TikTok禁止を予期して世界中でVPNの人気が急上昇、なぜ?

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世界の国々がTikTokを禁止あるいは制限する中、バーチャルプライベートネットワーク(VPN)への関心が急速に高まっている。

VPNを使うことによってユーザーは暗号化されたトンネルを通じてオンラインサービスを利用できるようになり、アプリのブロックを回避できる。「ますます多くの国で、国民のアクセスできる情報を政府が制御しようとしている」と世界94カ国で3000以上のサービスを展開しているExpressVPN(エクスプレスVPN)のHarold Li(ハロルド・リー)副社長は言う。「このためVPNは多くの国で禁止されたサイトをアクセスするために利用されている」

実際、ExpressVPNのウェブサイトでは米国政府がTikTok禁止の可能性を表明して以来、トラフィックが前週比10%増加している。同サービスは日本とオーストラリアでも同様の傾向を示しており、政府がTikTokをブロックする可能性を示唆して以来、それぞれ前週比19%と41%トラフィックが増えた。

インドがTikTokを正式に禁止したとき、ExpressVPNのウェブトラフィックは前週比22%伸びた。国のセキュリティー法が制定されて以来TikTokが 自主的に撤退した香港では、10%のトラフィック増だった。

「万能薬」ではない

VPNは、検閲やアプリの禁止といったインターネットの制約を回避する方法として長年人気が高い。TechCrunchは香港の住民が検閲の強化を予測(未訳記事)してVPNServiceに群がったことを報じたが、VPNが万能ではないことを香港メディアの有識者が警告(未訳記事)している。

政府は現地のアプリストアからVPNを削除することで、一般ユーザーが利用するのを困難にすることができる。ユーザーは他国のアプリストアに登録しなくてはならなくなるが、現地のクレジットカードが必要になるなど障壁は高い。国によってはVPNの使用を違法化することさえあり、 ユーザーに罰金課したり(South China Morning Post記事)、VPNメーカーを投獄(South China Morning Post記事)することさえある。中国のように。

アプリが実際どのようにブロックされているかによって、VPNに解決できない問題への取り組み方法があるかもしれない。禁止がどのように実施されるのかまだわかっていないが「VPNを使用したうえで、SIMカードを抜くなどの方法で抜け道を通る必要があるかもしれない」とリー氏は語った。

ユーザーは禁止されたアプリの代わりを探すこともできるが、サービスを乗り換えるコストは高く、ネットワーク効果の高いサービスなら特にそうだ。「例えば、TikTokはネットワーク効果を大いに享受しており、ライバルがユーザー体験で対抗することを困難にしている」(未訳記事)とかつての同僚であるJosh Constine(ジョシュ・コンスティン)氏が指摘していた。

同様に、WeChatが米国で禁止(未訳記事)されることを心配する人にとっても、このユーザー数10億人以上の中国製メッセンジャーに有力な代替品はない。米国に住む離散中国人にとって、中国の支配的チャットアプリであるWeChatは、欧米の主要ソーシャルネットワークが利用できない中国の家族や友達とつながる唯一の方法だ。

小さなアプリは当局のレーダーをかいくぐるように飛んでいる。SignalはライバルのTelegramやWhatsappと異なり、今でも中国で利用可能であり、iOSの中国におけるソーシャルアプリランキングで8月7〜9日の間に順位を51位上げ、現在36位にいる。これも禁止されていないiMessengerを使って米国内と連絡をとっている人たちもいるが、この選択肢はiPhoneユーザーに限られる。

全世界の個人も企業も、サービスの閉鎖に順応できなければ、無料でオープンなインターネットの利用手段が絶たれてしまう。Telegramのファウンダー、Pavel Durov氏が嘆くように、「米国のTikTokに対する行為は、究極的に真のグローバルネットワークとしてのインターネットを壊しかねない危険な前例を作ろうとしている」(Telegram投稿)。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook