Twitterの新しい返信制限機能でトランプは批判を隠してしまわないか

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もし政治家が、Twitterに支持者からの返信だけを表示して、その他の人たちが会話を論評できないようにしてしまえるとしたらどうだろう?これは、Twitterが追加を予定している「Conversation Participants」(会話参加者)機能に潜むリスクだ。間もなくテストが開始されるが、それを使えば、自分のツイートに返信できる人を、すべての人、フォローまたはメンションした人、すべて禁止のいずれかに限定できる。

たいていの人にとって、この返信制限機能は、荒らしや嫌がらせを排除する役に立つだろう。しかし残念なことに、これは加害者ではなく、被害者に責任を押しつける対策だ。悪い人間を突き止める代わりにTwitterはツイートを壁で囲んで、知らない人たちから逃げるように私たちに求めている。Twitterをここまで力強く成長させた、自然発生的ながら礼儀正しい不特定多数の人たち同士の返信の連鎖を縮小してしまう恐れがある。

しかし、人々の監視から逃れたい政治家にとってこれは、そのツイートや政策が万人に支持されているかのように見せるための道具になり得る。自分にへつらう者の返信だけを自分のツイートの下に表示させるようになれば、それを通して読む人は、全員の意見が一致しているように感じられる。それでは、意見のマーケットプレイスというTwitterの価値が台なしになってしまう。

この問題について、そして政治家など特定の人物の返信制限機能の使用を禁止するつもりはあるのか、TechCrunchはTwitterにコメントを求めた。Twitterは、第1四半期にこの機能のテストを行い、利用状況をモニターし、実際の運用開始前までに必要な改善を行うことにしている。同社からは以下の声明が送られてきた。

「私たちは、自分で始めた会話を自分で管理する手段を増やすことで、人々がTwitterで安心して会話に参加できるよう手助けしたいと思っています。2020年の早期のうちに、ツイートへの返信に関するさまざまなオプションを実験する所存です」。

1月8日、TwitterのSuzanne Xie(スザンヌ・シェ)氏がCESで発表した内容によれば、新しい「会話参加者」機能の仕組みは以下のようなものだ。ただし、この仕様はテスト期間中に変更される可能性がある。ツイートをすると、それに返信できる人を限定するオプションが示される。そこは、誰でも返信できるが、ツイートを書いた本人が特定の返信を隠したり、見る人が非表示の返信を表示に切り替えられる現行の方式とは異なる。会話参加者機能には、次の4つの選択肢がある。

  • Global(全体):あらゆる人を許可する
  • Group(グループ):このツイートであなたがフォローまたはメンションした人のみを許可する
  • Panel(パネル):このツイートであなたがメンションした人だけ許可する
  • Statement(発言):返信を禁止する

想像してほしい。トランプ大統領が自分のツイートを「グループ」のみに設定したとしたら。自分を支持してくれて、それを理由に大統領がフォローした人、たとえば大統領の息子や、FOX NewsのSean Hannity(ショーン・ハニティー)氏や、選挙キャンペーンの仲間だけに返信を許すとしたら、大統領の話をファクトチェックする批評家や彼の政策に反論する人たちをまとめて排除できる。彼のツイートは非難から保護され、信奉者のためのエコーチャンバーのフィルターバブルが確立される。

知らない人から返信が嫌がらせになることがあるのは事実だ。しかし、それは強力なポリシーと、規約の違反者には的確な罰則を与えるという一貫した姿勢で個別に対処するのが筋だ。それをせず、幅広い人たちからの返信を止めてしまうという考え方は、政治家の絶え間ない嘘と偽情報の垂れ流しを助長してしまいかねない。

また現実問題として、それでは嫌がらせを止めることはできず、単に移動させるだけだ。善良な一般の人たちの開かれた討論の場は狭まるが、嫌がらせをしようという人間は、それでも目標を攻撃できてしまう。特定のツイートで返信を禁じられた人でも、それを書いた人に直接ツイートするのは自由だ。ツイートした人のことを別のツイートで書き立てたり、ツイートのスクリーンショットを撮って話題にすることもできる。

米国の法律では、政治家が意見が異なるという理由から公開討論会での政治家の意見を聞けないように市民に不公平に処遇することを禁止できる。この裁判所の決定に従えば、トランプ大統領がソーシャルメディアで特定の人をブロックすれば違法となる。しかし、このTwitterの新しいツールなら、ツイートを読むのも、別の場所でそれを書いた人に反論するのも、書いた人が相手をフォローしないことも自由なので、ブロックとは異なり、不公平な処遇には当たらない。「会話参加者」機能の使用は許される。この問題を法廷に訴えることもできるかも知れないが、賢明なる判事たちは、その訴えを憲法違反と見なすだろう。

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繰り返しになるが、だからこそ、嫌がらせから逃げるための小さな臨時のシェルターをユーザーに作らせるのではなく、Twitterは自身のコミュニティーを再び洗濯する必要性を検討すべきなのだ。私が2017年に提案したように、十分なエンゲージメントや電話番号とのリンクがない新規アカウントからの返信やメンションのブロックを考えるべきだ。アカウント停止の基準を少し下回る程度(これも疑問が残るが)の嫌がらせの返信を送った者には、中間的な「一時停止」の罰則を新設するという方法もある。

過去10年間に荒らしに翻弄されてきたTwitterの弱点と、偽情報が常態化することで脅かされる新しい政治情勢が組み合わさり、安全性を確保しようとするTwitterの試みを台なしにしている。

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(翻訳:金井哲夫)