Sony Innovation Fundが日本、米国、EUに続きインド拠点強化、出資企業同士の連携も進める

次の記事

コンテンツ連動型広告のGumGumが24億円調達、M&A戦略を追求へ

ソニーグループでスタートアップなどへの投資業務を担当しているCVCであるSony Innovation Fundは2月17日、都内で発表会を開催。Sony Innovation Fund本体(1号ファンド)と大和証券グループの大和キャピタル・ホールディングスとの合弁会社であるInnovation Growth Ventures(2号ファンド)の現状と成果について説明した。

Sony Innovation Fundの投資・運営責任者およびInnovation Growth Ventures 代表取締役を務める土川元氏

発表会には、Sony Innovation Fundの投資・運営責任者およびInnovation Growth Ventures 代表取締役を務める土川元氏が登壇した。同氏は、日本興業銀行、メリルリンチを経てソニーに入社。ソニーではIR部門長やM&A部門長兼事業開発部門長を務めていた人物。Sony Innovation Fundの投資・運営責任者に就任する前の2014年〜2016年にはソニーモバイルのCSOとして社内の構造改革を担当していた。

Sony Innovation Fundではこれまで6000社のスクリーニングを実施し、2000社以上の候補企業と面談したうえで、約60社のスタートアップに出資している。出資の決定については、ソニー社内に投資委員会を設けており、土川氏のほか、ソニーコンピュータサイエンス研究所の北野宏明氏、AIロボティクスビジネス担当執行役員の川西 泉氏、知的財産。事業開発プラットフォーム担当常務の御供俊元氏、R&Dセンター研究開発担当の執行役員である服部雅之氏、R&Dセンター担当執行役戦略補佐の平山照峰氏の6名が名を連ねる。

2016年7月に設立されたSony Innovation Fundの1号ファンドは、ソニー本体のポートフォリオを利用したファンド。ファンド規模は100億円、1社あたりの最大投資額は3億円として、主にシードやシリーズAといったアーリーステージのスタートアップへ投資している。具体的には、自動運転技術を開発してるティアフォーや、世界各地の場所を3ワードで指し示すジオコーディング技術を擁する英国拠点のwhat3words、たこ焼きなどの調理ロボット開発を手掛けるコネクテッドロボティクス、ロボアドバイザーのウェルスナビなど、TechCrunch読者におなじみの企業も多い。

what3wordsのCEOであるChris Sheldrick(クリス・シェルドリック)氏は昨年のTechCrunch Tokyo 2019にも登壇した

ティアフォーの創業者でCTO、Autoware Foundationの理事長を務める加藤真平氏もTechCrunch Tokyo 2019に登壇

2号ファンド(Sony Innovation Fund by IGV)は、ソニーと大和証券グループが50%ずつ出資したInnovation Growth VenturesをGPとするファンド。ファンド規模は160億円、1社あたりの出資額は最大10億円で、主にミドル、レイターステージのスタートアップへ投資する。具体的には、医療系ドローン開発のMATTERNET(マターネット)、香りセンサーを開発するアロマビット、インドのバンガロール拠点で同国でのレンタカーサービスを展開するZoomcarなどへ出資している。なお、MATTERNETとアロマビットの2社は1号ファンドでも投資実績がある。土川氏よると、1号、2号ファンドの切り分けは企業価値50億円が分岐点とのこと。MATTERNETは、米宅配大手のUPSと連携して医療サンプルの空輸などを手掛けている。アロマビットは、匂いを解析するスタートアップで、同氏によるとこの分野をやりきっているスタートアップは少ないことから2号ファンドでの投資も決めたそうだ。

関連記事
UPSがドローンスタートアップのMatternetと組んで医療サンプルを輸送
ニオイ可視化センサーのアロマビットがソニーの新設ファンドから1億円を追加調達

Sony Innovation Fundでは注目する分野に対しては「面」での投資を進めており、モビリティー分野では自動運転、カーシェア・ライドシェア、新興国対応、物流、エッジコンピューティング、インフォテインメントなどに幅広く投資している。メディカルでは、有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズ(メディカルアンメットニーズ)、検査・先進治療、医療物流などのスタートアップを支援しているそうだ。

スタートアップとの協業事例としては、共同研究できる企業、ソニーの顧客になりそうな企業、バックオフィス業務を支援する企業と、ソニーのリソースを活用した事業を展開している。具体的には、ウェルスナビはソニー銀行と連携しているほか、LittlstarのVR動画ビューアーであるVR CinemaはPlayStaton 4に搭載されている。what3wordsはインドでレンタカーサービスを展開するZoomcarとの連携を深めている。

今年の注目分野としては土川氏は、ドローンとメディカル、スポーツの3分野を挙げた。ドローンは前述のMATTERNETなどの躍進、メディカルとスポーツはカバー範囲が重なることも多い点で注目しているとのこと。また、現在Sony Innovation Fundの拠点は、本社機能を有する東京のほか、シリコンバレーとニューヨークの北米、ロンドン、ドイツ、イタリアのEU、中東ではイスラエルにあるが。今後はインド拠点の強化を目指すとのこと。なお、東南アジアやアフリカへの投資についてはまた体制が整っていないとのこと。地域別の投資実績としては、件数では日本が41%、米国が37%、EUが18%、イスラエルが2%、その他2%。投資額では、日本が33%、米国が28%、EUが30%、イスラエルが2%、その他7%となっている。