トランプ大統領がTikTok米国事業を禁止する執行権を行使すると記者団に語る

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ドナルド・トランプ大統領は、世界で最も人気のあるショートビデオアプリ「TikTok」を米国で禁止するため「早ければ米国時間8月1日にも行動する可能性がある」と語った(The Hill記事)。

大統領は、7月31日にエアフォースワンの機内で記者団に、TikTokを米国から追放するために「緊急経済権限または執行命令」を行使できると話した。

このニュースは、マイクロソフトがTikTokを買収するために協議中であるとの報道が出てから数時間後に発表された。投資家は3年前のTikTokの価値を500億ドル(約5兆3000億円)と評価していると報じられている(Reuters記事)。トランプ大統領の7月31日の発言では、米企業がTikTokを買収することを支持していないことも示唆している。

同日、トランプ大統領がByteDanceにTikTokの所有権の売却を命じる可能性があると報じられた(Bloomberg記事)。大統領の決定を受けてTikTokはいつものように、アプリを維持することが米国の利益になり、国家安全保障上の脅威にはならないと主張しようとした。

1億人の米国人、特に新型コロナウイルスの感染拡大の時期には、エンターテイメントや人との繋がりを求めてTikTokに来ています。今年だけでByteDanceは1000人近くのスタッフを米国チームに採用し、さらに1万人の従業員を全米の企業の中でも厚待遇で採用できたことを誇りに思っています。当社が設立した10億ドル(約1050億円)のクリエイターファンドは、当社のプラットフォームで生計を立てている米国のクリエイターをサポートしています。TikTok USのユーザーデータは米国内に保管され、従業員のアクセスは厳重に管理されています。そして、TikTokの最大の出資をしているのは米国の投資家です。私たちは、私たちのプラットフォームで創作する人たちに家族の喜びと有意義なキャリアをもたらすために活動を続けているので、ユーザーのプライバシーと安全性の保護に努めています。

トランプ大統領の発表は、米国規制当局が米国の十代の若者たちの間で絶大な人気を誇るTikTokを、北京のスパイツールになる可能性があるという懸念からブロックすることを計画したという、数週間にわたる憶測を裏付けるものだった。

問題は、TikTokの売却や禁止がどのようにかたちになるかということだ。TikTokは北京に拠点を置く中国企業のByteDanceが所有しており、最近では中国で最も有望なテック系スタートアップとして浮上。その評価額は1000億ドル(約11兆円)と言われている。ちなみに同社は、TikTokの中国語版にあたるDouyinを中国のユーザー向けに別途運営している。

ByteDanceは、TikTokを中国の関連団体から遠ざけるために、さまざまな方法を模索してきた。ここ数カ月を見ると、ディズニーの元幹部であるKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏をTikTokのCEOに任命(未訳記事)したほか、アプリのデータを米国内に保存されていると主張するために、米国で1万人の雇用を創出(未訳記事)すると約束するなど多岐に渡っている。

TikTokの通信チームはまた、親会社であるByteDanceの5つの取締役会のうち4つの席が「世界で最も尊敬される世界的な投資家によって占められている」ことを繰り返すことで懸念を和らげようとしている。その中には、Susquehanna International GroupのマネージングディレクターであるArthur Dantchik(アーサー・ダンチク)氏、、General AtlanticのCEOであるWilliam Ford(ウィリアム・フォード)氏、Coatue Managementの創設者であるPhilippe Laffont(フィリップ・ラフフォント)氏、Sequoia ChinaのボスであるNeil Shen(ニール・シェン)氏などが含まれる。ByteDanceの創業者でCEOのZhang Yiming(チャン・イーミン、張一鳴)氏は取締役会の会長を務めている。

注目すべきは、Musical.lyとTikTokの合併が米国に対する国家安全保障上の脅威となるかどうかについての決定(未訳記事)を、対米外国投資委員会(CFIUS)がまだ発表していない(CFIUSリポート)ことだ。TikTokにMusical.lyの売却を命じたとしても、実際にどのように売却が行われるかは不明だ。ByteDanceが2018年にこの2つのアプリを合併した際、同社はMusical.lyの既存ユーザーにTikTokアプリのダウンロードを提案(Digital Music News記事)したが、すでにTikTokのユーザーがいたため、TikTokの現在のユーザーはすべて、厳密にはTikTokのユーザーである。

もし今回の売却がTikTokを対象としたものであれば、ByteDanceは国際的な資産をすべて売却せざるを得なくなるのだろうか。TikTokは米国外にも相当なユーザーがいる。インドが国家安全保障上の懸念を理由にTikTokを禁止する前は、多くの米国政治家の間で批判の的となっていたが、インドはアプリの最大の海外市場であった。

イーミン氏の最悪の悪夢が起こる可能性が高くなってきている。同氏は当初から国際市場を制覇することを目標としてきたが、今では彼のスタートアップが米中関係の格好の標的となっている。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)