新型コロナ対応の看護師採用プロセス支援のため、Incredible Healthが医療系キャリアプラットフォームを更新

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医療業界における採用プロセスやキャリアマネジメントは、現在のパンデミックが起きる以前から他の業種とは異なる性質を持っていた。医学博士のIman Abuzeid(イマン・アブゼイド)氏とAmazonで働いた経験を持つRome Portlock(ローマ・ポートロック)氏が立ち上げたスタートアップ、Incredible Healthが誕生した理由はそこにある。Incredible Healthが構築したプラットフォームは看護師と仕事を結び付けることを目的としているが、求職者と病院双方により優れたサービスを提供し、また看護師に対しキャリア全体を支援することを指向している点で、従来のオンライン求人サービスとは一線を画したものとなっている。

COVID-19による制約とそれによる継続的な課題を踏まえ、看護師や病院の特定のニーズに対応するためにIncredible Healthが導入したばかりの新機能について同社のCEOであるアブゼイド氏に話を伺うことができた。同氏は始めに、あまり差別化がなされていない無数の求人検索サービスの中で、同社のプラットフォームが他社からどう抜きん出ているのかについて説明してくれた。

「同社のプラットフォームが他社と大きく異なる点は3つあります。1つ目は、雇用主が看護師に対し求人の申し込みをすると言う点です。通常とは真逆のアプローチですが、この業界には需給バランスの不均衡が存在するためこれが可能となっています。2つ目は看護師の予備選別や事前審査を自動化し、免許や資格、経験などを自動的に検証できるようにした点です。莫大なデータベースと統合されているためこの自動化が可能となりました。3つ目はカスタムマッチングアルゴリズムです」とアブゼイド氏は説明する。

つまりIncredible Healthは、必要なスキルを持っていない可能性のある多数の応募者の中から病院側に候補者を探し出させるのではなく、特定のポジションの要件を満たすニーズにマッチした対象者だけを病院に提示する仕組みだ。看護師のように特定の専門スキルや資格が必要な分野において、この特定機能は双方にとってかなり有効的である。

「この結果として、少なくとも3~4倍のスピードでの採用が可能になります。現在は採用までにかかる期間が平均13日間となっており、従来の求人サイトと比較して効率性は30倍となっています。何よりも最大のインパクトは経済的効果でしょう。弊社のサービスを導入している各病院は平均して年間約200万ドル(約2億1000万円)を節約しています。フルタイムでスタッフが常駐していれば契約社員を雇う必要がなくなり、出張看護師の費用の節約になります。さらに残業代や人事にかかる費用も削減できます」とアブゼイド氏は言う。

アブゼイド氏によると、Incredible Healthを通して職を得た看護師の定着率は他より高いと言う。それを検証するデータはまだ約1年分しか存在しないが、現時点においては業界平均と比較して約25%高い維持率を示している。同氏によるとこれは、複数のオファーとプラットフォーム上にある多くの病院の選択肢の中から看護師たちが熟考できるという理由につきると言う。特にICUの看護師のような専門分野の場合には、1人の従業員を巡って複数の雇用主が競い合う場合があるからだ。

Incredible Healthの新たな機能として、面接スケジューリングの自動化機能がある。アブゼイド氏によると、この自動化により現在では70%の面接がプラットフォーム上で36時間以内に確定されていると言う。また同プラットフォームは安全に採用前面談を行うためのリモート面接機能や、Incredible Healthが提供するiOS、Android、ウェブアプリで雇用者と看護師がチャットをできる機能も導入している。さらにプラットフォーム上にある看護師のプロフィールには、ICUやORの専門知識といった看護分野に特化した45の専門分野と250のスキルがあらかじめ設定されたカタログから専門分野とスキルがリストアップできるようになった。こういった機能のほとんどは、COVIDのパンデミックの影響による採用プロセスの大きな変化を受けて急速に開発されたものだとアブゼイド氏は言う。

「様々な変化を目にしました。最初にオファーがいくつか出始め、今では数時間に1通のオファーが出ています。面接依頼は数分に1回のペースで送られています。促進剤となったのは2つの点で、1つはソフトウェアをより良くより効率的にしたことですが、もう1つはパンデミックの影響によって病院側の緊急性が高まったと言う点でしょう」。

従来の方法より改善された採用プロセスを提供し、リモートでの採用やオンボーディングのワークフローをサポートする他、Incredible Healthは現在のヘルスケア業界の採用プロセスにおける多様性のギャップに関しても取り組んでいる。これは給与見積もり計算機のようなプラットフォームのビルトイン機能が可能にしたもので、競争条件を平準化するために意図的に微調整されているとアブゼイド氏は説明する。

「米国における看護師の30%がマイノリティです。彼らは弊社のユーザーベースの大きな割合をしめており、多様性は非常に重要な点だと考えています。看護師に給与データを公開してアクセスできるようにし、より多くの情報を提供します。また私たちのチームには看護師でもあるアドバイザーがおり、彼らが看護師一人一人をサポートし、キャリアコーチのような立場で採用プロセス全体を通して看護師をサポートしています」。

Incredible Healthはまた、意識的であるか否かに関わらず、採用側に存在する偏見を、プラットフォーム自体が助長することのないよう措置を講じている。

「採用者やアプリに表示される看護師のリストをランダムに並べ替えたり、プロフィール写真の代わりにアバターを使用したりしています。私たちはまた、プラットフォームにあるデータを常に監視しています。一例として、採用担当者が遠くに住んでいる看護師に対して偏見を持っていると言う事実に気付いた際、看護師の現住所を記入する項目を削除して表示されないようにすると、この偏見がなくなりました。ソフトウェアとアルゴリズムが人間の持つ偏見を無効にすると言うことが本当に重要なのです」。

これまでにIncredible Healthは、Andreessen HorowitzのJeff Jordan(ジェフ・ジョーダン)氏が率いる昨年のシリーズAを含め、1700万ドル(約18億円)の資金調達を行っている。同社のサービスはすでに米国内の200以上の病院の他、HCAやBaylorなどの国内最大手の医療ネットワークや、Cedar SinaiやStanfordなどの学術医療センターなどで採用されている。同社はこの課題に特化して設計されたソフトウェアを用いて長年のニーズに対応することで急速な成長を遂げており、資格を持った信頼できる医療従事者の需要が高まる中、今後ますます成長が期待されている。

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カテゴリー:ネットサービス

タグ:医療

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(翻訳:Dragonfly)