食事と楽しめるノンアル飲料のD2CブランドYOILABOが2500万円を調達

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「世界からお酒の不公平をなくす」をミッションに掲げ、食中酒ならぬノンアルコールの“食中ドリンク”を開発する、福岡発・D2CブランドのYOILABO(ヨイラボ)。ファーストプロダクトとして飲食店向けに展開する「Pairing Tea(ペアリングティー)」は、食事とのペアリングを楽しんで飲めるように開発されたクラフトドリンクだ。

YOILABOは5月14日、福岡拠点のVC、ドーガン・ベータをリード投資家に、ほかエンジェル投資家3名を引受先とした、総額約2500万円の資金調達実施を発表した。投資には下戸のためのコミュニティ「ゲコノミスト」を発足した藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス代表取締役社長)も加わっている。

YOILABO代表取締役CEOの播磨直希氏は、前職では釣り情報サイトやコミュニティアプリを提供するスタートアップのウミーベ(2018年8月にクックパッドが完全子会社化)に在籍。「起業を目指して全力で取り組める事業を探していた」という。

自身は「お酒が好きでめちゃくちゃ飲む」という播磨氏は、いろいろな事業領域を検討した結果、「人生をかけて取り組める」テーマとしてお酒の世界を選択し、2019年4月にYOILABOを立ち上げた。しかし、そこでストレートに酒類に関わるのではなく、なぜノンアルコールのブランドに取り組むことにしたのだろうか。

「この領域で一番課題を抱えているのは、お酒を飲めない人だ。お酒の不公平があることで、飲める人も飲めない人も、お互いに気を遣わなければならなくなっているのが今の状況。日本人の半分ぐらいはお酒が飲めなかったり、アルコールに弱かったり、お酒の味が好きでなかったりするのに、今あるノンアルコール事業のアプローチはビールや日本酒のイミテートばかり。これらは基本的にはクルマの運転などで飲めない状況にある『飲める人』向けのものでしかない」(播磨氏)

ソフトドリンクもあるとはいえ、ウーロン茶、コーラ、スパークリングウオーターなど、そのラインアップは限られる。「高級レストランの食事とでも合うような、飲まない人もおいしく楽しめる食中ドリンクとして、Pairing Teaを開発した」と播磨氏はいう。

「今回の投資にも加わっている藤野氏やゲコノミストコミュニティ周辺の人に聞くと、『飲めそうなのに』と言われて傷ついたり、アルコールを飲む人と同じ金額を割り勘で払わされて怒っていたりする人がたくさんいる。レストランの店員に『単価の低い客』と見られることも多いが、そもそも払う気があったって、食事にふさわしくて単価の高いドリンクが存在しないので、払えないのが現状なのに」(播磨氏)

Pairing Teaは、ワインや日本酒などでよく用いられる食事とのペアリングの概念を、ノンアルコールドリンクへと落とし込んだクラフトドリンクだ。ワインと同様にマリアージュを考慮し、科学的根拠に基づいて開発されている。茶葉をベースに複数種のスパイス、ハーブ、果汁などをブレンドし、タンニンの度合いや香りなどを食べ物に合わせて選んだ。

最初のラインアップでは、3種類のPairing Teaを用意。オードブルとのペアリングを想定した「FOR ANY DISH」、白身魚料理とのペアリングを想定した「FOR WHITE FISH」、赤身肉料理とのペアリングを想定した「FOR RED MEAT」の3種は、ラインで使うことでフレンチのコースに合うように作られているが、フレンチ以外のメニューでも食事に合わせて楽しむことができるという。

FOR RED MEATを例に取ると、赤ワインのような渋みを持つダージリンからタンニンとマスカットのような香気を引き出し、ハイビスカスの華やかで上品な酸味をプラス。ジンの原料にも使われるジュニパーベリー、カカオを香り付けに加えている。適度なタンニンと程よい酸味が脂をさっぱりさせ、ジューシーな肉料理を堪能できる一杯に仕上がっているそうだ。

価格は飲食店向けの卸売り価格となるため非公開だが、店での販売価格をワインと同じ程度に設定できるようにしているとのことだ。ソフトドリンクと比較すると高価に思えるが「茶葉やスパイス、果汁の配合などにこだわり、かなり手間をかけている」と播磨氏。「D2Cブランドとして、OEMで工場に製造を依頼しているが、本来、小ロットでは受け付けてもらえない量を生産してもらっている」とのことだった。

新型コロナウイルス感染拡大による営業自粛などもあって、飲食店の向けに開発したPairing Teaの出荷も遅れていたが、6月からの本格展開に向けて、現在、YOILABOでは特別価格での予約販売を開始している。また、今後はコロナ禍の影響も鑑みて、料飲店だけでなく一般向けにも商品を開発中だという。

播磨氏は「飲めない人がこの事業を手がけても良かったのかもしれないが、飲める側だから、飲める側としてできることがあると考えた」と話している。形態としては、サービスや場の提供など、いろいろ検討したそうだが、最も早くアプローチできそうなのが、プロダクトとしてのノンアルコールドリンクだったので、そこから着手したという。播磨氏はYOILABOをテクノロジースタートアップと位置付けており、「直販でデータ収集も行い、ナレッジを蓄積することで、新しい商品やサービスの開発に役立てる」と語る。

「ファーストプロダクトはPairing Teaと名付けたが、お茶だけにこだわっているわけではない。アルコール飲料市場はシュリンクする一方で、ノンアルコールドリンク市場は拡大している。ただし、今あるイミテートだけでは、飲み会など知らない世代が増える中で、拡大する市場をカバーしきれなくなる。飲まない人が食事と楽しめるドリンクとして、真っ先に浮かぶブランドになれるように、調達資金をもとに事業を強化していく。またドリンクだけでなく、サービスや場など、いろいろなアプローチで取り組んでいきたい」(播磨氏)