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家族と最適な介護者とを引き合わせるHomageのCEOが「世界の高齢化にテクノロジーをどう生かすか」を語る

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Homage(ホメッジ)の共同創業者であり最高責任者のGillian Tee(ジリアン・ティー)氏の話が聞けるのは、いつだってうれしい。なぜなら、高齢者や弱い立場の人たちをテクノロジーで支援する方法に関する彼女の見解には含蓄があるからだ。国連によれば、世界で最も急速に増加している年齢層は65歳以降の高齢者だという(国連レポート)。同時に、多くの国々で介護者不足が深刻化しいて、介護者の燃え尽き症候群による高い離職率が問題をさらに複雑にしている。

「これはまさに、最も重要な社会的テーマであり、全世界的な問題です」とティー氏はDisruptのセッションで語った。

4年前にシンガポールで創設されたHomageのプラットフォームは、マッチング・エンジンを使って家族と最適な介護者とを引き合わせる。同時に遠隔医療プラットフォームでは、オンライン診療やスクリーニング検査などのサービスを提供している。その後にマレーシアにも立ち上げられ、米国時間9月14日には日本の医療技術大手であるインフォコムによる新たな戦略的投資を発表した。この提携により、Homageのアジア太平洋地域での拡大が加速することになる。

Homageを創業する前、ティー氏はニューヨークでRocketrip(ロケットリップ)を共同創業している。Rocketripは、出張関連費用の削減を目的とした企業向けのチケット予約プラットフォームで、Google Ventures、Y Combinator、Bessemer Venturesといった投資会社を引きつけ、3000万ドル(約31億4000万円)以上を調達した。しかし2016年、およそ15年間の外国暮らしに終止符を打ち、ティー氏は故郷シンガポールに帰ることに決めた。「帰郷は母の近くにいるためであり、また、自身のスタートアップの経験を東南アジアでも生かせると考えたからだ」と彼女はDisruptセッションで話していた。

ティー氏は新しい会社を興したいと考えていたが、すぐに介護の世界に飛び込むことはしなかった。そのアイデアが実体化したのは、彼女に近い親類の何人かが慢性疾患の診断を受け、介護の必要性が生じてからのことだった。

「私たちは何をすればいいのかわからず、何が必要なのかを考える方法すら知りませんでした。そのとき私は『大変だ、たくさん勉強しなければ』と悟ったのです」。

高齢化の進行と社会動学の変化に伴い、世界中の多くの家族が同じ問題で奮闘している。伝統的に親類の面倒を見ることになっていた家族も、遠くに離れて暮らすようになったり、仕事で時間が取れなくなるなどの理由で世話が難しくなっている。

家族は、介護者の紹介を口コミや代行業者に頼ることが多いのだが、その手続きは複雑で、長い時間を要し、ときに感情に左右される難しさがある。Homageは、マッチング・アルゴリズムでそこを楽にする。このプラットフォームでもっともユニークな点はきめ細かな対応だ。画面で紹介されるのは、介護事業者の資格や提供できる介護の種類(たとえば長期ケア、ショートステイ、理学療法、リハビリなど)だけでなく、特別な技能も含まれる。たとえば、移動の支援を必要とする利用者も多いので、Homageでは安全に移動できる手段を評価してくれる。

そして同社のマッチング技術が利用者にとって最適な介護業者を見つけ出し、Homageのスタッフが契約手続きを最後まで代行する。このプロセスを合理化することにより、Homageはコストを削減し、より多くの人がサービスを利用できるようにする一方で、サービス提供者の報酬の比率の引き上げが可能になった。

賃金の引き上げは、Homageのもうひとつの目標への助力にもなる。それは、介護人員の拡大と、人材の維持だ。他にも、Homageのプラットフォームから介護人材を最適な働き口に送り出すという取り組みで、同社は介護者不足問題に対処しようとしている。継続的な教育プログラムを提供し、スケジュールが過密にならないよう調整もする。このプラットフォームには長期契約で登録している介護サービス提供者もいれば、週に数日だけHomageの利用者にサービスを提供する人もいる。

「エイジテック」への総合的なアプローチ

6月にHomageは遠隔医療サービスを開始(未訳記事)した。Homage Health(ホメッジ・ヘルス)というこのプラットフォームは、しばらく開発段階にあったのだが、新型コロナウイルスの大流行に開始を後押しされた。「ハイタッチ」つまり人間的な触れ合いを重視した対面の遠隔診療は、同社の介護事業の側面にも即している。なぜなら、多くの患者は定期的なスクリーニング検査や、医師や専門医による診察を必要としているからだ。移動が困難であったり免疫力が低下している患者も、これによって楽に定期的な診察を受けられるようになる。

「ウェアラブル・センサーなどのハードウェアは、救急治療が必要になる前に心臓病などの潜在的健康問題を特定するという点で有望だが、患者の日常生活に簡単にそれらを組み込ませる、あるいは装着を忘れさせない方法が課題だ」とティー氏は説明する。

全体としてHomageの使命は、介護を必要とする多くの人たちに対応する総合的プラットフォームの構築だ。戦略的投資を行ったインフォコムとの新しい提携関係により、それは前進することになるだろう。なぜなら、Homageが数年かけて協議してきたとティー氏が話すその企業は、高齢者住宅や病院を含むおよそ1万3000の日本の施設と協力関係にあるからだ。

インフォコムにも独自の介護サービス・プラットフォームがある。Homageとの提携で、双方の企業は手を結び、より多くの患者に対応できるようになる。「日本は、世界で有数の高齢者人口を抱える国だ。その需要に応えるために、日本では今後5年から10年以内に、少なくとも50万人の介護サービス提供者を動員しなければならなくなる」とティー氏は言う。

「私たちは、求められる種類の介護サービスを利用しやすくするインフラを作り始める必要があります。そうした使命においては、私たちはインフォコムとぴったり一致しています」とティー氏。「彼らにも、日本の介護サービス提供者に仕事を紹介するプラットフォームがありますが、Homageのモデルは審査も行うため、とくに適用性が高いと見てもらっています」。

画像クレジット:Homage

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(翻訳:金井哲夫)