Semalytixが世界最大の患者の体験をまとめたデータセット構築を目指し5.4億円調達

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患者の実体験の深い理解に役立てるAIを活用したデータツールを製薬会社に提供する、ドイツのビーレフェルトに拠点を置くスタートアップのSemalytix(セマリティクス)が、シリーズAで430万ユーロ(約5億5000万円)を調達した。

ベンチャーキャピタルのbtov Partnersがラウンドをリードし、既存投資家からFly Venturesと未公表のエンジェルが参加した。Semalytixは、注入されたキャッシュで製薬会社と、さらにより広範なヘルスケア市場での事業開発を拡大する。

Semalytixは、研究グループであるSemantic Computing(セマンティックコンピューティング)からスピンアウトする形で2015年に設立された。データおよびAIアナリティクスのスタートアップとして売り出し中だ。同社は、新薬や治療法の開発に役立つ現実に即した情報を提供したいと考えている。Semalytixの主力製品である「Pharos」は患者に関する研究ツールでブログ、フォーラム、ソーシャルメディアなどの形で一般に公開されている非構造化データを取得して整理し、アルゴリズムを適用する。そして満たされていない患者のニーズ、治療の体験、病気が患者の生活に与える影響の深刻度に関する情報を提供する。

「我々のビジョンは、患者に関する洞察を医薬品開発における北極星のようなKPIとすることだ」とSemalytixの共同創業者兼CEOのJanik Jaskolski(ジャニク・ジャスコルスキー)氏は筆者に語った。「新しい規制イニシアチブ(および世論のプレッシャー)により、製薬会社は創薬において患者中心主義を貫いていると証明する必要がある。意思決定に患者の視点を組み込み、治療が現実世界で価値を生み出すという証拠を提供する必要がある。患者にとっての価値は、例えば血糖値がさらに3%低下するということではない。生活の質を向上させて、子供たちともっと遊ぶことができるか、単純に日々の仕事が楽になるのかに関心がある」。

しかしジャスコルスキー氏は、患者の洞察に関する根拠を入手するのは難しいと主張する。「患者は尋ねられると多くの場合、医師ならどういうかということを考えるため、病気が自分の生活にどう影響するか、改善するには何が必要かについて本心とは異なる話をする。医師や病院のデータを分析しないのはこのためだ。代わりにオンラインで入手できる世界中の患者の本物の声に注目している」。

SemalytixのAIは、非常にスケーラブルな方法で何百万ものオンライン患者の体験を識別し、読み込み、要約できるという。11の異なる言語をカバーし、データをさまざまな疾患ごとにオンライン上の目的母集団に変換することも可能だ。「WHO(世界保健機関)、FDA(米食品医薬品局)、EMA(欧州医薬品庁)にヒントを得たアルゴリズム研究ツールにより、分析を製薬業界にとって透明かつ科学的に意味のあるものにした」とジャスコルスキー氏は付け加えた。

画像クレジット:Semalytix

電子カルテや患者の登録情報のようなデータソースはすでにスタートアップから多くの注目を集めているが、ジャスコルスキー氏は今日存在する非構造化患者データの最大の情報源はなお見逃されているという。同氏は非構造化患者データが「患者のケアを改善し、新しい治療法の発見につながる可能性」を持っており、臨床試験の開発に役立つ情報を提供し、稀な症状に対する新しい治療法の開発を加速することさえ可能だと主張する。

Semalytixのビジネスモデルは実証済みだ。同社はプラットフォームにアクセスできる法人向けライセンスを販売している。企業は疾患ごとに12カ月以上の条件でライセンスを購入できる。「ライセンスにより疾患固有のサブグループ分析や母集団の評価ができるだけでなく、さまざまな疾患の重症度、治療体験、生活の質に基づくコホートを作成することができる」とジャスコルスキー氏は付け加えた。

「今後、プラットフォームにもっと多くの疾患を取り入れ、製薬会社だけでなく保険者(payer)やヘルスケアの規制当局側にも患者に関する一連の独自データを提供したいと考えている」。

カテゴリー:ヘルステック

タグ:Semalytix 資金調達

画像クレジット:Semalytix

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(翻訳:Mizoguchi