プライバシーに配慮した体温センサーで新型コロナとの戦いを支援するButlr

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まだ世の中にあまり知られていない、ホームおよび小売オートメーションの小さなスタートアップが、流行中のパンデミックとの戦いを支えてくれる可能性なんてあり得ない、と思われるかもしれない。だがその創業者は同社の技術は、たとえそれが会社の当初の計画ではなかったとしても、実現できるという。

MITメディアラボのスピンアウトであるButlr(バトラー)は、バッテリー駆動の無線ハードウェア(Butlrサイト)と人工知能を組み合わせて使用し、プライバシーを侵害することなく室内での人々の動きを追跡する。スタートアップは、天井に取り付けられたセンサーを使用して個人の体温を検出し、人が歩いている場所や次に行くと予想される場所を追跡する。ユースケースはほぼ無限だ。センサーは、動きを検出するとムード照明またはエアコンをオンにしたり、買い物客が店内を動く様子を経営側に知らせたり、列に並んだ人の待ち時間を計算したり、業務時間外に人の動きを検知したときに警報を鳴らしたりすることもできる。

パッシブな赤外線センサーを使用して体温のみを検出するため、センサーは相手が誰かを知ることはない。単に検出対象がどこにいて、どちらに向かっているかがわかるだけだ。店舗を離れた場合など、人間がセンサーの範囲を離れれば、すぐに追跡は停止する。

この技術には高い需要が集まっている。Butlrによれば、現在約20万軒の小売店が同社のテクノロジーを使用しているという。少なくとも監視カメラや顔認識といったより強くプライバシーを侵害し高価な代替製品よりも、はるかに安価だからだ。

しかしパンデミックが発生したとき、継続的な新型コロナウイルス(COVID-19)からの脅威に対抗するために、それらの店のほとんどが(都市や国全体に伴うように)閉鎖された。だが、そうした店舗も再び開かれなければならず、そこでButlrも再び仕事に戻ることとなった。

Butlrのプライバシーに配慮した体温センサーは、あなたが誰であるかを知らない。どこにいるかを知っているだけだ。現在、同社は新型コロナウイルスとの戦いを支援するために、そのテクノロジーを再構築している最中だ(画像クレジット:Butlr)

Butlrの共同創業者であるHonghao Deng(ホンハオ・デン)氏は、TechCrunchに対して店舗の再開を支援するために、自社のテクノロジーを再構築し始めたと語った。

同社は、最大収容人数やキュー管理などの新しいソフトウェア機能を素早く展開して、同社のセンサーがすでに設置されている店舗を、各企業が従わなければならない新しく常に変化し続ける法律やガイダンスに対応できるようにした。

デン氏によれば、センサーを使うことで一度に店舗に入ることができる人数を超えないようにし、ソーシャルディスタンスのルールを適用することで、スタッフを顧客から保護することができるという。また顧客がライブキューのデータを確認して、買い物客の少ない時間を選ぶことにも役立つとデン氏はいう。

パンデミック以前であれば、率直にいってこうしたことは少々退屈な話に聞こえたかもしれない。だが、パンデミックの真ん中へと時間を早送りしてみれば、得ることができるこれらすべての支援(そしてテクノロジー)に、おそらく感謝したくなるだろう。

Butlrは、その新機能のテストをパンデミックが迫りつつある2020年2月に中国で行い、その後米国を含む世界中の顧客に公開した。デン氏は、Butlrの技術はすでに他の人へのリスクを最小限に抑えながら再開できるように、スーパーマーケットチェーンの99 Ranch Market、アラブ首長国にあるルーブル・アブダビといった顧客を支援しているという。

それは報われる方針転換だ。2020年7月に米国でパンデミックがピークに達したころ、Butlrは120万ドル(約1億2700万円)のシード資金を調達した。

パンデミックが来るなんて誰も知らなかったし、もちろんデン氏もそうだった。そして、パンデミックが広がるにつれて、企業の苦しみも広がった。もし素早く考えを巡らしていなければ、Butlrもパンデミックに屈したスタートアップの1つだったかもしれない。

だがButlrは、そうなることなくおそらく人の命を救う手助けをするようになるだろう、しかもプライバシーを危険にさらすことなく。

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画像クレジット:Butlr

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(翻訳:sako)