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VCのコペルマン氏インタビュー:SPACについてはまだ結論を出せないが、いわゆるローリングファンドは威力を発揮すると考えている

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TechCrunchは、アーリーステージ投資を専門とする創業16年のベンチャー企業First Round(ファースト・ラウンド)の共同設立者ジョシュ・コペルマン氏に会い、さまざまな問題について話す機会を得た。当然ながらその際に、現在ベンチャー業界で起きている大きな変化、例えば、いたるところで立ち上げられているSpecial Purpose Acqusition Company(SPAC、特別目的買収会社)、勢いが増しているローリングファンド構想、さらに多様性に関するファースト・ラウンドの考えなどについて、同氏に意見を尋ねた(このインタビュー全編は今週末にポッドキャストで皆さんにお届けする予定だ)。

コペルマン氏は創業者たちからも高く評価されているため、前述のような新しい変化に対する同氏の意見を知りたい読者は多いと思う。以下が今回のインタビューの内容だ。長さを調整し、わかりやすくするために、多少の編集が加えられている。

TC:ファースト・ラウンドの設立以来、あなたの業界は明らかに大きく変化しましたね。現在、何百もの企業がアーリーステージの取引を求めています。市場で起こっていることは御社の業績にどのような影響を及ぼしてきましたか。以前と変わらない投資収益率を維持していますか。

過去5年間の変化については、まだ結果は出ていません。そのため過去5年間の未実現のマークアップについて言えば、確かにうまくいっているように見えます。とはいえ、私はこのビジネスに長く携わっているため、実現利益と未実現利益の間には大きな違いがあることはわかっています。ただし中間指標を見ると、一般的には、我々が最初のラウンドをリードする企業は、次のラウンドを調達する可能性が業界平均の2倍高くなっていることがわかります。まだ明るい兆しがあるということです。しかし15年前には逆張り的だと言われていたもの(組織化されたシード投資)が、今では広くコンセンサスを得ているということは認識しています。

TC:結果が出るまでに時間がかかる一因は、ここ10年ほど、企業が上場するまでに要する時間がどんどん長くなってきたことにあります。IPOプロセスは破たんしていると思いますか。スタートアップを上場させるには新しい手段が必要だという意見が多く聞かれます。

IPOが破たんしているとは言い切れないと思います。あなたは、はるかに多くの企業がイグジットするのを目にしていると思いますし、我々は、そのようなイグジットの件数も規模も実際に拡大しているのを目にしています。これは期待できる状況です。

公開市場で発揮されている企業の透明性にはメリットがあると思います。なぜなら透明性こそが真に価値を持続させる方法だからです。非公開市場で実際に評価額Xを獲得した企業を調べたことがありますが、その評価額は、完全に透明性のある公開市場においては、同企業の決定的な価値を正しく反映するものではありませんでした。

現在、SPACの登場によりまったく新しい要素が入ってきています。

TC:SPACについてはどう思われますか。

これは半分冗談ですが、SPACを立ち上げたくなった場合に備えてLastround.comを所有しておこうとあらためて思いました(笑)。とはいえ、SPACの本当のメリットを知るのは難しいです。そして、資金調達要素をともなうダイレクトリスティング(直接上場)を認める方向に市場がシフトし始めた今、あなたはダイレクトリスティングの方がはるかに実行可能性が高く、頻度の高い資金調達または資金繰りの手段だと考えるかもしれません。

TC:SPACと比較して、ダイレクトリスティングのメリットは何だと思いますか。

ダイレクトリスティングの方が経済的だと思います。ダイレクトリスティングなら、キャップテーブル(資本構成表)の多くの部分をプロモーションに配分することはありません。[編集者注: SPACのスポンサーは通常、創業者株式を名目的な対価で取得し、発行済み普通株の20%を保有することになる。]ダイレクトリスティングは業績ベースのワラントではありません。はっきりと言えるのは、ダイレクトリスティングにおける実質的な作業は、企業にとって適切な市場清算価格を見つけることだけだということです。

ここ数年の変化を見ていると、なんとなく自分は[ダイレクトリスティングの提唱者である]Gurley(ガーリー)氏寄りだと思いました。

TC:ポートフォリオ企業が、SPACを使用して株式を公開することに興味があるかどうかを尋ねられた場合は…

実際に今、そのようなことが起きています。

TC:そのことについてどう思いますか。どのようにアドバイスしますか。

1つのことについて選択肢がないまま話し合うのは意味がないと思いませんか。腰を据えて、「何の解を求めようとしているのですか。流動性ですか。それとも資本増強、公共通貨ですか。最古参の従業員に流動資産と現金を提供して、彼らが会社にささげた時間の恩恵を受けられるようにすることはできますか」といった話をすべきです。あらゆる選択肢を検討する必要があります。選択肢を検討せずにSPACについて検討するのは意味がないと思います。また、ダイレクトリスティングを熟考しているのなら、SPACの利点や欠点も検討すべきです。

TC:四半期ごとのサブスクリプションベースで運用担当者がファンド投資家とディールフローをシェアできるローリングファンドについて、どう思われますか。

とてもクリエイティブだと思います。私自身もリミテッドパートナーとして、いくつかのローリングファンドに参加したことがあります。私が2004年にHoward Morgan(ハワード・モーガン)氏とファースト・ラウンドを創業したときには、どちらもいつまで続けるのかわかりませんでした。創業時には、3つの課題がありました。1つ目は「起業家ではなくVCであることを楽しめるか」、2つ目は「地理的ハンディキャップを克服できるか」でした。当時私たちはフィラデルフィアに住んでいましたが、出資していた企業の大部分は西海岸にあったからです。そして3番目の課題は「私はVCに向いているか」というものでした。従来型の資金調達には本当に苦労しましたが、資本市場では苦労知らずでした。また、この仕事を10年続ける、と最初からコミットすることはなかなかできませんでした。

FRC Iは、実際には1年ファンドを積み重ねたものです。当社は「2005年に投資して様子を見る。気に入ったら2006年にも資金を調達する。そして2007年にも同じことを繰り返す」というように、1年の期間で資金を調達しました。そして3年後、前述の3つの課題に対応できるという十分な自信を得たので、安心して10年間の任務に就くことができました。ですので、投資の分野でキャリアを積みたい人が、最初から10年契約を結ばなくても、キャリアを追求し模索できるようにすることは、本当に効果的だと思います。

TC:先ほどハワード・モーガン氏について言及されましたが、同氏はその後、投資会社Bキャピタルの会長になりましたね。VCの多くはアクティブに投資を行う立場から脱却しつつあります。ファースト・ラウンドの継承についてはどのようにお考えですか。ファースト・ラウンドは、今から20年後も存在すべきだと強く感じているブランドなのでしょうか。この業界は、個々のプレイヤーとドアの上の看板に重きを置く形で発展しているようです。

個人的にはすぐにどこかに行くつもりはありません。今やっていることが楽しいのです。当社には将来性を持つ非常に強いチームがあると思っています。当社は現在、積極的に新しいパートナーを探しています。ますます資本が調達しやすくなる世界で、何よりも差別化できるのはブランドだと思います。

ファースト・ラウンドをスタートした頃は、シードファンドがあまりにも少なかったため、Footlocker(フットロッカー、アメリカのスポーツ用品店)に入り、棚に並んだスニーカーを3足だけ見るようなものでした。創業者は3足すべてを試し、どれが合うかを確認してから選ぶことができました。しかし現在は、靴屋に入り、棚に並ぶ1000足の靴を見て、最初にどれを試せばいいのかわからなくなっている状態です。私たちは、これまで勝者を生む能力があることを証明してきたブランドこそが本当に重要だと信じています。例えば、Nike(ナイキ)の価値は、その製品から利益を得た企業家によって決まります。同じように、実のところブランドは今まで以上に重要になっていると思います。

TC:現在、新しいパートナーを募集していますね。スタートアップの世界のVCや起業家にとって多様性が明らかに大きな課題になっています。あなたのファンド内だけでなく、ポートフォリオ企業内でも多様性を促進するために、どんな取り組みを実施していますか。

当社は実際にパートナーの職務内容を掲載し募集をかけるという手段を取りました。大抵の場合、パートナーの採用活動は独自のネットワーク内で行われるからです。そのような方法は良くないと思います。他の3人の投資パートナー、Bill(ビル)氏、Haley(ヘイリー)氏、Todd(トッド)氏を見ると、彼らには以前ファースト・ラウンドの創業者だったという共通点があります。

そのため、自分たちのコミュニティの中だけで採用活動を行うのではなく、それ以上のことをしようとしていますし、採用活動をフェアでオープンなプロセスにしようと非常に熱心に取り組んでいます。私たちは、Kapor Capital(ケイパー・キャピタル)のBrian Dixon(ブライアン・ディクソン)氏のブログ記事から強く影響を受けました。その記事の中で同氏は「自分のベンチャー企業の求人情報を公開しないのは、意図的に排他的になっているためだ。人はその存在を知らない仕事に就くことはできない」と述べています。

当社もディクソン氏と同じ意見です。それで、パートナーとなる有望な人材の新たなソースを見つけることに注力しており、会社全体で多くの取り組みを行っています。その一環として、先日、当社が提出するすべての条件概要書において有色人種の資金提供者や過小評価された資金提供者に対する配分が確保されるようにするための誓約書を作成して署名しました。このように当社は、事務所や会社内での多様性だけでなく、キャップテーブル(資本構成表)における多様性についても考えています。

さらに当社では多くのトレーニングプログラムも実施しています。また採用時に多様な人材パイプラインを構築することに注力できるよう新たな投資を行い、かなり強力なプロセスを用意しています。なぜなら、一般的にはネットワーク内から採用する傾向があるため、最初の10人を採用する時点で多様なチームを構築することに注力しなければ、多様性を拡大するのはますます困難になるからです。多様性が欠けた状態でスタートすると、後から苦労するだけです。

TC:ここ数年、シリコンバレーの文化について多くの問題が提起されてきましたが、投資家と、テクノロジーを取材するジャーナリストとの間で衝突することが急に増えたような気がします。なぜだと思いますか。

そのことについて私個人は特に深い考えはありません。以前は別個のエコシステムだったテクノロジーが、今ではあらゆるものに関与しているということを、私たちは目にしているのだと思います。医療テクノロジーは医療と同じようになり、消費者向けテクノロジーやソーシャルテクノロジーは世界の一部にすぎなくなりました。

これまでエコシステムに縛られていたであろうジャーナリストが、テクノロジーの世界で起きていることに今まで以上に懐疑的な目を向けなければならなくなったのは、当然のことだと思います。成熟段階にあるだけだと思います。テクノロジーは発達すればするほど、あらゆる業界を象徴する存在になっていくのではないでしょうか。近い将来、すべてのジャーナリストがテクノロジーを取材するのを目にする日が来ると思います。

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カテゴリー:VC / エンジェル

タグ:インタビュー IPO

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(翻訳:Dragonfly)