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TikTokは来たるべき禁止令をめぐって米国政府を提訴する

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TikTok(ティックトック)は、米国市場で同社の事業を禁止するというトランプ政権の判断を巡って、米連邦裁判所に提訴する構えだ。この禁止令に対して、TikTokは間もなく法的な異議を申し立てるとの報道は、米国時間8月24日の同社ブログにおける正式な訴訟の発表(TikTokリリース)を待つことなく、すでに先週末に駆けめぐっていた(CNBC記事)。TikTokは、証拠もなく適正な手続きも経ずに発行されたことを理由に、Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏の大統領令に対抗する考えだ。

「TikTokが国家の安全保障上の脅威であるとする政権の立場に、私たちは強く反対します。こうした反対意見は以前から訴えてきたものです」とブログ記事には書かれている。

この懸念に関して、これまで重ねてきた努力をトランプ政権は無視しているとTikTokは訴える。事実、トランプ氏は同アプリが中国政府とつながっているため国家安全保障上の脅威だと公言している。

TikTokはさらに、米国ユーザーのデータは、中国国外である米国とシンガポールのサーバーに保管して守っていると主張している。ソフトウェアによる障壁を設け、TikTokの中国の親会社であるByteDance(字節跳動、バイトダンス)が運営する製品とは確実にデータを分離しているとも話している。

この訴訟ではまた、2007年にByteDanceが後にTikTokとなるMusical.ly(ミュージカリー)を買収した際に実行されたCFIUS(対米外国投資委員会)による国家安全保障審査を通じて、すでに米国政府はTikTokの活動を把握しているとも指摘している。その審査の一環として、米国政府はTikTokが書類で示した安全保障対策を調査し、取引の推進を許可する結論を出している。

しかし目下の問題は、TikTokが主張していることではない。たとえTikTokがデータの保管場所などを示したとしても、それだけでは十分ではないと評論家たちはいう。懸念は、中国がByteDanceなどのテック企業に対して要請があればすべてのデータを中国政府に引き渡すよう命じた中国のサイバーセキュリティー法(Vox記事)に関するものだ。事実これは、党派を超えて米国議会が危惧する問題(Vox記事)でもある。1つ例を挙げるならば、Joseph Biden(ジョー・バイデン)氏の選挙事務所では、スマートフォンからTikTokを削除するようスタッフに求めた(CNN記事)。

TikTokはその懸念に対して、経営幹部は中国の法律が及ばない米国人で固めていると指摘し反論している。幹部にはCEOのKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏、グローバル最高セキュリティー責任者(TikTok News記事)のRoland Cloutier(ローランド・クルーティエ)氏、そして相談役(PR Newsroom記事)であるErich Andersen(エリック・アンダーセン)氏らが名を連ねる。しかも、同社の米国向けコンテンツのモデレーションは、中国から独立した米国独自のチームで行われていると同社は強調している。

大統領令に対する異議申立においてTikTokは、トランプ氏の大統領令は米国際緊急経済権限法(IEEPA)の要件を満たしていないと訴えている。この法律は米国政府は「異例で重大な脅威」と認められた活動の禁止を許可するものだ。

(事前、事後に関わらず)いかなる通知も聴取の機会もなくTikTokを禁止すれば、この大統領令は、法の適正な過程を求めた米国憲法修正第5条に違反します。真正な国家安全保障を根拠としておらず、「異例で重大な脅威」を示していない活動の禁止を許可するという点において、この大統領令は権限踰越となります。

またTikTokは米国政府に対して、禁止されたなら、同社が米国に創出してきた1万件(Reuters記事)、さらに今後3年間に拡大される雇用が失われると訴えている。TikTokの従業員たちも、この禁止令への独自の異議申立(CBS News記事)を行う計画であるとも伝えられている。

この数日、同動画アプリのメーカーは、禁止令に対抗するためにさまざまな方面で対策をとっている。

先日、TikTokは一般向けに情報発信ハブを立ち上げた(未訳記事)。そこでは、アプリやデータのプライバシーに関する質問に答えている。これは「記録を修正する」ための取り組みだと同社は話している。だが、こうした努力とは裏腹に、TikTokは米国ユーザーのデータを提出せよと中国政府に要請された場合、本当に断れるのかという不安が、まだある程度残されている。TikTokを米国に留らせるなら米国での事業を完全に取り上げるべきだと、禁止令を支持する人たちが主張するのはそのためだ。

さらに最近の報道は、TikTokが表明した約束に対して疑問を抱く理由を米国に与えている。例えばThe New York Timesの記事は、内部資料によると同アプリのユーザーの3分の1は14歳以下であると伝えている。これは児童オンラインプライバシー保護法が定めたガイドラインに、同社はどうやって準拠してきたのかという疑問を抱かせる。この法律により、TikTokは2018年に570万ドル(約6億円)の罰金を課せられている。児童のオンラインプライバシーに関して責任ある行動が取れないならば、他の問題にどう対処できるのかと同紙は疑問を投げかけた。

だがTikTok自身、現実にこの異議申立に実際に勝利しなくても、事業の存続は可能だとも考えている。2020年11月の大統領選挙でトランプ氏が敗れれば、新政権はTikTok問題に関して別の戦略を打ち出してくる可能性がある。大統領令の廃止すら夢ではない。

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画像クレジット:CHRIS DELMAS/AFP / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)