iPaaS

クラウドRPAとiPaaSの二刀流で企業の業務自動化を支援へ、BizteXが6.3億円調達

次の記事

新型コロナの接触者追跡とはどのようなものか?

クラウドRPA「BizteX cobit」を展開するBizteXが、iPaaS(integration Platform as a Service)領域にプロダクトを拡張することで顧客の業務自動化を加速させる取り組みを始めるようだ。

同社は4月20日、みやこキャピタル、KDDI(KDDI Open Innovation Fund 3号)、TISおよび既存投資家のWiLを引受先とする第三者割当増資と日本政策金融公庫や商工組合中央金庫からの融資により総額で6.3億円を調達したことを明らかにした。

BizteXでは昨年10月よりiPaaS領域のプロダクトを一部の既存顧客に対してステルスで展開しており、5月にも一般公開をする予定。今後はクラウドRPAとiPaaSを組み合わせることで企業のワークフロー改善を広範囲でサポートしていく計画だ。

なお今回の調達はBizteXにとってプレシリーズBラウンドに該当するもの。同社では昨年8月から11月にかけてシリーズAラウンドでWiLやジェネシア・ベンチャーズ、グロービス経営大学院から4億円強を調達しているほか、2017年7月にも同じくジェネシア・ベンチャーズより4000万円を調達している。

クラウドRPAで定型業務を自動化、累計で1000社近くが活用

BizteXでは2017年11月にローンチしたBizteX cobitを通じて、さまざまな顧客企業における定型業務の自動化を支援してきた。

RPA領域のプロダクト自体はすでに多数存在するが、BizteX cobitはクラウド型でスピーディーかつ安価に導入できるのが特徴。月額10万円からのSaaSモデル(初期費用は別途30万円必要)で、即日よりすぐに試せる。複雑なプログラミングスキルも必要なく、現場の業務担当者が身らの業務を効率化することが可能だ。

売上規模100億円以上のミドルエンタープライズ企業がメインの顧客層で、昨年秋頃からは大手企業への導入も加速しているとのこと。業界上位トップ10のうち7割に導入されている広告業界を筆頭に、人材や不動産、IT関連など幅が広がっている状況で、2020年3月末時点でPoCを含めた累計利用社数が1000社近くにまで増えた。

また既存企業によるアップセルも好調だ。BizteX cobitでは作成したロボットのアクション数(ステップ数)によってプランが変わる設計のため、ヘビーユーザーが増えたことで収益面でも大きく成長し、その点が今回のラウンドでも評価されたという。

「1つの現場から小さく始めて、少しずつ広げていくモデル。たとえば営業部門のマネージャーの『この業務を自動化したい』という要望をRPAで実現し、そこから他の業務でも自動化できるものがないか自動化コンサルのような形で伴走しながら進めていく。ミドルマネージャー層の共通課題は、人をあまり増やせない中でいかに売り上げを伸ばしていくか。その点、RPAを用いた業務効率化はニーズにもマッチしていて、部署横断で使ってもらえる事例も増えている」(BizteX取締役CSOの武末健二朗氏)

クラウドRPA+IPaaSで「Automation Tech」を推進

既存事業であるクラウドRPAの拡大と並行して、BizteXでは密かにもう1つのプロジェクトを進めてきた。それが冒頭でも触れたiPaaS領域の新プロダクトだ。

iPaaSについては知っている人も多いとは思うけれど、複数のシステムを連携させて業務自動化やデータ連携を実現するプラットフォームのこと。近年はSaaS型のシステムが増えていることから、APIを用いてSaaSをつなぎ、業務効率化を支援するiPaaSが国内外で注目を集めている。

米国ではZapierWorkatoなど複数のプレイヤーが参入するレッドオーシャンになっているほか、日本国内でも1月に2.2億円を調達したAnyflowなどこの領域にチャレンジする企業が徐々に増えてきた。

BizteXでも昨年からクラウドRPAとAPIコネクタを融合したiPaaSプロダクトを非公開でリリースし、一部の企業へ提供をスタート。現在は一般公開に向けた準備も着々と進んでいる状態で、5月中の公開を予定しているそうだ。

同社の強みは自社でクラウドRPAを保有していること。たとえばRPAを用いて加工したデータをAPI連携でストレージ系のサービスに保存したり、他のSaaSプロダクトにアップロードしていったりといったように、RPAと組み合わせることで多様な業務を自動化できるのが既存のiPaaS事業者と異なる部分だという。

武末氏によると実は当初から社内でもAPIの活用に関する議論はあったそう。ただ当時はAPIの仕様が自動化したい業務と合っていないことや、用途が制限されていることが多かったため「いかにAPIを使わない形で業務自動化を実現するか」にトライしてきた。

「広告業界の例だと、多くの企業が使うディスプレイアドのサービスの管理画面自体はAPIがあるのでそれを活用した業務自動化もできなくはない。ただAPIが昔の設計で用途が制限されていて、そのまま使っても顧客の自動化したい業務に全然応えられないということが過去にあった。これは1つのシステムに限った話ではなかったので、(APIを活用するのではなく)RPAで対応するようにしていた」

「一方で近年はSaaSの台頭でAPIエコノミーも広がってきており、APIを使うことで簡単かつスピーディーに自動化できる業務なら、わざわざロボットを作らなくてもいい場面も出てきた。顧客が実現したいのは業務の自動化で、その手段がRPAなのかiPaaSなのかはそこまで重要視されていない。クラウドRPAとiPaaSの二刀流で、ニーズに合わせて適切なやり方を提案するのがベストな選択肢だと考えた」(武末氏)

時には「RPA vs iPaaS」のように対比構造で紹介されることもある2つのテクノロジーだが、それぞれ得意な領域やできることが異なり、この2つを組み合わせることで「顧客の自動化したいニーズを広範囲にカバーできる」というのがBizteXのスタンスだ。

同社ではクラウドRPAやiPaaSなどを通じて業務自動化を実現するテクノロジーを「Automation Tech」と定義し、今後はSaaSベンダーや販売パートナーとの連携を強化しながら「Automation Tech群戦略」を推進していく計画。新規投資家のKDDIやTISともプロダクトの拡販に向けて連携する方針だという。

「新型コロナウイルスの影響で国内企業でもリモート化が進んでいる。社内システムをオンラインやクラウドに移行する波が広がれば、分散化が進むことでシステム間のデータ連携やデータの転記を簡単にしたいというニーズも増えるはず。こんな状況下だからこそ、クラウドRPAやiPaaSを用いた業務の自動化によって顧客のワークスタイルを支援していきたい」(BizteX代表取締役の嶋田光敏氏)