Android Automotive初搭載EVのPolestar 2は駆動性と楽しさでTesla Model 3を上回る

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社会的影響のあるスタートアップを立ち上げた創設者からの5つの教訓

私はTesla Model 3(テスラ・モデル3)よりもPolestar 2(ポールスター2)の運転を楽しんでいる。Polestar 2は、より快適で、より良い作りになっているように見えるし、車内エンターテインメントシステムもより優れている。ただし、従来の自動車の評価基準からすると、Polestar 2はいい車だが、Tesla Model 3よりもお勧めするのは難しい。

Polestar 2は、Tesla Model 3の弱点を突いている点では優れている。Polestar 2は、スウェーデンのラグジュアリーブランドとパートナー関係にあるため、フィット感と仕上げはBMW、Mercedes(メルセデス)、Volvo(ボルボ)に匹敵する。

しかし、この車にはテスラの魅力的なエコシステムに匹敵するものがない。Polestarは自社のEV充電ステーションのネットワークを持っておらず、同社が無線アップデートで斬新なソフトウェア機能をロールアウトするかどうかは不明だ。テスラには、刺激的かつ魅力的なブランド文化があり、この点は車を購入する際に十分考慮する価値がある。

ファーストインプレッション

私はPolestar 2で、郊外やミシガン州の未舗装路を走り回った。高速道路でも運転し、買い物にも使うなど長い朝を過ごした。数時間運転したあと、バッテリーにはまだ120マイル(約193km)走行できる残量が残っていた。

EPA(米環境保護庁)はPolestar 2の航続距離の評価をまだ発表していないが、Polestar自身はフル充電で275マイル(約442km)まで走行できると発表している。実際に私が試乗した限りではもう少し短い250マイル程度(約402km)だった。とはいえ、この車に乗っていた短い時間に未舗装路を走ったり、スピードを出して運転したことが原因かもしれない。ちなみに曲がりくねった未舗装道路は、AWDシステムと49/51の前後重量配分のおかげで乗り心地はよかった。

Polestar 2は素敵な車で品質も最高だ。ドアはバタンと音を立てて閉まり、シートは支えがあって快適で、ダッシュボードはリサイクル素材で作られている。高級であると同時に環境問題に対して責任をもつなど、まるで成熟した自動車会社が作った車のようだ。

私はPolestar 2がいかによくできているかを詳しく説明することができないが、この完成度はPolestarとボルボとの密接な関係によるものだろう。

3年前にボルボとGeely(ジーリー)の2社の合弁でスタートしたPolestarは、すぐに独立して独自の自動車メーカーとなった。とはいえ、独立後も両社との関係は深い。同社は、ボルボ、ゼネラルモーターズ、BMWと同様に、自動車のOEM(相手先ブランドでの生産メーカー)とみなされており、車体番号、製造施設、経営陣などは独立している。

Polestar 2は、同社の第2世代モデルだ。同社は15万5000ドル(約1650万円)のハイブリッドスポーツカーのPolestar 1からスタートしたが、限定1500台の生産でこの3年で北米に輸出されたのはわずか450台だ。数週間前に市販のPolestar 1に乗ってみたが、パワートレイン(駆動システム)が素晴らしいことがわかった(未訳記事)。ハイブリッドシステムは、最高のスポーツカーと同じレベルの優れた車になるようにチューニングされていた。

Polestarによると、同社の車は運転が楽しくなるようにデザインされており、2つタイプに分かれているという。ハイブリッドのPolestar 1は、パワフルで力強い運転ができる。全電気式のPolestar 2はPolestar 1とは当然異なり、運転者の楽しみに合わせて調整されている。前述のようにPolestar 2はTesla Model 3よりも運転しやすい車だと感じた。

Polestar 2の電気モーターは、制御された状態で動力を供給する。電気式のPolestar 2は、ギクシャクした感じはなく滑らかで洗練されている。アクセルを踏み込むと徐々にパワーを蓄え、ゆっくりと始動して素早く加速する。5秒以内に時速60マイル(約96km)を叩き出すことができるので、ファミリーカーとしては十分な速さだ。私の経験では、Model 3の電力供給は加速の瞬間に多くの電力を供給するようにチューニングされている。Model 3は非常に速いのだが、標準モードでも一部の人には速すぎるかもしれない。

Polestar 2とModel 3の加速の違いは、微妙だが本質的なものだ。Model 3は、ドラッグレースではPolestar 2を抜き去ることができるが、それはほとんどのドライバーには関係ないだろう。私にとっては、少し遅くても十分に速いPolestar 2のほうが運転していて楽しい。

Polestar 2では、安定して曲がれるし、アンダーステアもまったくない。最高の4ドアセダンのような制御性能を備えている。これにはいくつかの理由がある。1つは、車重のバランスがほぼ完璧で、フロントが49%、リアが51%になっている点。そして、その重量のほとんどがバッテリーが配置されている車の底部に集中しており、車体の揺れを軽減している。もう1つは、各車軸に搭載された電気モーターがAWDシステムを介して素晴らしいトラクション(牽引力)を生み出している。

私は数時間しか乗っていないので「Polestar 2を毎日運転するのはどうなのか?」と聞かれたら「まだ何とも言えない」としか答えられない。しかし、後部座席は中型車にしては十分な広さで、床面積はTesla Model 3よりも充実しているように感じた。ハッチエリアは広く、フロントには小さな収納スペースがある。

Polestar 2では航続距離が欠点になるかもしれない。Tesla Model 3と比較すると、Polestar 2の航続距離は短いのだ。Model 3はフル充電で322マイル(約518km)を走行できるが、Polestar 2の航続距離は約275マイル(442km)だ。興味深いことに、Polestar 2はModel 3よりも大きなバッテリーパックを搭載している。しかし、Polestar 2はガソリン車にも使用されているボルボ/Geelyのプラットフォーム上に構築されており、車体が重いことも航続距離に影響しているのだろう。

Polestar 2には、ボルボのデザイン言語のヒントが随所に見られる。私にとっては、未来的でシックなデザインでとても気に入っている。存在感と落ち着きがあるほか、ボディーは滑らかでありながら角張っている。内装も同じで実線とシャープな曲線で構成されている。

PolestarのCEOであるThomas Ingenlath(トーマス・インゲンラート)氏は、長年のカーデザイナーであり、Polestar 2が彼の影響を受けていることは明らかだ。デザインは、Polestarを体験するうえで最も重要なポイントだろう。インゲンラート氏は、Volkswagen(フォルクスワーゲン)グループのAudi(アウディ)やSkoda(シュコダ)で同様の役職を歴任した後、Polestar入社前はボルボのデザイン担当上級副社長を務めた人物だ。

Polestar 2のインテリアは、ほかの車よりも必要最低限のシンプルなものだがModel 3よりは少し複雑だ。ハザードライト、ラジオのスイッチ、後部エアコン、前部エアコン、音量調節ノブなど、物理的なボタンはほとんどない。ステアリングホイール(ハンドル)の左右にある2本の軸がこれらの機能を制御する。ステアリングホイールはボルボの最新の車から供給されたもので、メディアコントロールとクルーズコントロールが利用できる。

センタースクリーンは大型で見やすく見やすい位置に配置されている。Polestar 2で数時間走行した際に不快な眩しさは経験しなかった。なお、写真ではセンタースクリーンが薄暗いが、これは運転席から離れるとバッテリーを節約するために画面を暗くする仕様のためだ。

結局のところ、製造品質が最も重要であることに変わりはない。Polestar 2はModel 3のようにリスクを感じない。Model 3にはこれまで、数多くの設計上および製造上の問題があった。Polestar 2はスタートアップ企業の第2世代の車ではないと感じる。

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Android AutoではないAndroid Automotiveを搭載

Polestarは、Android Automotiveを提供する最初の企業だ。従来のAndroid Autoとは異なり、Polestar 2の主要なインターフェースになっている。ラジオから気候情報、車両の設定や地図、アプリ、コネクテッドサービスまで、すべてを制御するシステムだ。

Android Automotiveは素晴らしい。インターフェイスはすっきりとしていて、最高のスマートフォンのように反応がいい。すべての機能を利用するには、ユーザーはGoogleアカウントにサインインする必要がある。普段使っているメインアカウントにログインしてもしい、Polestar 2のためだけに別のアカウントを作成していいだろう。いずれにしても、一度サインインするとGoogle Homeアカウントに接続されているデバイスを含め、地図、アプリ、その他のサービスに接続することができる。もちろんAndroid Automotiveは、Googleアカウントにサインインしなくても使用できる。このステップをスキップしてもユーザーはほとんどの機能にアクセスできるが、一部のパーソナライズオプションは利用できない。

Android AutomotiveはGoogleアシスタントを内蔵している。そして、私がこれまで使った車内音声サービスの中で初めてうまく機能した。「OK、Google、Spotifyをオンにして」と言うだけでSpotifyを使える。場所を伝えれば、その場所を表示してくれる。温度を変更するように頼むと、Android Automotiveが車載のエアコンを制御してくれる。いくつかの機能はネット接続が必要になるが、ほとんどの車内設定はネット接続なしで使える。

私がPolestar 2に乗っている間、Android Automotiveには本当に感銘を受けた。使い勝手を考えてUI/UXが論理的に設計されている。なお、このシステムは近々ほかの車にも導入される予定で、前述のようにPolestarはシステムを導入した最初の自動車メーカーにすぎない。

Android AutomotiveはiOSデバイスでも動作するようだ。Polestar 2は近日中に無線アップデートでCarPlayにも対応する。iPhoneユーザーはBluetooth接続でAndroid Automotiveとペアリングできるようになる。

Polestarとテスラ、どちらを選ぶべきか

私はPolestar 2に感銘を受けたものの、全力でお勧めするのは難しい。私にとっては、航続距離が短くてもModel 3よりも優れた車だと感じる。しかし、Polestar 2には欠けているものがあるのだ。

テスラ車にはさまざまな欠点があるものの、テスラは革新的ないくつかの事業を展開してきた。全国に充電ステーションのネットワークを構築し、ソフトウェアアップデートで常に新しい機能を提供し、オーナーに喜びと感動、そして驚きを与えている。例えば、犬だけを車に残しても適切に温度管理してくれるペットモードなどがある。同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏のTwitterアカウント宛てにペットモードが提案されたあと、テスラはすぐにセンタースクリーンに情報を表示しながらオーナーがペットを安全に車内に待機させておけるモードをロールアウトした。これはほんの1つの事例に過ぎないが、テスラ車の乗車体験について理解しやすい内容だろう。Polestarが同じような乗車体験をPolestar 2で提供するかどうかは不明だ。実際のところ、その可能性は低いと考えられる。

PolestarはModel 3ではなく、むしろテスラに対抗して販売している。テスラ車を購入するということは、その車を補完する各種サービスのエコシステムを購入することだ。テスラは車がライフスタイルの選択肢の1つであることをよく知っており、素晴らしい文化を築いた。

Polestarの幹部は、自分たちが苦しい戦いをしていることを理解しているようだ。一方では、同社はテスラのエコシステムや文化と戦っており、同社はテスラの足跡をたどっているようにも見える。同社は、ディーラーでの車の販売を止め、テスラの直営店のように高級ブランド店が並ぶ有名なショッピングエリアのような注目度の高い場所に店舗をオープンさせている。まさにテスラのショールームと同じだ。テスラと異なるのは、購入者がより早く車を入手できるようにするため、これらの店舗はボルボのディーラーが所有しており、販売とサービスを手掛ける。

Polestarは、テスラではなく欧州ブランドの高級中型車に対抗して販売している側面もある。少なくとも同社は公式にそう説明している。これには一理あるだろう。Polestar車の製造品質はテスラよりも優れており、ヨーロッパの最高品質と同レベルだからだ。

結局のところ、Polestar 2はTesla Model 3よりも優れているのか?答えは「イエス」だ。しかし、どちらを買うかを決めるのは複雑な問題も絡み合う。

Tesla Model 3は、充電でより遠くまで走ることができ、テスラのスーパーチャージャーネットワークとシームレスに統合されている。これは購入時に考慮すべき重要な要素だろう。新しい機能を展開し続けるというテスラの方針は車を常に最新で刺激的な状態に保てる。こちらも購入者にとってもは見逃せないポイントだ。

Polestar 2はModel 3よりも価格が高いが、同じ価格帯の車だと言える。各種装備を整えたPolestar 2の価格は6万ドル(約640万円)前後から、同様のスペックを備えるModel 3の価格は5万ドル(約530万円)前後からとなっている。ただし米国では、Polestar 2は7500ドル(約80万円)の税額控除の対象となる。

テスラはさておき、PolestarはPolestar 2という素晴らしい車を作っており、これは賞賛されるべきことだ。この自動車会社は3年前に設立され、世界中に800人の従業員がいるだけで、まだ世界レベルの自動車を作る段階には至っていない。にもかかわらず、このような展開ができる自動車会社はほかにほとんどないだろう。そしてPolestarには将来の大きな計画がある。SUVのPolestar 3を2022年に発売する予定で、まったく新しいプラットフォームで航続距離もずっと長くなるそうだ。

いまは、Polestarが車を作ったという情報を周知させることが最も重要だ。

関連記事:テスラのライバルPolestarが2020年夏発売する初EVの米国価格は約640万円

カテゴリー:モビリティ

タグ:Polestar 電気自動車 レビュー

画像クレジット:Matt Burns

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(翻訳:TechCrunch Japan)