シリコンバレーは黒人が経営する企業の支援で組織的人種差別と戦うことができる

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米国で警察の暴力に対する大規模な抗議活動が第2週目に突入するいま、この国の人種格差には短期的、長期的に思い切った対応が必要であることは火を見るよりも明らかだ。しかし、こうした変化を求める声の大半は、シリコンバレーが人種格差の改善に果たせる、果たすべき役割を軽視している。

たったいま、活動家たちは国が2つの重要な手段を講じることを正当に要求している。州と地方自治体のリーダーを投票によって辞職させること、そして黒人所有の企業を支援することだ。どちらも必要な措置だが、後者の重要性はほとんど注目されてこなかった。リーダーは政策を変えることはできるが、米国における構造的人種間格差(Center for American Progress記事)の大部分は経済的問題だ。黒人労働者が農業、家事、サービス業などの低賃金職に就いている割合は著しく高い。

彼らは失業する率もはるかに高い。平常の経済状態(American Bar Association記事)でもそうだが、パンデミック下では特に(Economic Policy Institute記事)。スタンフォード大学の研究によると、黒人が所有する企業のうち、最初の年に融資を受けたのはわずか1%だった(Stanford Institute for Economic Policy ResearchのPDF)。これは、白人所有企業の7分の1だ。

つまるところ、新法を制定して古い法律を廃止したとしても、何十年も続く投資判断の偏見はすぐには変わらない。ソーシャルメディアで黒人企業製品の購入を促進する草の根運動が広まっているのはそれが理由だ。WeBuyBlackeatOkraなどのアプリは、商店やレストランを集めた中央データベースを作り、Bank Blackなどの組織は黒人所有のファンドや黒人所有企業への投資を働きかけている。

しかし、ハッシュタグがトレンドから外れ、抗議デモに人が集まらなくなり、Twitter(ツイッター)のフィードが有名人のゴシップやリアリティショーへのリアクションに戻った時に何が起きるのか?

多くの組織が心配しているのは、ジョージ・フロイド氏の事件の抗議がメディアに採り上げられなくなったら、構造的人種差別を改善することへの関心が消えてしまうこと(Vox記事)だ。アプリは黒人企業のてこ入れには役立つかもしれないが、企業は顧客の購入・消費習慣が根本的に変わることに頼っている。新型コロナウイルス(COVID-19)とフロイド氏の死亡が重なった最悪の状態の中、消費者行動に大規模な変化が表れる可能性がある。しかし、それは自然に起きるものではなく、仮に起きたとしても十分ではない。

黒人企業に対する投資不足を構造的に修正するためには、巨大テック企業が立ち上がる必要がある。今すぐに。

中でも、Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)のアルゴリズムが暗黙的に人種差別するのを防ぐ「アルゴリズムによる偏見(Vox記事)」に関する議論が最近、数多く交わされる一方で、「アルゴリズムによる平等」を積極的に要求する議論は十分とはいえない。もし、例えばテック企業が自社システムに内在する偏見を取り除くこと(TIME記事)に集中するだけでなく、黒人企業や黒人投資家や黒人の声を積極的に「引き上げる」ようにアルゴリズムを再構築したとしたらどうだろうか。

この変化は必然的に、黒人の作った製品やレストランがAmazon(アマゾン)やGrubhubなどのランディングページに掲載される割合を増加させる可能性がある。少々地味だが、SEOの仕組みに手を入れて、ユーザーの人種や地域の違いを取り込むよう改善することもできる。 Pandaのようなアップデートの背景にあるアルゴリズム構造(Search Engine Journal記事)を流用して、黒人に関係するコンテンツ消費を体系的に推進することができれば、黒人の声や黒人の企業が米国消費者の間にもっと広まるだろう。

ちなみに、こうした変更がユーザー体験を損なうと考える正当な理由はない。最近のBrookings(ブルッキングス)研究所によると、マイノリティーが所有する店舗は白人所有の店舗と比べてYelp(イェルプ)で同じレベルの評価を受けている(Brookings記事)。しかし、マイノリティーの店は白人の店と比べて成長が遅く、集客も良くない。その結果、年間39億ドル(約4300億円)の損失が黒人企業全体で生まれている。この明白な(そして不必要な)不均衡を解決するために、Yelpは優れた実績のある黒人所有企業を強化するようにアルゴリズムを変更すればいい。そうすれば優れた黒人起業家の年間収入が著しく増えるだけでなく、黒人経営の中小企業に対する投資の可能性も高まる。

最低でも、テイクアウトとデリバリーサービスでマイノリティー企業に短期的なアルゴリズム優位性を与えることで、新型コロナウイルスが引き起こした巨大な経済的打撃を軽減し,パンデミックのために閉店した40%のマイノリティー所有店舗(Washington Post記事)を救うことができるはずだ。

George Floyd(ジョージ・フロイド)氏、Breonna Taylor(ブリオナ・テイラー)氏、Ahmaud Arbery(アマッド・アーバリー)氏、その他この国の破綻したシステムによって不当に命を落とした多数の黒人を取り戻すためにできることは何もない。我々にいまできるのは、説明責任と行動を要求することだ。この国の政治指導者たちにも、Eコマースを作っているシリコンバレーのCEOたちにも。

思いやりのある、データに基づく改変によって、オンラインプラットフォームは黒人の起業家、クリエイターたちに競争の機会を与えることができる。それはあまりにも長い間否定されてきた平等だ。

【編集部注】筆者のWill Walker(ウィル・ウォーカー)はハーバード・ロー・スクールのJD候補であり「Incomprehensible!: A Study of How Our Legal System Encourages Incomprehensibility, Why It Matters and What We Can Do About It」の著者の1人でもある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook