次期macOS Big SurでUI/UXはどう変わるのか?細かすぎて伝わりにくい部分も解説

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WWDC20の基調講演から、早くも1週間近くが経過した。なんだか、もうずいぶん昔のことのような気がする。今回の基調講演の中で、最も印象的だったApple Siliconに関する発表ですら、もう何年も前からわかっていた既定路線だったように感じられる。

とはいえ、今回のMacに関する発表が、インテルからARMベースのアップルオリジナルCPU、Apple Siliconへのスイッチだけだったかと言うと、もちろんそんなことはない。基調講演前半のiOSやiPadOS、その他のデバイス用の新しいOSバージョンの発表に続いて、macOSの新バージョ「Big Sur」についても、しっかりと紹介されていた。その際には、基調講演の後半に登場するApple Siliconについては、当然ながらまだひと言も触れられておらず、CPUの種類にはまったく関係のない純粋なソフトウェアとして、次期バージョンのmacOS 11を紹介している。

次期バージョンでは、いろいろな意味でiPadOSとmacOSの距離は縮まるだろう。「iPadOS 14ではアプリの操作性がmacOSのようになる」の記事は、iPadOS 14がmacOSライクになるという趣旨のものだった。しかし実際には、それよりもmacOSがiPadOSライクになる傾向のほうが、ずっと顕著だと思える。操作性については、実際にリリースされたものを使ってみるまではわからない部分が多いものの、少なくとも見た目に関しては、macOSのほうからかなりiPadOSに歩み寄っているように思える。

基調講演でも、Mac OS Xの登場以来「デザイン」は最も大きく変化すると説明された。その発表では、アプリや通知センター、ウィジェットの話が中心で、細かいデザインの違いまでははっきりとはわからなかった。ここでは、その後にアップルが公開したHuman Interface Guidelinesの「What’s New in macOS」というページを参照しながら、必要に応じて新旧を比較しつつ、macOSのユーザーインターフェースの個々の要素についてルック&フィールを細かく見ていこう。

アイコンは基本的にiPad風に統一

これまでのmacOSでは、特にアプリのアイコンの基本形状がかなり不統一なものとなっていた。比較的新しい伝統としては外形が円になっているものが多いが、正方形に近いものも珍しくはない。もっと古い伝統に則ったものは、長方形をちょっと左に傾けて、その上にツールを載せたようなものとなっていた。さらには、Mac Catalistを使って作成した、iPadOSと共通のアプリアイコンは、正方形や長方形をちょっと左に傾けたものが多かった。

新しいmacOSでは、アプリアイコンは基本的にiPadOS風になる。つまり正立した角の丸い正方形を基調としたものだ。好き嫌いはともかくとして、はっきりアプリのアイコンだと認識しやすいものに統一されるのは良いことだろう。

一方、iPadOSでは、ドキュメントのアイコンを目にする機会は少ない。必要に迫られて「ファイル」アプリを開いたときくらいだろう。そこで目にするのは、これまでのmacOSと同様に正立する長方形の右上の角が内側に折れ曲がったもの。macOSよりも折れている部分の面積が若干広く、折れ方も直線的に見える。新しいmacOSのドキュメントのアイコンは、やはりiPadOS風になる。

もう1つ、macOSには機能を表す「フィーチャー」アイコンというものがある。これはツールバーなどのボタンとして使われている。これについても、アプリのアイコンと同様、統一感に欠けていたものが、基本的に角の丸い正方形を基調とするものに統一される。

また、このアイコンのバックグラウンドのグラデーションも色の変化の小さいものとなり、これまでよりフラットな印象のものとなるようだ。

アプリごとに指定可能な「アクセントカラー」

あまり耳慣れない言葉かもしれないが、macOSには「アクセントカラー」という色の設定がある。これまではシステム環境設定の「一般」で、8色の中から選択することができた。これによって、ラジオボタンやポップアップメニューなど、ユーザーインターフェースの基本となる色を設定できる。設定がここにあることからわかるように、これはシステム全体に関わるもの。ここで選んだ色が、基本的にすべてのアプリにも適用されるものだった。

新しいmacOSでは、このアクセントカラーをアプリごとに指定できるようになった。その色は、アプリのデベロッパーが決める。ただし、そのアプリごとのアクセントカラーが有効となるのは、ユーザーがシステム環境設定で「アクセントカラー」の設定として「マルチカラー」(Multicolor)を選んでいる場合だけ。ユーザーの好みで特定の色を選んだ場合には、これまでどおり、その色がシステム全体に渡って使われる。

タイトルバーとツールバー

アイコンの意匠やユーザーインターフェースの色の設定は、慣れればなんとも思わなくなるものがほとんどかもしれない。しかし、ウィンドウ内部のバーやボタン類の配置は、なかなか新しいものに慣れにくいような気がする。確かにそうした部分のデザインも、これまでで最も大きく変化しそうだ。それには古くからのMacユーザーほど、強い抵抗を感じる可能性があり、議論を呼びそうだ。まずは、ウィンドウ最上部のタイトルバーとその下のツールバーの変化を確認する。

言葉による説明は不要かもしれないが、これまで2段に分かれていたタイトルとツールの各バーが、太めの1本に統合されるのが、まず目につく。

また、ツールバーに並ぶボタン類のデザインも趣向が変わる。これまでは、ラジオボタンのような一択のボタンは隙間なく並べられてわかりやすかった。新しいデザインでは、ボタンの間隔だけが異なるので、他の独立したボタンと区別が付きにくい。

アプリの環境設定に見られるような、1つのウィンドウの中身を切り替えて使えるようにする一種のタブバーも、そのアイコンともども、大きくデザインが変更されそうだ。

サイドバー

同じバーでも、サイドバーの変化は比較的小さなものになりそうだ。これまでは、選択肢として表示される際も、どれかを選択した後も、モノクロで味気ない感じのものだった。新しいインターフェースでは、サイドバーの選択肢のアイコンがアクセントカラーで表示され、わずかながらにぎやかな感じになる。

選択したアイテムのハイライトは、サイドバーの左端から右端に届く長方形ではなく、左右に余白を残した角の丸い長方形になる。これは、次に述べるメニューの選択表示と同じだ。

メニュー

デザイン要素の変更としては、それほど大きくないにも関わらず、比較的大きく印象の変わるのはメニューだろう。

まず、メニューバーやメニュー自体の透明度が増しているように見える。フォントサイズは13ポイントになり、微妙に小さくなっているようだ。逆にメニューの項目の行間は微妙に広くなり、なんとなく余裕が感じられる。そして、もう1つの変化が、心理的には最も大きな変化として感じられる。これまでは、選択した項目がメニュー左端から右端まで、長方形に反転されていたのに対し、新しいメニューでは、左右に余白を残して角の丸い長方形として選択される。

こうして、これまでのmacOSと比較しながら新しいmacOS 11のルック&フィールを確認してみると、確かにこれまでのものが古臭く感じられるかもしれない。慣れれば新しいものが当たり前に感じられるようになり、何とも思わなくなるものが大半だろう。しかし、新しいものが何でも良いとは限らない。実際に使ってみるまでは予断を許さないが、ここに挙げたもの以外の要素も含め、いつまで経っても違和感が消えないような変更が施されないことを願うばかりだ。

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カテゴリー:ソフトウェア

タグ:Apple macOS