1本のバイラルな記事が中国フードデリバリー業界の狂乱にブレーキをかける

次の記事

ソフトウェア自動化プラットフォームのChefを開発ツールメーカーのProgressが買収

中国のフードデリバリードライバーは、毎日がアルゴリズムと交通警察と不機嫌な客との果てしない戦いように感じているかもしれない。

中国のフードデリバリー配達員の危険な労働環境に深く切り込んだ1本の記事が、米国時間9月8日にインターネットを駆け巡り、アルゴリズムが人間に与えている害が国中で槍玉に挙げられた。

中国の中心地に行けば、スクーターに乗った大量の配達員がスピードを出して警笛を鳴らしながら走るところを見ない日はない。中国のPeople誌の調査レポートによると、彼らの危険運転の主な原因は、配達の遅れを罰する厳しいアルゴリズムのためだという。しかも、コンピューターは天候や交通状況などの現状を完全には考慮しておらず、ドライバーの命が危険に晒されることも多い。記事は数時間のうちに10万ビュー以上を記録し、広くシェアされてWeChatメッセンジャーの上で議論された。

フードデリバリー業者が最新の機械学習を使って高速配達を益々謳うようになるにつれ、アルゴリズムがドライバーに課すゴールはエスカレートし、実現するためには交通規則を破って長時間働くしかなくなっている。注文する顧客は家の中でアプリをタップするだけで、危険な配達の旅とは無縁だ。悪いレビューや給料カットを避けるために、配達員はスピードを出し歩行者を警笛で追い払って時間内に届けようとする。

2019年前半の6カ月間に、上海では食品と小荷物配達ドライバーだけで325件の死傷者が報告された。Alibaba(アリババ)のEle.meとTencent(テンセント)傘下のMeituanというフードデリバリーの2大サービスだけで事故の70%近くを占めている。

「ほとんどの人は注文が2分早く届こうが10分遅れようが気にしない。業者は実際、ドライバーにもっと猶予を与えられるはず。みんなが思うよりも客は忍耐強い」と書かれたコメントには3万3000件の「いいね」がついた。

その一方にあるのが巨大な市場機会だ。中国のフードデリバリー業界は、2020年に6650億人民元(約10兆3000億円)に達すると推定されている(艾媒网記事)。2020年3月時点で中国インターネット利用者の45%近い3億9800人がオンラインで食事を注文したことがある。対して米国のオンラインデリバリーの普及率は2020年に約9%(Morgan Stanleyレポート)と推測されている。

数百万人のドライバーが中国のフードデリバリー経済を支えており、Meituanが2019年時点で400万人近く(新浪科技記事)、Ele.meが最新の集計で300万人のドライバーを抱えている。

中国がフードデリバリー配達員の安全性で課題に直面するのはこれが初めてではない。2017年に起きた一連の路上事故の後、中国警察はオンデマンド・プラットフォーム各社にドライバーの安全基準の改善を指示した(Reuters記事)。当時中国国営紙の論説記事は、テイクアウト業者にもっと「思いやりのある」経営を求めた。

Alibaba(アリババ)は最近の批判を認識している。記事が公開されてから約12時間後、Ele.meは顧客が自主的に待ち時間を5分または10分延長する機能を追加すると発表した。さらに同社は、評価が高く実績のあるドライバーには時折遅れても罰を与えないことを約束した。Ele.meの最大のライバルであるMeituanは、この広く出回っている記事が提起した問題に対してまだ反応していない。

関連記事:中国が考える「データセキュリティの世界標準」が明らか

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ

タグ:中国

画像クレジット:Meituan via Weibo

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook