スマートスピーカーでの買い物は思ったほど伸びていないとの報告

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eMarketerが米国時間2月4日に発表した報告によると、米国の消費者は音声による買い物には予測に反して即座に飛びつかなかったようだ。消費者は、スマートスピーカーを自宅に置いたことには満足しているが、音楽をかけたり情報を聞いたりといった単純な目的で使用するのがほとんどで、なかなか買い物には使われていない。確かに音声で買い物をする人の全体数は増えている。しかし、事前の予測よりも増え方がゆっくりなだけだとアナリストたちは解説している。

今年末までには、自分のスマートスピーカーで買い物をしたことのある人の数は2160万人になるとeMarketerは予測している。これは、2019年第2四半期に予測された数を下回る。当時は2360万人に達するとされていた。

だが重要なのは、スマートスピーカーで買い物をする人の数は増えているということだ。今年は、米国でデジタル機器を購入した人のうち10.8%がスマートスピーカーで買い物をするという、ひとつの目標を達成する可能性もある。

2019年から2021年に米国でスマートスピーカーを買う人の人数と、デジタル機器購入者のうちの割合。黒がスマートスピーカーの購入者(百万単位)、赤がデジタル機器購入者に占める割合。上記の暦年期間にスマートスピーカーで音声による買い物を少なくとも1回行った14歳以上の個人を対象としている(eMarketer 2019年12月)

eMarketerは、予測よりも数の伸びが遅い原因として、セキュリティーに不安を持つ消費者はスマートスピーカーやそのメーカーを完全に信用していないなど、いくつかの要素を挙げている。消費者の多くは、購入を決める前に商品を目で確かめられるよう、画面と組み合わせて使いたいとも考えている。AppleとGoogleは、画面とスピーカーと音声アシスタントを内蔵したスマートホーム・ハブで、その問題に対処した。しかし、すでに古いタイプのEchoやGoogle Homeを持っていて、新しく買い直す気になれないという消費者もいるはずだ。

さらにこの報告で、ユーザーがオーディオを聞く割合(81.1%)と質問をする割合(77.8%)の推定値が引き上げられた。

「出前を注文したり、レシピを調べたり、ゲームをしたり、スマートスピーカー用アプリが数多く存在しますが、その能力を完全に引き出すためには、もうひとつ、特別なステップを踏み出さなければならないことに、多くの消費者は気付いていません」とeMarketer主任アナリストVictoria Petrock(ビクトリア・ペトロック)氏は言う。「むしろ、オーディオを再生したり、天気を調べたり、質問をするといった直接的なコマンドに留まっています。それがデバイスの基本的な機能だからです」。

利用状況ごとの米国のスマートスピーカー利用者、スマートスピーカー所有者のうちの割合。上から、オーディオを聞く人、質問する人、買い物をする人、スマートホームの操作をする人、バイヤーなどの利用も少なくとも月に1回それぞれの目的でスマートスピーカーを利用しているあらゆる年齢層の個人を対象とする(eMarketer 2019年12月)

公正を期するために言えば、こうした予測はスマートスピーカーの利用状況を完全に示すものではない。例えば、商品を買い物リストに加えるようAlexaに命令して、後でインターネットで購入するという消費者も多い。だが、それは音声による買い物には数えられていない。むしろ、スマートスピーカーは、いろいろな命令の聞き役であり、後で買いたいという消費者の意図を受け付けるが、実際の購入行動はとらないというだけだ。

とはいえ特にAmazonは、音声による買い物の可能性をうまく生かしきれていない。音声コマンドとAmazonでの買い物と結びつければ、簡単に実現しそうに思えるが。言葉を聞いただけ勝手に購入してしまう数々の問題に神経質になっているからかも知れないが、Amazonは音声による買い物の機能を率先して開拓してこなかった。音声による買い物を日常化する、または簡単な言葉で1回限りの買い物を定期購買に進めさせる方法は、Amazonならいくつも思いつくはずだ。

Amazonは、Honey(現在はPaypal所有)のような機能群の開発も可能だろう。値引きやセールの有無を常に見張っていて、EchoのオーナーにAlexaの通知プラットフォームを使って伝える。またはAmazonのコンパニオンアプリのスキルを使ってもいい。ユーザーの日々のフラッシュブリーフィングに追加するのもいいだろう。例えば「あなたがウォッチしている商品は50ドル値引きされました。現在の価格は◯◯ドルです。購入しますか?」という具合だ。

コンパニオンは商品の在庫状況を監視して、好きなブランドの商品が入荷されたときに知らせたり、コンパニオンアプリにおすすめとして写真を送ったりもできるだろう。ところが、Alexaの音声による買い物は、まったく退屈なままだ。ここを改善しなければ、買い物機能はいつまでたっても消費者から敬遠され続ける。

eMarketerは2月4日に、スマートスピーカーの利用状況の新たな予測値も発表した。米国のスマートスピーカー利用者数の2020年の予測は、8450万人から8310万人に下方修正されている。普及がやや鈍化するという見通しだ。

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(翻訳:金井哲夫)