、そこにニーズがあるという。

現在はkintoneやChatwork、クラウドサイン、freeeなど数種類の国内SaaSに対応済み。SalesforceやSlackといった海外の主要SaaSも含め約10種類のサービスを連携させることが可能だ。

また一口にiPaaSと言っても、エンジニア向けのものもあればビジネスサイドのメンバーをターゲットにしたものもあり、用途や想定しているユーザー層も各サービスで異なる。

Anyflowの場合は「『エンジニアがやっていることを民主化する』ような形で、コードを書けない人でも簡単に作業を自動化できる仕組みがあれば便利ではないか」という考えから生まれたこともあり、ビジネス職のメンバーが自身で作業を自動化できることを重視。APIに関する知識やプログラミングスキルがなくてもiPaaSの恩恵を受けられる仕組みを作った。

同サービスはクローズドでのPoC期間を経て10月にベータ版をローンチし、現在までに約10社へ導入されている(トライアル含む)。ITスタートアップだけでなくメガベンチャーでの活用も始まっているそうだが、中には海外のiPaaSとAnyflowを併用している企業もあるとのこと。やはり国内SaaSへの対応や、ビジネスサイドのメンバーでも使いこなせる設計には需要があり「1社の中でも複数のiPaaSが導入される可能性があることは意外な発見だった」と坂本氏も話していた。

また“定型業務やワークフローを自動化する”という観点ではiPaaSはRPAにも近しいが、前回の記事でも詳しく触れた通り、それぞれの特徴や得意分野が異なるため「完全にリプレイスするというよりは(用途に応じて)使い分けられていく」というのが坂本氏の見解だ。

RPAはレガシーなシステムを対象とする場合には使いやすい反面、SaaSのように頻繁にアップデートがあるプロダクトには必ずしも向いていない(ロボットが都度止まってしまうようなケースがある)。そのためすでに社内でRPAツールを導入している企業からAnyflowを併用したいという問い合わせもあるという。

Anyflowは昨年「Incubate Camp 12th」や「B Dash Camp 2019 Fall」で優勝するなど界隈で注目を集めた影響もあり、9月からこれまでで約200件の問い合わせがあったそう。ただ現時点では各顧客に対して担当者が細かく現状や要望をヒアリングするなど比較的ハイタッチな運用をしていて、実際に活用まで至っている企業はその中のごく一部だ。

今はプロダクトマーケットフィット(PMF)を図っている段階のため、顧客と密に連携しながらプロダクトを作り込んでいるが、徐々にビジネスサイドの体制を強化しながらセールスにも力を入れていく計画。ある程度セルフサーブ(ユーザーが自発的にプロダクトを試しながら理解を深めて使いこなしていく形)で成長していけるように、チュートリアルなども含めた使い勝手のアップデートも進める。

9月にはクラウドサインと連携。国内SaaSへの対応は順次進めていく計画だという

直近の注力ポイントは連携SaaSの拡大とレシピ数の拡充。今後はSmartHRやSansanなどもカバーしていく予定だ。

「主にプロダクトの開発強化に投資をしてまずはPMFを目指していく。1番のメインは対応SaaSを増やすことだが、複数のSaaSに対応していても『それらを連携させることで、どんなことができるのか』がわからなければ始まらない。レシピとして具体的なユースケースをどんどん貯めていくことで、ユーザーが素早く簡単に業務効率化を実現できる体験を作っていきたい」(坂本氏)