モバイル向けGPUでも優勢を誇るNVIDIA「GeForce」シリーズ

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Gillmor Gang:プラットフォーム

AMDのモバイル向けCPU「Ryzen Mobile 4000」シリーズが内蔵する「Radeon Vega」のように、iGPU(integrated GPU)は性能向上が進んでいる。しかし正直なところその性能は、画像処理に特化した外部演算プロセッサーにあたるdGPU(Discrete GPU)に並ぶとは言いがたい。そのためPCメーカーは、高い処理能力を求めるユーザー向けにdGPUを搭載するモデルを数多くラインアップしている。

dGPUは、主にゲーミングノートPCに搭載されており、その性能がゲームの描画品質や、スムーズなプレイに直結している。快適なゲーミングプレイを目指すなら、CPUよりも重要なポイントといえるほどだ。

さらに最近は、プロはじめYouTuberなども愛用している動画編集ツール「Adobe Premium Pro」、またフリーエンコードソフトウェア「HandBrake」など、多くのクリエイティブ向けソフトウェアがGPUを使った処理をサポートしており、CPUとGPUを組み合わせた高速処理が可能になっている。

「Adobe Premium Pro」では、書き出し時にiGPUとdGPUを活用でき、CPUと負荷を分散して処理時間を短縮できる

「Adobe Premium Pro」では、書き出し時にiGPUとdGPUを活用でき、CPUと負荷を分散して処理時間を短縮できる

無料で使える「HandBrake」も、NVIDIAハードウェアエンコーダー「NVENC」などといったGPU支援機能をサポート

無料で使える「HandBrake」も、NVIDIAハードウェアエンコーダー「NVENC」などといったGPU支援機能をサポート

AI(ディープラーニング)の面でもGPUによるアクセラレーションはすでに一般的で、学生やエンジニアがAIについて学習する環境としても欠かせない。ゲームで遊ぶ機会はない方でも、dGPUは無視できない存在といえるだろう。

dGPUの勢力図は、2020年8月現在では、「NVIDIA GeForce RTX 2×00」シリーズをメインに、ハイエンドからエントリーまで展開しているNVIDIAが、ノート向けおよびデスクトップ向けともに優勢だ。一方ライバルにあたるAMDは、「Radeon RX 5000」シリーズをリリースしており、その影響に注目といった状況だ。

デスクトップ同様に充実しているモバイル向けGeForce

NVIDIA GeForceシリーズは次世代GPUとなる「Ampere」が控えているが、まずはデスクトップ向けからなので、当面モバイル向けは、現行となる「Turing」アーキテクチャを採用したGeForce RTX 20ならびにGeForce GTX 16×0シリーズになる。

dGPUを搭載したノートPCなら、快適なゲーミング環境を狙える

dGPUを搭載したノートPCなら、快適なゲーミング環境を狙える

これらは、2018年8月から投入が始まったNVIDIA最新アーキテクチャ「Turing」を採用したGPU群だ。最大の特徴は、よりリアルな光の表現が可能なレイトレーシング処理をリアルタイムに実行できる専用プロセッサー「RT Core」を内蔵している点になる。GeForce RTX 2×00シリーズが備えており、リアルタイムレイトレーシングを使うことで、これまでにないリアルなゲーム描写を実現している。

ゲーム側での対応が必要なうえ、処理負荷も高くなる一方、その効果は圧倒的だ。開発中のレイトレーシング対応「Minecraft with RTX」など、必見のゲームが登場予定になっている。そのほかディープラーニング(AI)技術に利用できる「Tensor Core」も内蔵されており、高速かつ高品質なグラフィックス表示を可能にするアンチエイリアス処理「DLSS」(Deep Learning Super Sampling)が可能になっているなど、前世代アーキテクチャ「Pascal」のGeForce GTX 10世代からパフォーマンスは大きく強化している。

レイトレーシング対応のMinecraft with RTXのワンシーン。リアルな光の演出をゲーム内で実現

レイトレーシング対応のMinecraft with RTXのワンシーン。リアルな光の演出をゲーム内で実現

Turing世代GPUのメインストリームとなるGeForce RTX 20×0シリーズのモバイル版は、デスクトップ向けからGPUコアクロックや、メモリークロックがダウンしているだけで、性能の指標となるCUDA Core数などの演算ユニット数は同じになので、ノートPCでも快適なゲーミングを可能にしている。

モバイル版GeForce RTX 2080 SUPERのスペック(GPU-Z)

モバイル版GeForce RTX 2080 SUPERのスペック(GPU-Z)

NVIDIAのモバイル向けGPUの主だったラインアップは、ハイエンドに位置する「GeForce RTX 20×0」シリーズが5SKUとなっている。ミドルクラスでは、Turingアーキテクチャを採用するものの、RT CoreとTensor Coreを搭載していない「GeForce GTX 16×0」シリーズが3SKU存在する。そしてエントリー向けに、前世代アーキテクチャ「Pascal」を採用する「GeForce MX330」が用意されている。

モバイル版 GeForce RTX 20シリーズ スペック

モバイル版 GeForce GTX 16×0シリーズ スペック

GeForce MXシリーズ スペック

dGPU搭載ノートにとって重要なデザインコンセプト「Max-Q Design」とは?

GPUとともに重視したい要素が、NVIDIAが提唱しているゲーミングノートPCのデザインコンセプト「Max-Q Design」(Max-Q デザイン)だ。高性能なぶん高発熱のGPUを薄型軽量ノートPCに搭載するためのフォームファクターで、ノートPCのTDP(熱設計消費電力)の範囲内に収まるように消費電力と発熱を抑えつつ、可能な限りGPUパフォーマンスを引き出す「Max-Q Technology」が使われている。

MSI製ゲーミングノートPC「GS66 STEALTH」のスペック表から抜粋。GPU仕様部分に「Max-Q デザイン」と記載されている

MSI製ゲーミングノートPC「GS66 STEALTH」のスペック表から抜粋。GPU仕様部分に「Max-Q デザイン」と記載されている

このMax-Q TechnologyについてNVIDIAは、モバイル版GeForce RTX 20×0シリーズの投入とともに、アプリケーションがCPUとGPUのどちらに負荷をかけているか監視し、より高い負荷のほうへ電力を割り当てる「Dynamic Boost」などアップデートを実施。ノートPCでより快適にゲームプレイを楽しむためのキーポイントであり続けているのだ。

Dynamic Boostの動作イメージ。CPUの15W分をGPUに割り当てることで、GPUコアクロックを引き上げることが可能になる

Dynamic Boostの動作イメージ。CPUの15W分をGPUに割り当てることで、GPUコアクロックを引き上げることが可能になる

多くの製品が「Max-Q Design」を採用しており、ミドルクラスのGeForce GTX 1660シリーズに加え、AMD製CPU「Ryzen Mobile」とGeForce GPUを採用したノートPCの場合でも、「Max-Q Design」に対応しているので注目だ。

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カテゴリー:ハードウェア

タグ:GPU