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Palantirの上場申請書の一部がリーク、2019年の損失は約612億円で政府依存率上昇

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Palantirが直接上場後にロックアップ期間を設定か

Palantirが米証券取引委員会に非公開で株式上場のためのS-1申請書を提出したのは7月上旬だった。ここにきて株主の一人がTechCrunchに申請書のスクリーンショットを送ってくれた。これによって重要な数字のいくつかを知ることができた。申請書提出以来、実は我々も耳を澄ましてきたがこのリーク以前には何の噂も聞こえてこなかった。

通年収入と損益

8月20日付の S 1申請書の草稿のスクリーンショットによればPalantir2019会計年度の総収入はおよそ7億4200万ドル(約785億円)だった(Palantirの会計年度は暦年)。総収入は2018年の5億9500万ドル(約629億円)に比べておよそ25%のアップとなっている。これは確かに成長ではあるものの、急成長著しいSaaS分野としては、例えば最近上場したDatadogの例と比べてさして印象的なものではない。

Palantirは何年にもわたって総収入10億ドル達成が間近だと報道されてきただけに、この数字には失望させられる。非公開企業が財務状況について発表することはあまりないとはいえ、今回我々が入手した数字はこれまでの報道やリーク、噂などに比べてはるかに小さい。

しかし本当に驚かされるのは決算の一番下の行、損益を示すいわゆるボトムラインだ。 スクリーンショットによればPalantirは2019年度の純損失として5.8億ドルを計上している。これは2018年度の損失とほぼ同額だ。ただし同社は2018年の収入対損失の率を97%としていたのに対し今回の損失率は78%と改善されている。

同社が5億7900万ドル(約612億円)もの赤字を出していた事実はこれまでなぜ何十億ドルもの資金を調達しなければならなかったかを説明するものだ。同時にPalantirが損益分岐点を超えて安定した経営に達するまでの道のりがまだ相当に長いことを予想させる。

2019年の同社の粗利益は2018年に比べて16%高く、およそ5億ドル(約529億円)だった。同社の資質の最大のものはセールスとマーケティングであり両面とも4億5000万ドル(約476億円)程度で、2019年では総収入の61%を占めていた。

2020年の上半期は改善傾向

2020年に状況はやや改善された。2020年の最初の6か月でPalantirは4億8100万ドル(約509億円)の収入を得た。 これは昨年同期比で49%のアップだ。さらに重要な点だが、Palantirはセールスとマーケティングなどの営業費用に加えて研究、開発、一般管理費などの支出レベルを昨年なみに抑える努力を続けている。

Palantirはf2020年上半期に収入が増加したにも関わらず支出を前年と同程度に抑えた。 営業費用と収入の比率でいえば、2019年上半期には157%だったところ、2020年の同期では107%に低下している。

とはいえ創業17年の会社にしては絶対的な数値として依然として高い水準だ 。

政府契約への依存は率、額ともアップ

今回のリークで特に興味深い点の1つは同社が政府契約に一体どれほど依存しているのか、また契約先の多様化の成果が上がっているのか、正確に判断できるチャンスが訪れたことだ。同社は以前から政府契約に依存した会社と見られていたが近年、民間市場への進出の努力を始めていた。

TechCrunchが入手したスクリーンショットには、2019年の上半期収入の内訳と2020年の上半期を比較したデータが含まれていた。これによると、昨年2019年の上半期の政府契約は収入の45%で1億4600万ドル(約154億円) 、民間部門は55%の1億7700万ドル(約187億円)だった。これにに対し今年上半期は、政府契約が53.5%で2億5800万ドル(約273億円)、民間契約ぶんは46.5%で2億2400万ドル(約237億円)だった。つまり政府部門からの収入は76%増加したが民間市場からの収入は27%しか増加していない。

このことは政府契約への依存度を減らしているという同社のこれまでの言明と矛盾する。同社の政府契約からの収入は実額でも総収入に対する比率でもアップしている。これは従来から同社が鉄壁としていた政府部門を別にした民間部門において十分な競争力を持っているのかどうかについて疑念を生じさせるものだ。

さらに興味ある点は、巨額のセールスおよびマーケティング費用を支出しているにもかかわらず、収入増加のほとんどが2020年の新規クライアントからではなく、2019末現在に契約していたクライアントから来ていることだ。政府部門についてみると、1億1200万ドル(約118億円)の収入増のうち91%にあたる1億200万ドル(約107億円)は既存の契約者から来ている。また民間部門についても4700万ドル(約50億円)のアップのうち同じく91%の4300万ドル(約45億円)が既存ユーザーからのものだ。

簡単に言えばPalantirは既存ユーザーに強く依存しておりその中でも政府部門への依存が強い。成長を目指すにあたってもこうしたユーザーが頼りということになる。

Palantirの財務に関する数字は広く出回っているとはいえ、S-1申請書が公開される日時はまだ不明だ。 しかしこれまで予想されていたよりは早い時期に公開されるらしい。

我々はPalantirに取材したが、広報担当者はコメントを避けた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook