サンゴ礁
ケンブリッジ大学

3Dプリントで作られた「バイオニックコーラル」がサンゴ礁の光合成を模倣する

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サンゴ礁の大量絶滅は地球規模の惨事だが、有機体としてのサンゴ礁のこれまで成し遂げてきた成功の圧倒的な規模は、科学に教訓を与えている。その好例が、ケンブリッジ大学の研究者たちが作った3Dプリントによる「バイオニックコーラル」だ。それは、壊れやすい微生物のための足場以上のもので、むしろ微生物自身で構築されている。

3Dプリントで作るサンゴの話は実は2年前にもあり、そこでは別の研究者たちが、サンゴのような複雑な形状の構造物をプリントして、それを本物のサンゴやそのほかの生き物が育つための基盤(ソリッドベース)にすることを提案した。それは良いアイデアだが、サンゴには単なるソリッドベース以上のもの役割がある。

実はサンゴは、サンゴ自身の有機体とその中に住む藻類との、高度に進化した共生体だ。藻類は光合成によって宿主のために糖を作り、サンゴは藻類に安全な生活環境を与える。そして興味深いことに、サンゴは光の収集と方向変えを極めて効率的に行う。この共生関係は何百万年にもわたって高い生産性を維持してきたが、海水の温度上昇と酸性化によって、成功に必要な微妙なバランスが崩壊した。

ケンブリッジのチームが理解したのは、サンゴの微細な生態系の模倣に成功するためには、住民である藻類のために太陽光を捉えて拡散する特殊な能力の模倣も必要だということだ。彼らはサンゴの構造を細部まで調べて、それを顕微鏡レベルまで再生することに成功した。ただし彼らが使ったのは耐久性のある剛体の培養基ではなく、実際に使用したのは生きているゲルのようなものだ。

このプロジェクトの研究論文を書いたケンブリッジの化学者Daniel Wangpraseurt(ダニエル・ワンプラサート)氏は「我々が作った人工サンゴの組織と骨格は、ポリマーのゲルとセルロースのナノ素材でドープしたヒドロゲルを組み合わせて、生きているサンゴの光学的性質を模倣している」という。

藻類にもやはり、その混合液が注入された。研究者たちは、その言わば生きている物質をプリントした。このようなテクニックは、医療分野では既にテストされており、医療目的で利用されている。例えば、インプラントするための器官や組織の部分をプリントする。しかし今回の場合は特定の大きな形をプリントするのではなく、表面に当たった光の到達距離を最大化する、極めて複雑な内部構造を制作しなければならない。しかもそれは非常に高速に行われないと、藻類は露光によって死んでしまう。

そうやってバイオプリントされた構造体は藻類の理想の家になり、通常の媒質の何倍もの速さで成長する。しかしそれは、次のステップがサンゴを超高速に育てることだという意味ではない。むしろ、これがサンゴの復活に寄与する、と考えられる根拠は何もない。しかしその一方では、このようなシミュレーションが、サンゴと藻類のパートナーシップが実現している生態系や栄養補給系の、より深い理解につながるかもしれない。

また、藻類を倍速で育てられることには商業的魅力もある。Mantazと呼ばれるスタートアップが、この技術の短期的な利用を追究しようとしている。

画像クレジット:Cambridge University

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa