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テスラが1万エーカーのリチウム粘土鉱床の権利を取得、リチウム採掘事業に自ら参入へ

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テスラは材料科学の革新でバッテリーコストのさらなる低下を目指す、シリコンやニッケルを再研究

1年ほど前、Tesla(テスラ)の2019年の年次株主総会でCEOのイーロン・マスク氏は、同社が「電気自動車のバッテリーに使われる鉱物の採掘事業に参入するかもしれない」と発言していた。

米国時間9月23日、年次株式総会後に開催されたイベント「Battry Day」で同氏は、米国ネバダ州にある1万エーカー(4047平方m)のリチウム粘土鉱床の権利を取得することで、同社が正式な第一歩を踏み出していることを明らかにした。

リチウム鉱山は、より安く、より効率的なバッテリーの製造を実現し、最終的には自動車の価格を下げることを可能にするというテスラの広範な計画の一部だ。また、テスラがサプライチェーンを自社に近づけようとしている一例でもある。

マスク氏と、同社のパワートレイン・エネルギーエンジニアリング担当SVPであるDrew Baglino(ドリュー・バグリーノ)氏は、最終的に年間10~20TWh(テラワット時)のバッテリー生産量を持つようにするための同社の計画と進捗状況を明らかにした。この計画の中心にあるのは、同社がイベントで発表した新しいタブレスバッテリーセルだ。両氏は開発中の新しい製造システムや、それをサポートするためのインフラの構築計画など、この大きなミッションのほかの部分についても概説した。リチウム鉱山と提案されているカソード施設は、いずれも北米に建設される予定で、テスラの工場と事業のポートフォリオに新たに加わった2つの施設になる。

「北米に独自のカソード(陰極、正電荷が流れ込むほうの電極)工場を建設し、北米に存在するニッケルとリチウムのすべての資源を活用し、カソードのサプライチェーンと生産を現地化することで、カソードで使用されるすべての材料の走行距離を80%削減することができます」とバグリーノ氏は説明する。

同氏によると、提案されているカソード工場の隣にはリチウム転換施設があるとのことで、同社は硫酸塩を含まない新しい製造プロセスに取り組んでおり、リチウムコストを33%削減できると主張している。

カソード工場がどこにあるのか、いつ建設されるのかは明らかになっていない。しかし、サプライチェーンを緊密にすることが目的ならば、テスラが最近採掘権を購入したリチウム粘土の区画の隣にできるかもしれない。

反応性のあるアルカリ金属を採掘するには環境コストがかかる。しかし、マスク氏は「より良いプロセスを見つけた」と主張している。従来のリチウムの採掘には大量の水が必要で、鉱夫は土地に穴を開け、地表にかん水を汲み上げ、そこから水が蒸発するまで放置する。そうして残るのが、マンガンやリチウム塩などの鉱物の混合物だ。そして、これをリチウムを抽出できるようになるまでろ過し続ける必要がある。

しかしマスク氏は「塩化ナトリウムや食卓塩を使って鉱石からリチウムを抽出する新しいプロセスがある」と説明する。「私の知る限りでは、これまで誰もやったことがありませんでした。このプロセスに含まれるすべての元素は再利用可能です。これは非常に持続可能なリチウムの入手方法です」と述べている。そのうえで採掘が行われる土地は「以前とほとんど同じように見えるだろう」と締めくくった。

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(翻訳:TechCrunch Japan)