Madison Reed

元VCが経営するヘアカラー製品販売のMadison Reedが急成長中

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Amy Errett(エイミー・エレット)氏の会社、Madison Reed(マディソンリード)は自宅で使える女性向けのヘアカラー製品を販売している。魅力的な事業のようには聞こえないかもしれない。しかしながら実際には、かなり永続性のあるビジネスだ。創業7年になる同社は、パーソナルケア業界を独占してきたL’Oreal(ロレアル)のような大企業のシェアを少しずつ奪ってきただけではない。L’Orealは現在300億ドル(約3兆2500億円)規模のマーケット(statista記事)を長い間コントロールしてきたが、過去100年で最も急激に経済が下降している時期である今、Madison Reedは新規顧客を引きつけてきた。

実際、従業員300人のMadison Reedの年間売上高は1億ドル(約108億円)を超えていて、2020年後半に黒字を達成する見込みだとエレット氏は話す。同氏は以前、VCファームのMaveron(マベロン)を運営し、現在True Ventures(トゥルー・ベンチャーズ)のベンチャーパートナーという副業を持っている。おそらく黒字達成により、遠くない将来に同社はIPOの有力候補になるだろう。

Madison ReedはこれまでにTrue VenturesやNorwest Venture Partners、Comcast Venturesなどの投資家から1億2500万ドル(約135億円)を調達してきた。このMadison Reedの最新状況をTechCrunchはエレット氏に聞いた。長さの関係上、そして意味を明確にするために下記の会話形式で編集している。

TC(TechCrunch):多くの消費者直結ブランドのように、最近、実在店舗のカラーバーをオープンさせた。新型コロナウイルス(COVID-19)の問題が起きる前に何店舗運営していたか。

AE(Amy Errett):12店舗展開していた。今、20店舗を再開させようとしている。8店舗は3〜5月に開店させる予定だったができていなかった。2020年末までに25店舗にする計画だ。

TC:店舗は全米に散らばっているのか。

AE:ハブとなるところに立地している。女性の人口統計、そしてオンラインビジネスから得られたことに基づき選んだ。本部を置いているカリフォルニア北部、それからニューヨーク、ダラス、ヒューストン、ワシントンD.C.エリアに構えている。またアトランタでも再開させ、ダラスとヒューストンには追加で出店する。年末までにマイアミとデンバーにも開店する。

TC:社の経済指標について聞かせて欲しい。一時期売上高は5000万ドル(約54億円)で、粗利益率は78%だった。

AE:プロダクトの利ざやは80%を超える。これは実際のプロダクトについてで、事業全体では60%だ。成長は目覚ましい。現在30万人の購読者を抱えるが、売上は(言及のあった額の)2倍を超える。当社は非公開企業であるため具体的な数字は明らかにしないが、2020年後半に黒字化を達成する見込みだ。

TC:全国的なロックダウンの中でサロンに行けない新規顧客を獲得したのは明らかだ。30万人という購読者は事業全体のどれくらいの割合を占めるのか。

AE:日によって変動する。米国の女性の52%がもっぱら家で染髪し、48%がサロンにいく。そのうちの一部が当社のカラーバーで染髪する。25%が家でもサロンでも染髪している。そうした人たちはかなり白髪か、サロンでの予約を先延ばししたいために、(予約の合間に)家で染める。

通常、我々の顧客の60%がサロンを利用している。そして50%が自宅で当社のプロダクトを使用する。利用の増加でこの数字は変わり、サロンに行けなくなったため、当社の顧客の70%が通常サロンを利用するようになった。サロンに行っていたかなりの人を獲得しているというのはいいニュースだ。平均的なオーダーサイクルは6週間で、ボックス1つを買う顧客がいるが、このような顧客たちは単発の購入を繰り返す。そのため、典型的なD2Cビジネスに比べて驚くほど持続可能な顧客層となっている。

TC:カラーバーを一時閉店するとき、従業員を1人も解雇しなかった?

AE:子供を持ち、与えられた仕事ができない従業員7人が辞めたと思う。しかし当社は誰も一時帰休にはしていない。3月15日ごろにカラーバー全店を閉め、店舗のカラーリスト全員をコールセンターに移した。ヘッドセットを購入し、従業員の自宅に届け、カスタマーサービスでのテクノロジーサポートのすべてについて教えなければならなかった。カスタマーサービスのスキルは店舗での作業で使うスキルとはまったく異なっている。そこから始まった。

当社のコールセンターのスタッフは全員、ライセンスを持つカラーリストで、売上は彼らの技術によるものだ。世の中の女性はみんな、髪について少なくとも5回の最悪な経験があり、カラーリストはアドバイスに関しては慎重な意見を提供する。というのも顧客にとって最も重要なことは髪を正しい色にすることだからだ。

TC:米国では経済が再開しつつある。カラーリストが店舗に戻るにあたって、どのような対策をとっているのか。各州での対応策を一様にしているのか。

ER:店舗を再開させつつあるが、まずは小売のみだ。店舗ではスケジュール調整しながらバッグを受け取り、品物を入れ、店の外に持って出る。いつになったら店内での染髪サービスを再開できるのかはわからない。

我々は各州の中で最も厳しいガイドラインに則り、それを全システムに反映させている。そのためとある州が客はマスクを着用しなくてもいい、といったとしても、当社では従業員も顧客もマスクを付ける。一部の人はマスクを着用したくない。それはそれでいい。ただ、そうした人にとって当社の店はふさわしくない。なぜなら、我々にとって顧客と従業員の安全が最優先事項だからだ。

TC:2019年に600店を展開する計画(Forbes記事)を発表した。そのうちの100店が自社経営で、残る500店がフランチャイズとなるだろうとのことだった。その計画は保留中という理解でよいか。もしそうだとしたら、永久に保留ということもあるのか。

ER:2020年2月にフランチャイズを販売し始めたばかりだった。実際のところ、可能性のあるフランチャイズ加盟店との最初の会合を持ち、フランチャイズを発表するために提出する必要がある書類をまさに準備していたところだった。そして新型コロナウイルス(COVID-19)が起きた。我々はフランチャイズの判断を2020年には行わないことに決めた。それが最終的なものになるかどうか決断していない。

こうした経緯で学んだことの1つは、今大きな決断をするのはCEOができることとして最も賢明なものではない、ということだ。世界は入り口に立ったばかりだ。いつになったら本部に従業員を戻すことができるのか皆目わからない。ワクチンや治療薬がどうなるのかもわからないし、あるいは再び感染が拡大したり、流行ホットスポットが出てきたりするかもわからない。私にはわからないし、誰にもわからないと思う。

TC:あなたの牽引力を考えたとき、次の資金調達が上場とならない理由はあるか。

ER:ヘアカラーリングは、これまで見過ごされてきた巨大なカテゴリーだ。繰り返し購入するというパターンにより、米国だけで150億ドル(約1兆6000億円)というマーケット規模だ。成功のために必要なすべての要件を満たしている。

私は投資家でもある。ベイエリアでMaveronのオフィスを運営していた。Connie(筆者のこと)、確かあなたと私は、私がベンチャーキャピタリストとして今よりもリラックスした生活を送っていた頃に初めて会った。私はTrueでパートナーも務めていて、投資チームのメンバーとして投資を行っている。だから投資家としてコメントする。当社の売上の80%強が社内で循環している。カラーバーでは、自社のプロダクトを使う能力があるのは我々だけだ。

TC:つまりは?

ER:スタイリストは、サロンに通う大半の女性にプロダクトを渡したりはしない。「バケーションに行く?これを持って帰って」とは決して言わない。私はMadison Reedを使っていて、このMadison Reedのカラーバーで同じ仕上がりが得られる。家に持ち帰り、誰かにまったく同じカラーで染髪してもらうこともできる。これはこの業界でゲームチェンジャーとなる。

あなたが店舗で我々に染髪してほしいのか、それとも家で染髪するのか、我々にはわからない。L’Orealをみると、同社の事業の85%はサロンで働くスタイリストへの洗髪剤の販売だ。それは消費者と直接のビジネスではない。消費者との直接のビジネスは、Walgreens(ウォルグリーン)でのプロダクト販売であり、それは彼らのビジネスにおいてはかなり小さな割合だ。そして彼らはそこにフォーカスしていない。利ざやがかなり薄いからだ。考えてみて欲しい。彼らは10ドル(約1080円)で、我々は25ドル(約2700円)で販売している。

ここでの秘密は、 L’OrealとUnilever(ユニリーバ)の争いが、テクノロジーに基づく消費者直接販売の開拓を阻害してきたということだ。

TC:L’OrealとUnileverがMadison Reedと同じような戦略をとると思うか。

AE:彼らはスマートだ。違うやり方で我々を追うことができる。それは構わない。我々はカスタマーサービス、顧客との関係、プロダクトイノベーション、いつでもモバイルテクノロジー第一というやり方をする。

TC:Madison Reedは現在いくつのプロダクトを販売しているのか。顧客を驚かすようなプロダクトを展開する予定はあるか。

AE:現在15のプロダクトを扱っている。すべて(アンモニア不使用の)ヘアカラーだ。パーマネントヘアカラー、パーマネントヘアカラー、グロス、トナー、アンモニア不使用のブリーチがついてくるハイライトキットなどだ。また一時的なカラーのための(シャワーで使える)カラーデポジットマスクも展開する。

最後にヒントを。当社の事業は現在、女性にフォーカスしていて、女性以外でも染髪したいという人がいることは想像に難くない。ワクワクするマーケットだ。男性だけ?まさか。すべてのドアを開放するつもりだ。

画像クレジット: Christopher Michel 

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(翻訳:Mizoguchi