現場の医師同士をつなぐ実名相談サービス「Antaa」が2.3億円を調達

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医師同士の質問解決プラットフォーム「Antaa」を展開するアンターは5月11日、XTech Ventures、ニッセイ・キャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、三井住友海上キャピタルおよび個人投資家を引受先とした第三者割当増資により総額約2.3億円を調達したことを明らかにした。

Antaaは現在1万人を超える医師が登録している医師向けのコミュニティプラットフォームだ。このプラットフォームには医師同士のQ&Aサービス「AntaaQA」のほか、ユーザー間でスライド資料を共有できる「Antaa Slide」、医師向けのオンライン情報サイト「Antaa Media」、動画によるオンライン勉強会やイベントなどを開催するコミュニティ「Antaa Members」、医師向けの経営塾「Antaa Academia」など複数のサービスが含まれる。

主な収益源は医療機関や自治体の広報支援、製薬企業や医療機器メーカーのマーケティング支援など法人向けのもの。医師にはAcademia以外のサービスはすべて無料で提供している。

軸となるAntaaQAは、医療現場で何か困ったことがあった際にその領域に精通した医師にオンライン上で質問できるのが特徴。質問を投稿する際に「何科の相談なのか」「緊急を要するのか」をタグで設定することで、該当するユーザーに通知が届く仕組みだ。

たとえば当直担当の内科の医師が深夜に「子宮筋腫で入院中の患者がお腹を痛がっている」状況に直面した場合、AntaaQAを使えば産婦人科の医師から対応方法をレクチャーしてもらえる可能性がある。

アンター代表取締役で整形外科医の中山俊氏によると、実際に以前同じようなケースでAntaaQAが問題解決に役立ったことがあったそう。従来であれば緊急時は病院内の他の医師や知り合いにかたっぱしから電話をするなどして対処するしかなかったが、Antaaはそれに代わる有力なオプションになりえるという。

もともと同サービスは中山氏が実際に医療現場に立つ中で「1人の医師の能力だけでは限界を感じる瞬間があった」ことから、医師同士が繋がって情報共有できる仕組みの必要性を感じて立ち上げた。

「医師が不足している地域の医療機関や、都心であっても夜間医療の対応時などは現場の医師がたった1人で医療を行わなければいけない場面がある。自分自身も奄美大島出身で、もし島に戻って医師として働くとしたら、1人で診療しないといけない時が必ずあるはず。そんな時に医者同士が繋がって、助け合うことができればいいのではと考えた」(中山氏)

当初はプロダクトのニーズを探るためにLINEのコミュニティを開設し、中山氏自身がLINE@を通じてオンライン上で医師の質問に答えることから始めた。すると約1年ほどで100人ほどの医師から質問を受けるようになり、その過半数は直接面識のないLINE上でしか繋がりのない医師だったという。

「相談を続けているうちに直接会ったことのない医師からも『もし中山先生が何か困ったことがあったら聞いてください』と言われることが増えた。双方向でお互いが相談しあえるサービスには一定のニーズがあると感じ、ベータ版の開発を決めた」(中山氏)

現在Antaaは学習意欲の高い若手医師が多く集まるコミュニティになっていて、ユーザーの80%近くが30代以下の医師たちだ。その中には地方の若い開業医など周りに相談できる同業者が少ないユーザーも一定数存在し、場所の制約を超えてオンライン上で相談やディスカッションができるAntaaが重宝されているという。

直近では新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受け、2ヶ月弱でユーザーが約2000人増加した。日々新しい情報や論文が出てくる中で「最新の情報を医師同士が共有し合う場所として使われることが増えてきている」(中山氏)そうだ。

今回調達した資金はAntaaQAの機能性を改善するための開発に用いるほか、動画などのコンテンツ拡充などにも投資をしながら、医師にとってさらに使い勝手の良いサービスを目指す。