ソフトウェアは今後10年間で私たちの世界の形を変える

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【編集部注】本稿を執筆したAlfred Chuang (アルフレッドチャン)氏は、アーリーステージを対象としたベンチャーキャピタル、Race Capitalのジェネラルパートナーだ。

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私がビジネスパートナーとのZoomミーティングを締めくくろうとしていたとき、息子が彼のオンライン化学クラスでクラスメートと冗談を言っているのが聞こえてきた。

私にとってこれは非常に奇妙な時間だと言わざるを得ない。私は家族を愛しているが、通常ならばこれほど多くの時間を一緒に過ごすことはないからだ。だがこれらは通常の時間ではない。

通常の場合なら、政府、企業、学校は、すべてを閉鎖することに決して同意することはない。通常の場合なら、私の主治医はビデオ越しに私に会うことは認めないだろう。

食料品店の外に立って待ち、お互いが6フィート(約1.8m)離れていることを確認するような人も通常ならいない。このような時代の中で、通常なら何年もかかる決定が数時間で行われている。つまり、現実の世界、実店舗という現実がシャットダウンしたのだ。世界は今でも機能しているものの、現在は誰もが自分の家の中で活動している。

この通常ではない時間は、金融危機の深みに落ちた2008年を思い出させる。私はかつて共同創業したアプリケーションサーバー企業のBEA Systemsを、Oracle(オラクル)に86億ドル(約9200億円)の現金で売却した。この激動の出来事は、私のキャリアの中でも最悪かつ最も疲れる時期だったが、一方最高の時期でもあった。その理由は多くの刺激的な起業家に出会うことができたおかげだ。

彼らは最も聡明で、勤勉で、決して「できない」とは答えることのない起業家だった。そしてその時代に、多くのCEOたちがその本当の色を示してくれた。それはSlack、Lyft、Uber、Credit Karma、Twilio、Square、Clouderaなど、多くのものが始まった時代だった。これらの企業はすべて、今や数十億ドル(数千億円)の時価総額を誇っている。そして、私はそうした企業のいくつかに投資したり提携したりする必要があった。

繰り返すが、私は10年後に私たちの世界がどのように見えるのかを知りたいと思わずにはいられない。私たちの生き方。私たちが学ぶ方法。私たちが消費する方法。私たちがお互いに対話するやり方。

これから10年後はどうなるのだろう?

2030年へようこそ。iPhoneが発明され、クラウドコンピューティングが立ち上がってから20年以上、そして広範な5Gネットワークが立ち上がってから10年が経った。私たちの生活、仕事、食事、遊びの方法を変えるために必要なすべてのテクノロジーがついに登場して、それらはこれまでにないスピードで広げられることが可能だ。

世界の人口は85億人に達して、全員が日常的なアプリをすべて実行するスマートフォンを所有している。20年前からみれば約15億人ほど人口が増加したことになる。

堅牢なインターネットアクセスと通信プラットフォームが、新しい世界を生み出した。

いまや世界最大の学校はソフトウェア会社だ。その学習エンジンは人工知能を使用して、物理的なスペースを必要とせずに、いつでもどこでもパーソナライズされた学習教材を提供している。Apple(アップル)がiTunesで音楽業界を根底から覆したことと同様に、すべての学生が超低価格であらゆる情報をダウンロードできるようになっている。授業料は大幅に下がり、もはや学生ローンは存在しない。子供たちは、単に授業を受けるだけではなく、ついに学びに集中できるようになったのだ。優れた教育へのアクセスは平等化されたのだ。

世界最大の銀行はソフトウェア会社であり、すべての金融取引はデジタルである。銀行員とライブで会話したい場合は、チャットまたはビデオ会議を開始する。その上で、組み込みのフィンテックソフトウェアがすべての業界を支えている。

汚れた物理的なお金はもう存在しない。すべてのお金の流れはブロックチェーン台帳に保存され、追跡可能になり、安全に保たれる。その金融インフラストラクチャプラットフォームは、すべての地域および管轄区域の顧客、すべての価値の交換、すべてのタイプのユースケース(プロデューサー、ディストリビューター、コンシューマー)などを、すべて最初の段階から扱うことができる。

世界最大の食料品店は、ソフトウェアとロボットの会社だ。食料品は、必要なときにいつでもどこでも可能な限り迅速に配達される。食料品は人間が関与することなくロボットやドローンを使って配達される。顧客は、どこで、いつ、誰が自身の食料品の栽培と取り扱いに関与しているのかを、追跡することができる。人工知能は、過去の購入履歴とカレンダーに基づいて、必要なものを教えてくれる。

世界最大の病院はソフトウェアとロボットの会社だ。すべての初期診断はビデオ会議を使って行われる。すべてデジタルで保存された患者の医療記録と組み合わせることで、サンフランシスコ在住の医師と医師の人工知能アシスタントは、香港在住の患者に個別の処方箋を提供することができる。すべての外科手術はロボットによって行われる。もちろん医師の監督のもとでだ、私たちは完全に機械任せにできるほど大胆にはなれない。そして医師でさえ家から仕事をするようになる。

従業員全員は在宅勤務になっている。オフィスという場所の主な目的は、企業の労働者たちが効率的に仕事を遂行できるように支援することだったということを忘れないようにしよう。2020年以降、すべての企業、特にそのCEOは、従業員が自宅で仕事をするほうが効率的であることに気付いたのだ。在宅勤務にすることで通勤時間を節約できるだけでなく、すべての企業がオフィススペースのコストを節約し、リソースを従業員の福利厚生へとシフトすることができている。私は過去10年を振り返って「オフィススペースが大切だった時代を今でも覚えている」と自分に言い聞かせている。

世界最大のエンターテイメント企業はソフトウェア企業で、私たちが大好きなコンテンツはすべてデジタルである。すべての大ヒット映画は、直接ビデオとしてリリースされる。Alexa(アレクサ)にポップコーンを家に届けるように頼み、遠くに住む友達と一緒にその映画を見ることもできる。映画の中に気に入ったものが出てきたら、すぐにそれを購入することができる、それが衣服でも物でも、目にしたものを何でもそのまま家に届けることができるのだ。もう列に並ぶ必要はない。移動時間もない。大気汚染などの公害は減っていく。よりよい惑星の出現だ!

ここに挙げたのは2030年までに完全に変革されたほんの一部の業界だが、こうした変容は、ほとんどすべてのものに普遍的に適用されることになる。かつては「ソフトウェアが世界を食べている」と言われていた。

言い伝えによれば、何かを食べる者は、食べたものになってしまうと言う。2030年、ソフトウェアは世界になっている。

セキュリティと保護は、もはや私たちが触れて見ることができるものだけに適用されるものではなくなった。メールアカウント、チャットの履歴、閲覧データ、そしてソーシャルメディアアカウントなどの、私たち一人ひとりにとって価値のあるものはすべて、デジタル形式で保存されている。その例が尽きることはない。住宅用の警報装置ではなく、デジタル用警報装置が必要なのだ。

この危機は近未来を暗く見せるかもしれないが、私は新しい世界と未来の新しい会社について楽観的だ。人類として変化する私たちの能力、そして今回の危機とテクノロジーが私たちの生き方をいかに加速しているかについて、私は興奮を抑えられない。

この嵐はいつか過ぎ去るだろう。しかし、私たちが今行う選択は、私たちの生活を永遠に変えることになる。

私のチームと私は、新しい世界を形作るのに役立つ企業を創業しそれに投資することを誇りに思っている。それらは、これからの世代にとって重要な、新しくてインパクトのあるテクノロジー、人類にとって重要な企業、私たちの孫たちに伝えられるものすべてだ。

私は希望に満ちている。

画像クレジット: olm26250 (opens in a new window)/ Getty Images

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Category:ソフトウェア

Tag:コラム 5G

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(翻訳:sako)