ソフトバンクは大赤字のポートフォリオ企業間の衝突に介入していた

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ソフトバンクは、ポートフォリオ企業同志が競争して莫大な赤字を積み上げる現状にとうとう業を煮やし、合併の可能性を探ることも含めて密かに介入をしていた。

ともあれ、米国時間1月30日のFinancial Timesの記事によれば、同社は昨年、UberとDoorDashの合併を取りまとめるようと努力していたという。このときは合併交渉はまとまらなかった。両社ともソフトバンク(ソフトバンク・ビジョン・ファンド1号)から多額の投資を受けており、料理の宅配事業で激しく競い合っている。

Uber Eats2019年第3四半期期の純収入3億9200万ドル(約427億円)に対して、同期の調整済み赤字は3億1600万ドル(約344億円)にも上っている。この赤字の大海に比べるとDoorDashが予測している2019年の通年の赤字である4億5000万ドルでさえ穏当な額に見える。両社が合併すれば赤字幅が圧縮できることは間違いない。株式上場維持路線であろうと非公開化して現在の会社評価額を維持する路線であろうと、現在よりはるかに強い立場で臨めるだろう。

Uberが株式公開後、株価維持に苦しんできたことはよく知られている。現在の株価は公開直後の高値に比べて半額だ。DoorDashも人気を集めたものの最近大型資金調達に成功していない。がっぷり四つに組んだまま競争を続けているこの2社が合併することにはメリットがある。両社が同一の大株主を持っていることを考えればなおさらだ。

カオス状態は他にも

UberとDoorDashはSoftBankのVision Fundからのキャッシュを元手に互いにレンガを投げつけてあっている唯一の例ではない。本日のWall Street Journalの報道によれば、ラテンアメリカではいずれもソフトバンクが大株主である企業間の競争が激化しているという。

ラテンアメリカでUberはライバルのRappiや中国の滴滴出行(Didi Chuxing)などの挑戦を受け激しい値下げ競争に巻き込まれている。しかしここに奇妙な現象がある。この競争者グループの最大株主はいずれも同一の会社、日本のソフトバンクグループなのだ。ソフトバンクはトータルで200億ドル(約2兆1800億円)をこれら3社に投じている。

ユニコーン(評価額10億ドルのスタートアップ)が次々に生まれる前の時代には「1つのベンチャーキャピタルは競争関係になり得る複数のスタートアップに投資してはならない」という金言があった。1つの会社に投資して、同じく自分が投資している別の会社を叩くのを助けるのは道理に合わない。ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資はこのルールを無視した結果、南北アメリカ大陸でベンチャー投資の大失敗の見本のような状態に陥った。ちなみに、米国で有名なベンチャーキャピタルであるSequoia CapitalもUberと滴滴出行の双方に投資しているのだが。

これがソフトバンクがDoorDashがUberに統合される可能性を探った背景だ。実現すればすくなくとも頭痛のタネが1つ減るわけだ。しかし次に同社はUberと滴滴出行がライドシェアリングという本業でバッティングする現状をどうにかさばかねばならない。またラテンアメリカでUber EatsとRappiが繰り広げている破壊的競争を止めさせる方策を考える必要がある。

ライドシェアリングと料理宅配の各社をすべて合併させ単一の巨大企業とするのがソフトバンクの立場からの理想だろう。もちろんこんな合併はどこの国だろうと反トラスト法による規制にひっかかかる。それでも赤字と収入を一箇所にまとめれば財務書類を大幅にわかりやすくする効果はあるだろう。

画像:Tomohiro Ohsumi (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook