米下院公聴会でザッカーバーグ氏はライバルのコピーを認めるも反競争的利用は否定

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米国時間7月29日の米下院反トラスト小委員会の公聴会でFacebookのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOはライバルのアプリや機能をコピーする戦略について質問された。また「これを買収・合併のの交渉の際に武器として使ってこなかったか」と正された。同氏は明白な点については認めざるを得ず、「ライバルが実現した機能を自社でも採用したことはもちろんある」と述べた。

しかしFacebookがライバルをコピーする戦術を反競争的な方法、つまり競争するのではなくFacebookに売却するようライバルに圧力をかけるなど目的で使用したとする意味付けは全面的に否定した。

ワシントン州選出で民主党のPramila Jayapal(プラミラ・ジャヤパル)下院議員は、2012年にFacebookがInstagramを10億ドルで買収した件について具体的に質問した。今回の公聴会を通じて、Instagramの件はFacebookが買収によって巨大な市場支配力を得た例として繰り返し提起(未訳記事)されていた。

ジャヤパル議員はInstagramの買収について、「Facebookの経営幹部は他社のアプリをコピーすることが有力なビジネス戦略であるという点で一致していた」と述べた。

同議員はまた、ザッカーバーグ氏がCOO(最高業務責任者)であるSheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏に送った2012年のメール(PDF)を取り上げ、ザッカーバーグ氏が「Facebookはスピードアップすることでライバルが足場を固めるのを防ぐことができる」と書いているとした。このメールに対してサンドバーグ氏は「この戦略がFacebookからユーザーを奪うようなライバルが存在しないことを意味するのであれば、我々のスピードが速ければ速いほどいいという点には同意せざるを得ない」と返信している。このメールには「Facebookがライバルをコピーするのは『できるだけ軽快に素早く動くべきだ』というプライベートメッセージが付けられていたとジャヤパル議員は指摘した。

 

このメールは Facebookの幹部と中国版のFacebook、人人網(Ren Ren)の創業者で、百度の共同創業者であるロビン・リー(李彦宏)氏との間の会話についても触れており、Facebookがライバルをコピーするという戦略を誕生させた経緯についても需要な資料となるという。

これらのやり取りの中でFacebookの幹部は、中国のアプリ市場ではライバルのプロダクトをクローンすることが普通であることを学んだという。「人人網は、PinterestとTumblrの中国版を構築しており、メール、ゲーム、音楽ストリーミングなども含まれている」とメールは述べていたとされる。また当時Tencentには米国のトランシーバーアプリのVoxerをクローンしたメッセージングアプリのQQがあった。メールは「中国ではみんな他人のコピーをしているのだからそうするのが素早く動く一番いい方法だろう」と示唆していた。
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ザッカーバーグ氏はこのメールをサンドバーグ氏に転送し「興味あるメールだ。あなたもおそらく同感だろう」と書いた。そして実際サンドバーグ氏はこれに賛成した。ザッカーバーグ氏は「Facebook は2012年のメール以後、以来何回ライバルをコピーしたか」という質問に対し、この質問の前提自体が誤りであるとして答えることを拒否した。

そして同氏は「Facebook の任務はユーザーが大切な人々とのつながりを得るためにもっとも適したサービスを構築することです。 この任務はイノベーションによって何か今までにないものを作る」と述べたところで遮られた。

続いてジャヤパル議員は「Facebookは他社を買収する交渉中、プロダクトをクローンするぞと脅したことがありますか」と質問した。「私の知る限りありません」とザッカーバーグ氏は答えた。

同議員は、FacebookはInstagramを買収する交渉で、FacebookカメラをInstagramに対して使うと脅迫していたように見えると述べた。「ザッカーバーグ氏は、Instagramの共同創業者のKevin Systrom(ケビン・シストロム)氏とのチャットで『Facebook自身も写真戦略を持っており、我々の関係のあり方によってパートナーとなるかライバルとなるかも決まってくる』と述べていました」と議員は説明した。ザッカーバーグ氏はシストロム氏とのメールのやり取り(Scribdアーカイブ)で「ある時点であなたは我々と実際に協力する意思があるのかどうかはっきりさせねばならない」と述べている。

シストロム氏は投資家の一人に対して (Scribdアーカイブ)、「『ザッカーバーグ氏のコメントは脅しだと感じた』と打ち明けていた」とジャヤパル議員は述べた。議員は「シストロム氏が買収に賛成しない場合、 Facebookは『殲滅モード』に入ることを暗示したのではないか」とした。ザッカーバーグ氏はシストロム氏とのやり取り自体は否定しなかったが、「我々は自由な競争が可能な市場にいた」として脅迫という意味づけは否定した。

議員はSnapchat買収の際にも同様の戦術が用いられたのではないかと質問した。ザッカーバーグ氏は「このときの会話の内容は詳しく記憶していませんが、これ(チャットサービス)も両者が新しいものを作る余地がある分野だったことは明らかです」と述べた。ジャヤパル議員は「これらの行動を検討するとFacebookは独占であると考える」として質疑を締めくくった。

「ここで問題とされるのは、市場支配力があるプラットフォーム企業がライバルとなる可能性のある企業を脅迫するのは通常のビジネス慣行とは見なしがたいという点です。Facebookは、こうした企業の行動を判断するひとつのテストケースです。Facebookはユーザーのデータを利用して収益を上げ、そのデータでライバル企業をスパイし、ライバルを買収することによって根絶やしにしようとする独占的勢力であると私は考えます」とジャヤパル議員は結論付けた。

米下院公聴会

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(翻訳:滑川海彦@Facebook