Y Combinatorの2020年夏のデモ・デイ1日目の98社を紹介(その3)

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Y Combinatorの2020年夏のデモ・デイ1日目の98社を紹介(その2)

米国時間8月24日は、Y Combinator(YC)の2部構成の「Summer 2020 Demo Day」の一部で、100社近くの企業が初めて世界に向けて自分たちの取り組みを披露した。

2020年夏のデモデイは、YCのコホートとしては初の完全リモートとなった。新型コロナウイルスの感染拡大の深刻さが3月に明らかになったことを受けて、YCは2020年冬のクラスのデモデイの部分を土壇場でバーチャルに変更。そのため、デモデイの主要な部分を取りやめてしまった。ライブピッチの代わりに、2020年冬クラスの各企業は1枚のスライドと会社の簡単な説明文を使ってピッチを行った。

YCは今回は明らかに準備に時間を割いていたようで、実際のイベントと同じようにデモデイを体験することができた。わずか60秒の驚くほどの速さで行われた一連のライブピッチで、各企業は投資家、メディア、創業者仲間の聴衆に向けて事業の要点を紹介した。

この記事では、本日発表された各企業について登壇順に41〜60社目までを紹介する。

SockSoho
インドのユニクロを目指す消費者直販型の衣料品会社。現在はメンズドレスソックスに特化した商品を展開している。注文の大半はWhatsApp上で処理されており、創業者のSimarpreet Singh(シマープリート・シン)氏によると、同社のMRR(月次経常収益)は15万ドル(約1600万円)、マージンは70%に達しているという。

HumanLoop
難解なデータセット上で自然言語処理に注釈を付け、トレーニング・拡張するソフトウェアを構築。このスタートアップは、弁護士、医師、会計士が扱うデータに特化したAIを開発している。通常は、専門業者にデータ処理を頼む必要があるが、同社のサービスを利用することでコストダウンが図れる。

BanditML
誰もが好きなUberのダイナミック・プライシングのようなアルゴリズムを、他社へ提供することを目指すスタートアップ。BanditMLでは、プロモーションをいつどのようにして顧客に送るかを最適化したシステムを構築し、今月だけで100万ドル(約1億600万円)近くのプロモーションを実施した。

Statiq

画像クレジット: Statiq

個人宅やビルにEV充電ポイントを提供し、1つアプリですべてのポイントにアクセスが可能にする。 これまでStatiqは、週500回の充電セッション、1日あたり約70回の充電実績があり、うまくいっているように見える。 同社によると、毎週約10%成長しているとのこと。同サービスの手数料は明らかにされなかったが、Statiqの先週の純収益は1万2000ドル(約127万円)とのこと。 つまり、1回の充電あたり2ドル程度の手数料を取っているようだ。 Statiqは「インド政府の政策によってEV充電ポイントが市場により多く導入されるだろう」と述べた。人々を呼び込もうとしているスタートアップにとってはいい流れだろう。

Rally
新型コロナウイルスの感染蔓延により、Zoomは友人と連絡を取り合おうとしているウェブユーザーにとって必要なツールであることが判明した。 Zoomはもともと企業向けだが、Rallyはコミュニティのために作られたビデオチャットプラットフォームだ。 このアプリはブレイクアウトルーム(会議の参加者をグループ分けして議論できる機能)を進化させ、「近くで」起こっている会話の一部をかすかに耳できるようにすることで、雑談体験を再現しようとしている。

Jemi
コンテンツ制作者がファンに体験談(ビデオ通話やシャウト)や商品を販売するためのプラットフォーム。 取引の15%を手数料として徴収しており、現在のところGMV(総売上金額)は1万7000ドル(約181万円)程度で、週比で30%の成長を見せているという。

In Stock
新型コロナウイルスの流行で地元の小売店がシャッターを下ろしたままになっている中、In StockはAmazonプライムに勝るとも劣らない配送サービスを提供したいと考えている。 具体的には、小売店がAmazonプライムよりも安い価格で、当日配達を提供するのを支援する。カリフォルニア州のサンタクルーズで6週間前に創業したIn Stockは、ユニットの経済性にも優れている。In Stockは現在1日10件の注文を処理しており、創業者のIan McHenry(イアン・マクヘンリー)氏はAmazonを恐れていない。

KeyDB
インメモリデータベースのRedisよりも「最大5倍高速」なNoSQLデータベースを開発。現在月間4万件のダウンロードがあり、初期の顧客としてHP Enterpriseを挙げている。

Kingdom Supercultures
微生物は何千年もの間、ビールやチーズ、コンブチャ(紅茶キノコ)、ワインの製造に役立ってきた。 Kingdom Superculturesは、これらの既存の微生物を利用して新しい「微生物コミュニティ」を設計し、全米の食品ブランドがかつて存在したことのない食品を作り出すことを支援する。現在、健康で持続可能な食品開発に焦点を当てたブランドに技術を供与している。

OpenBiome
排泄物の血液バンク的なサービスを展開。糞便注入によって体内の細菌のバランスを回復させることで、特定の感染症の治癒に役立つそうだ。OpenBiomeによると、これまで5万5000人の患者を治療し、おそらく数千人の命を救ってきた世界最大の移植プロバイダーだという。同社は1500万ドル(約15億9660万円)の収益を上げる持続可能な非営利団体であり、新しい治療法への拡大を目指している。

MilkRun
都市部に住む人々と乳製品や農産物などの地元の食品につなげるサービスを展開。 MilkRunは、シアトルに照準を合わせるまで、ポートランドでは月に42万5000ドル(4523万円)のGMV(総売上金額)を達成している。この北部の雨の多い都市で最初の6週間のMRR(月次経常収益)を6万2000ドル(約660万円)に増やした。Amazonのジェフ・ベゾスCEOの名言である「あなたの利益はAmazonのチャンスである」に倣い、MilkRunは現在食品に費やされているコストの大部分は包装と流通で「効率の悪さがチャンスである」と語った。

Thndr
中東版Robinhood(証券取引手数料がゼロの証券取引アプリ)を目指している。Thndrの無料アプリを利用することで、ユーザーは株式や債券、ファンドに手数料無料で投資できる。 Robinhoodは米国の取引所で一世を風靡したが、中東の投資家にはいまのところ注目されていない。Thndrは中東の投資家にRobinhoodのような成功を再現することを目指している。

Mesh
従業員が作業内容を共有したり、お互いの進捗状況を確認したり、フィードバックを共有したりすることができるソーシャルネットワークサービスを提供。 現在、従業員10人未満のチームには無料で、それ以降は従業員1人あたり月額5ドルからのプランを提供している。現在、8社の企業と実証実験を進めている。

KiteKRAFT

企業にとってより実行可能な風力発電システムを構築することを目標に、空飛ぶ風力タービンを開発している。 KiteKRAFTの風力タービンは、従来の半分のコスト、10分の1の材料で、幅7フィート(約2m)のプロトタイプをすでに飛行させているという。最初の使用例は、マイクログリッド、つまり通常はディーゼル発電機や太陽エネルギーで電力を供給する小規模なエネルギーネットワークとなる。

kSense
企業は社内で大量のデータを収集・処理する必要があるが、多くの場合は外部の業者の協力が不可欠だ。しかし、これは必ずしも実用的ではない。kSenseはオープンソースのコアを使って内部でデータ収集を行うためにこのツールを構築している。

Blissway
通行料の支払い方法は不便で、料金支払いのために立ち止まるのはさらに面倒。Blisswayは米国での料金支払いプロセスを改善したいと考えている。現在の料金支払いシステムは、ハードウェアが90%、ソフトウェアが10%。同社は「何カ月もかけて世界中を走る高速道路」に展開可能なソリューションを提供し、課金ハードウェアから顧客への請求まで、あらゆるものを処理することを計画している。

Gilgamesh Pharmaceuticals
ADHDや気分障害、オピオイド障害、うつ病などのさまざまな病気の治療に抗精神病薬を使用することを目指す医療技術企業。

inSoma Bio
乳房再建などの手術で形成外科医が脂肪を「再構築」するのを助けるゲルに焦点を当てたバイオマテリアル企業。inSoma Bioによると、このジェルは脂肪の体積を2倍にすることができ、インプラント(シリコン製人工乳房)をなくせる可能性があるという。

Future Fields
研究室で生産された肉や他の肉の代替品、いわゆる細胞農業は製造コストが高いため、消費者が購入できる価格に抑えることが難しい。Future Fieldsは、商業農業が進めている現状よりもコスト効率が高く、拡張性の高い細胞増殖培地製品を販売している。

Flat
ラテンアメリカで家の売買を手掛けるスタートアップ。 低価格で購入し、修理して高価格で販売している。これは実証済みのモデルだが、ラテンアメリカでは2倍の収益性があると創業者は主張している。メキシコ版Opendoorを目指すFlatは、Opendoorの創業者の支援も受けており、2500万ドル(26億5900万円)の借入枠を確保して事業規模を拡大している。

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(翻訳:TechCrunch Japan)