FCCからの242億円の罰金と複数の州からの訴訟に直面するがロボコール業者たちはわずかしか払わない

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人間の悪辣さの頂点を極めた2人の男が、2019年の最初の数カ月だけで約10億回のロボコール(自動音声勧誘電話)を行ったことを認め、現在FCC(連邦通信委員会)の2億2500万ドル(約242億円)の罰金(米国政府リリース)と、それ以上の額に達することが見込まれる複数の州司法長官たちからの訴訟(米国政府リリース)に直面している。しかし、実際に彼らがそれを支払うということにはならないだろう。

悪名悪いテキサス人のJohn Spiller(ジョン・スピラー)とJakob Mears(ジェイコブ・ミアーズ)は、怪しげなクライアントからの健康保険を販売することを目的として、1日に数百万のロボコールを行なう2つの会社を設立した件で訴訟を受けている(彼ら自身も自白している)。

彼らの行為は、米国内のDo Not Callレジストリ(セールス電話禁止を希望する電話番号登録制度)を無視しただけでなく、「そうした消費者を対象とする方が収益性が高かった」ために、特に対象として選んでいたのだ。しかも番号が偽装されていたために、怒ったユーザーたちがコールバックを行った結果、相手が何もわからず当惑するという事態が起こり、ますます事案は悪質化した。

これらの電話は2年間で数十億件にのぼり、最終的にFCC、複数の州司法長官および業界の詐欺防止協会によって事態が暴露された。

現在、この2人は2億2500万ドル(約242億円)の罰金を突きつけられているが、これはFCC史上最高額となる。また訴訟には複数の州が関与し、それぞれのケースでさまざまな法的損害賠償が含まれており、控えめな金額の見積もりでもFCCの罰金額を上回る可能性がある。

残念ながら、これまでもそうであったように、こうした罰金額は実際に支払われる金額とはほとんど相関関係がないようだ。FCCとFTC(連邦取引委員会)にはこれらの罰金の徴収を強制する権限がなく、執行は司法省に任されているからだ。そして司法省が実際にお金を集めようと試みたとしても、彼らは被告が持っている以上のものを徴収することはできない。

例えば2019年、FTCは1人のロボコール業者に500万ドル(約5億4000万円)の罰金を科したが、彼が払ったのは時価で売り払った彼のベンツの代金1万8332ドル(約200万円)だけだった。当然のことながら、こうした知能犯罪に関わる犯人たちは、処罰を回避する方法を知らないわけではない。連邦政府がドアをノックする前に現金資産を処分しておくことは、そうしたゲームの一部に過ぎない。

こうした場合、状況はさらに悲惨なものになる可能性がある。司法省が関与することすらしない場合だ。FCC委員のJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)氏は、同庁の発表にともなう声明の中で次のように述べている。

この総力戦には欠けているものがあります。司法省です。彼らはこの詐欺に取り組む一員ではないのです。なぜなのでしょう?彼らが関与することを拒否することで、どんなメッセージが送られるでしょうか?

私が受け取るメッセージは以下のようなものです。過去数年間、FCCは今日ここにいる者たち同様に、ロボコール業者に対して数億ドル(数百億円)の罰金を科してきました。しかし、これまでのところ、こうした目を見張るような罰金に関する徴収実績は、ほぼ無きに等しいものなのです。実際、何億ドル(数百億円)もの罰金に対して、私たちがせいぜい6790ドル(約73万円)しか集められていないという計算を、ウォールストリートジャーナルが発表したのは2019年のことです。何故でしょう?まあ、ひとつの理由は、FCCが司法省にロボコール業者からの罰金徴収を頼っているからです。私たちには彼らの助力が必要なのです。したがって、彼らが動いてくれない場合には、つまり今回のようにということですが 、それは良い兆候ではありません。

確かに、FCCからの罰金と訴訟はこうしたロボコール業者を廃業させ、より多くの詐欺行為を防止するものの、彼らは億万長者ではないため、実際には数億ドル(数百億円)を負担することはない。

罰金がこのような事業を破産させるほど大きなものであることは良いことだが、2018年にまた別の莫大な罰金がロボコール業者に科されたときにローゼンウォーセル氏が述べたように、「それは小さじ1本で海をカラにしようとするようなもの」なのだ。FCCと各州は2人のろくでなしを追い詰めたものの、さらに多くのろくでもないヤカラたちが同じようなことを狙って出現する可能性は高い。

ロボコールを抑制するための業界全体の対策は何年も前から行われてきたものの、何度もの警告と遅延が繰り返された後、ようやくFCCによって最近義務付けられたのだ(未訳記事)。2021年には新しい詐欺対策フレームワークが施行されることを期待しよう。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:sako)