1台の人工呼吸器を4人で同時に使える3Dプリント可能な器具をFDAが認可

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米国の病院では人工呼吸器の不足が目の前に迫り、すでに危機的状態となっているが、症状が重篤化し入院が必要な新型コロナウイルス(COVID-19)患者が増加すれば、さらに深刻な事態となる。だからこそ、新たにFDA(米食品医薬品局)から非常用として認可を受けたこのシンプルな器具(ソースコードが無料公開されており病院で3Dプリントできる)が、最前線で対応している人たちの負担を最小限に抑える鍵となるかも知れない。

Prisma Health(プリズマ・ヘルス)のVESper(ベスパー)は、信じられないほどシンプルな3口のコネクターだ。これで1台の人工呼吸器を最大4人までの患者が同時に使えるようになる。この器具は、現在のISO規格に準拠した人工呼吸器本体とチューブに適合する。ウイルスやバクテリアが他の患者に感染しないよう、フィルター装置も接続できる。

VESperは2つ1組で使用する。人工呼吸器の吸気側にひとつ、呼気側にひとつを装着する。またこれをつなげることで、最大で4人の患者の治療が可能になる。ただしすべての患者の酸素供給量、酸素濃度、空気圧などすべての設定要素が同じで同じ臨床治療を行う場合に限られる。

この器具は、緊急治療室勤務のSarah Farris(サラ・ファリス)医師によって考案された。夫でソフトウェア・エンジニアのRyan Farris(ライアン・ファリス)氏は、彼女からこのアイデアを聞くと、最初のプロトタイプをデザインして3Dプリントした。Prisma Healthは、求めに応じてVESperのプリント仕様書を提供しているが、FDAが使用を認めた緊急時に限って使うよう注意していただきたい。つまりこれは、あくまで最後の手段として作られたものなのだ。FDAが定めた基準に適合する人工呼吸器がすべて塞がっていたり、患者の命をつなぐための器具や代替手段がない施設などでの使用に限定される。

FDAの緊急時使用許可(EUA)を受けたこれらの器具は、プロトタイプであること、そして実際に使ってみた結果を報告することが条件であることを十分に理解しておく必要がある。そうしたデータが、その有効性の検証に役立ち、安全と有効性のためのさらなる開発や改善に供されるのだ。

現地で3Dプリントするためのデータを提供するだけでなく、Prisma Healthでは3Dプリンターが使えない医療施設にプリントしたもの送るための資金の募集も行っている。南カリフォルニアの医療系基金Sargent Foundation(サージェント・ファウンデーション)がいちばんに寄付をしてくれたが、Prisma Healthは、研究の継続と新しい器具の開発のためのさらなる寄付を求めている

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(翻訳:金井哲夫)