AIを活用した製造工程モニタリング技術を提供するInstrumentalが21億円調達

次の記事

NASAが火星探査機「Perseverance」の打ち上げに成功

米国時間7月29日、ビジョンベースのAIを使用して製造工程の異常を検出するスタートアップ Instrumentalが、Canaan Partnersが主導する2000万ドル(約21億円)のシリーズBラウンドを行ったと発表した。2017年半ばに行われた750万ドル(約7億9000万円)のシリーズAと合わせて、同社はこれまでの2ラウンドで1030万ドル(約10億8000万円)を調達(Crunchbase記事)していた。

リリースによれば、今回のシリーズBには、シリーズAの投資家であるRoot VenturesEclipse Ventures、シードラウンドも主導したFIrst Round Capitalなどの他のVCも参加した。Stanford StartXも新しい投資家の一員として加わっている。

アンナ=カトリーナ・シェドレツキー氏(画像クレジット:Instrumental

Instrumentalテクノロジーは、ハードウェアとソフトウェアのハイブリッドだが、特に後者に重点が置かれている。

TechCrunchは、同社の創業者でCEOのAnna-Katrina Shedletsky(アンナ=カトリーナ・シェドレツキー)氏に話を聞き、その保有技術と成長戦略について理解を深めた。また、CanaanのパートナーであるHrach Simonian(フラク・シモニアン)氏に対して、今回のラウンドの主導に至ったビジネス指標とマイルストーンに対して質問した。

保有技術

Instrumentalのテクノロジーは、カメラとコードの組み合わせだ。スタートアップはハードウェアを製造ラインにインストールし、データの小さなサンプルセットを使って異常を検知できる学習ソフトウェアを採用している。同社の目標は、物理的な製品を製造するビジネスの生産性を向上させ、時間の短縮を支援する。

「私たちのお客様は、競合他社様に比べて、きわめて迅速に、設計、品質、そして工程上の課題を見つることが可能となります。そのことで高品質の大量生産をはるかに安価に行うことが可能となるのです」とシェドレツキー氏はTechCrunchへのメールに書いてきた。

以前Apple(アップル)で設計および製造を担当していた同氏によれば、Instrumentalは市販のありふれたハードウェアを使用しているという。大切なのはスタートアップのソフトウェアだ。それを使うことでわずか30台のユニットと簡単なラベル付けトレーニングだけで、カメラユニット群をトレーニングすることができる。特に同社が頻繁に手掛ける、インターネットの容量が小さい中国の多くの製造施設では、同社のハードウェアを利用してデータをオンサイトで処理することで、アップロード・ダウンロードの遅延を防ぐことができる。

このテクノロジーを製造ラインに組み込んでもらうことは簡単ではないと、同社はTechCrunchに語る。なぜなら製造を止めてしまうからという理由で採用を見送られることが多いからだ。これは、Instrumentalのような企業に対して参入の壁を高くする。

Instrumentalはこの問題を、製造ラインがまだ稼働前の開発段階にあるときに、そのテクノロジーを組み込むことで回避しようとしている。もしスタートアップがそこで価値を証明できれば、製造ラインが開発段階から本番に移行する際にテクノロジーも展開される可能性がある。また、Instrumentalのテクノロジーが最初のラインで機能した場合には、その後他にも立ち上がる製造ライン(「複製ライン」と呼ばれる)全体に拡張することができる。

Instrumentalのハードウェアユニット(提供:Instrumental)

スタートアップは2種類の製品を持つ。1つは開発中の製造ライン用で、もう1つは本番稼働中の製造ライン用だ。一般に1年単位の契約で販売されることが多いエンタープライズソフトウェア契約とは異なり、Instrumentalの製造契約は、CEOが「継続的販売」(Continuous Sale)と呼ぶプロセスを通じて、量に基づいて増額する形態だ。

このモデルによって、同社は、通常は再交渉を行うためには更新期間を待つ必要があるエンタープライズソフトウェア契約よりも、迅速に請求を行うことができ、Instrumentalのビジネスの成長速度を後押ししている。

成長戦略

2000万ドル(約21億円)という資金を得て、Instrumentalは何を計画しているのだろう?シェドレツキー氏はTechCrunchに対して、その最初の目標はスタートアップが最初の顧客の注目を集めている、製造業界の一角を占める電子機器分野でのビジネスを拡大することだと語った。

その取り組みを強化するために、Instrumentalは市場開拓機能を構築し、コアテクノロジーに引き続き取り組むつもりだと彼女は語った。

多くのVC支援企業が過ごすよりも約2倍ほど長いシリーズA以降の期間が経過して、TechCrunchは同社がより大規模なシリーズBにいつ踏み出すのだろうと考えていた。CEOによれば、スタートアップはその信念に従っているだけで、決してわざとゆっくり進もうとしているわけではないという。彼女は、長期的な視野に立つ企業の構築に取り組んでいて、維持可能でかつ大規模なものになりたいのだと強調した。

急激な成長目標を置かない現在のInstrumentalに、Canaanを引きつけたものが何だったのかにTechCrunchは興味を持った。Canaanのゼネラルパートナーであるシモニアン氏は、「Instrumentalのツールは急速に、ビジネスにとっての必須要素になりつつあります。大規模な顧客での更新率は非常に高いものです」と語る。

全世界の電子機器産業の巨大な規模を考えると(Business Wire記事)Instrumentalが売り込める市場規模はほぼ無限だ。この先スタートアップがどれだけ早く成長できるか見てみよう。

関連記事:東大・松尾研発AIスタートアップDeepXが総額16億円の資金調達、建機自動化や工場内作業自動化の事業化加速

カテゴリー:人工知能・AI

タグ:Instrumental 資金調達

Image Credits: Getty Images

原文へ]

(翻訳:sako)