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きっかけは原因不明の体調不良、40代女性起業家が更年期夫婦向けサービスに込める想い

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女性特有の美容や健康課題にまつわるFemTech。BLASTが販売しているナプキン不要の生理用ショーツ「Nagi」は販売開始から1週間で2000枚を完売したほか、妊活・不妊治療領域D2CのMEDERIが3000万円調達するなど日々注目されている分野だ。しかし、これまであまり更年期については語られていない。

更年期はライフステージが変わる閉経前後の40代〜50代の女性に突然訪れる。主な症状は頭痛や肩こり、イライラや不眠など、重いときは家事や仕事が手につかなくなり、約20%の女性が退職する経験している。日経BP総研によると更年期女性の人口は1200万人と言われている。

「更年期は風邪や疲労と区別がつきにくいため、表面化しづらいという課題がある」と話すのは、更年期夫婦向けコミュニケーションサービス「wakarimi」(ワカリミ)を運営する44歳の高本玲代氏。wakarimiはLINEを使い、その日の女性の体調を確認できたり、個別相談をしたりすることができるサービスだ。

自身も更年期やそれに伴う夫婦間のコミュニケーションで悩んだ経験から、サービスの開発にたどりついたという。更年期の課題やwakarimiの開発背景について話を聞いた。

高本玲代:セブン&アイ、帝人を経てスタートアップの世界に入り、ヘルスケア分野で2つの事業に関わる。2016年には米国MBAを取得。2020年4月、女性の起業家輩出に特化したインキュベーション事業「Your」を運営するuni’queよりwakarimiをローンチ。

更年期が原因で夫婦ゲンカの日々、症状を夫に知ってもらうサービスを自ら開発

高本氏が起業を検討し始めたのは2016年。夫の海外赴任を機に米国へ移住した際、現地のスタートアップ企業と接点を持ったことがきっかけだ。

「日本では長年、大手企業で働いていましたが、自分にはスタートアップ企業のほうが向いていると思いました。意思決定の早さや年功序列ではなく、一人ひとりに裁量がある働き方が合っていたからです。経営にも興味を持ったので、働きながら大学院でMBAを取得しました。その後、帰国が決まったので、日本でスタートアップを起業することにしたんです」。

事業内容を更年期に定めたのは、自身の原体験にある。40歳を過ぎたあたりから体調の思わしくない日が増えたという。疲れが長引き、仕事のパフォーマンスに支障をきたすように。さらに夫とのケンカも増え、夫婦間のコミュニケーションで悩むようになった。原因を探るため医療機関で働く友人に相談したところ、返ってきたのは「更年期ではないか」という返答。

「実際に病院で検査をしたところ、予想どおり更年期と診断されました。漢方を飲めばある程度症状は和らぎますが、それでも落ち込んだりイライラしたりしてしまい、夫に強く当たったりしてしまう日もありました」。

日本ヘルスケアアドバイザーズの調査によると、3割のカップルが「更年期にケンカが増えた」と答えており、さらに「10人に1人は離婚を考えたことがある」と回答している。

「更年期について『誰にも相談できない』と答えた女性は5割以上います。かつての私のように『症状を夫に理解してもらい関係を良好に保つにはどうしたらいいのか悩んでいる女性のために、更年期夫婦向けコミュニケーションサービスを立ち上げることにしました」と同氏。

地方に住む子育て中の女性でも起業できるチャンスに出会えた

しかし高本氏が置かれていた環境は起業に向いているとは言い難かった。

「働き方に制限があったため、VCからの資金調達は難しいと想定していました。当時の私は夫の仕事の関係で神戸に住んでおり、小さい子供2人の子育てをしている真っ最中。さらにFemTechはまだ新しい分野ということもあり、VCに提案しても『もっと市場の大きい事業にピボットしてほしい』と言われてしまうこともあると起業家仲間に聞きました」。

資金調達のためにいろいろなイベントや勉強会に足を運んでいるなか出会ったのが、uni’que(ユニック)の運営する女性の起業家輩出に特化したインキュベーション事業のYour(ユア)だ。

事業計画を提出して採択されたら、Yourのメンバーが一緒に立ち上げをサポートし新規事業プロジェクトとして発足することができるというシステム。さらに、事業が一定のバーを超えれば子会社化し株式取得のうえ、代表に就任できる。

「子育てとの両立を前提として、伴走しながらサポートしてくれますし、リモートでやり取りができたので地方で子どもを育てている私にとってとても合っている仕組みでした。事業に対しても『更年期という明確なペインに夫婦間コミュニケーションという解決がユニークで、かつ更年期のみならず将来的に幅広いライフステージへの拡張性がある』という評価をいただけたので、wakarimiを事業化することができました」。

責任感の強い女性は「更年期をわかってほしい」と言えない傾向がある

Yourからは立ち上げ資金に加え、デザイナーやエンジニアのメンバーがフルサポート。約1カ月の開発期間を経て、2020年4月にベータ版をローンチした。40代以上の夫婦40組に約4週間利用してもらいヒアリングをしたところ、課題に上がったのが女性側からの「夫に使ってほしいと頼みにくい」という声。

「女性は責任感が強い人が多いので、『更年期だからわかってほしい』と言い出しにくいことがわかりました。さらに『使うことを断られたらどうしよう』と不安に思ってしまうようでした。もともとは40代〜50代の男女両方をターゲットにしていましたが、これらの意見を踏まえ、正式版は男性からの利用開始を働きかけるように大きくシフトしています」。

2020年4月に正式ローンチしたwakarimiは、サービスを通じ男性側から女性側に体調を確認できるプログラムになっている。ユーザーからは「1カ月の間で女性の体調が何日悪いのか数値化されるので心身の辛さが理解できた」や「パートナーが寄り添ってくれるようになり、毎日が楽しくなりました」という声も聞かれるようになったという。

現在は個人向けだが、今後は法人や自治体に対し社員のウェルビーイング向上を目的とした福利厚生の一環として導入をアプローチしていく予定だ。

カテゴリー:フェムテック

タグ:wakarimi