アップルがインドでオンラインストアをオープン

次の記事

医療労働者向けの人材マーケットプレイスが従来の派遣システムより優れている理由

インドで事業を始めて20年以上になるApple(アップル)が、世界第2位のスマートフォン市場の消費者に初めて自社製品を直接販売する。

アップルは9月23日にインドのオンラインストアをオープンした。オンラインストアではアップル製品のほぼすべてのラインナップに加え、さまざまなサービスもインドの消費者向けに初めて提供する。アップルのオンラインストアは、インドが38番目のマーケットだ。

インドの消費者は製品保証を延長するAppleCare+を購入できるようになり、新しいハードウェアの購入価格が安くなる下取りプログラムも利用できる。アップルはチャットや電話での顧客サポートも提供し、購入前にスペシャリストに相談できるとしている。さらにiMac、MacBook Air、Mac MiniなどのMacをカスタマイズして購入できる。Macのカスタマイズはインドでは5月後半に、アップルの認定パートナーを通じてのみオフラインで提供が開始されていた(未訳記事)。

月ごとの分割払いでも購入できる。TechCrunchは2020年1月に、アップルが7~9月の四半期にインドでオンラインストアをオープンする計画であると報じた。また、アップルがインド初の直営店を2021年にオープンする計画であるとも報じている

コンサルティング会社、Convergence CatalystのチーフアナリストであるJayanth Kolla(ジャヤント・コラ)氏は、アップルがインドでオンラインストアをオープンしたのはインドの消費者よりもアップルにとって大きな意味があると論じる。

同氏は、アップルは通常、ある場所にストアをオープンしてから、マーケティングやブランドの構築など市場への投資を始めるとTechCrunchに語った。

アップルはインドで出稿されるiPhoneなどの製品の看板や広告を監視しているが、それを実施し資金を出しているのはサードパーティのパートナーだとコラ氏は言う。「アップルはいくぶんかはマーケティング費用を出しているかもしれないが、広告などの取り組みを主導してきたのはいつもパートナーだ」(コラ氏)。

近年、アップルは世界で最も成長しているスマートフォン市場のひとつであるインドへの関心を明らかに強めてきた。現在、同社が契約している製造業者はiPhoneの最新モデルや一部のアクセサリをインドで作っている。これは2年前に始まったアップルの取り組みだ。

この動きによってアップルはインドでiPhoneの一部のモデルの値下げが可能になった。アップルはインドでは長年、関税を顧客負担にしてきた。米国でのiPhone 11 Pro Maxの価格は1099ドル(約11万6000円)からであるのに対し、インドでは1487ドル(約15万7000円)からだ(最近、iPhone 11の一部のモデルはインドでのみ製造されている)。AirPods Proは米国では249ドル(約2万6000円)であるのに対し、インドでの発売時の価格は341ドル(約3万6000円)だった。

アップルはここ数年、インドにストアをオープンしようとしてきたが、現地の規制のためインド国内での展開が難しかった。しかし最近の数四半期で、インドは規制の多くを緩和している。2019年にインド政府は単一ブランドの小売店の調達基準を緩和し(未訳記事)、アップルなどの企業が実店舗の市場を確立する前にオンラインストアをオープンする道が開かれた。

2020年にインドは国内でのスマートフォン製造を加速させるために66ドル(約7000億円)のインセンティブプログラムも開始した。韓国大手のサムスンとアップルの製造契約パートナーであるFoxconn、Wistron、Pegatronなどがこのインセンティブプログラムに申し込んだ

インド国外の企業の多くはインド国内で製品やサービスを無償もしくは世界的に見て安い価格で提供しているが、アップルはそれとは異なり、高い金額を支払える少数の人々に的を絞っているとコラ氏は言う。そしてその戦略はアップルにとってうまくいっていると同氏は強調する。アップルはインドでプレミアムなスマートフォンの市場を支配している

アップルがインドで価格戦略を変えていないわけではない。Apple Musicは米国では月額9.99ドル(約1050円)だがインドでは1.35ドル(約140円)だ。Apple Music、Apple TV+, Apple Arcade、iCloudがセットになったApple Oneは、インドでは月額2.65ドル(約280円)だ。

アップルの顧客の中には、アップル製品のエコシステムの方がAndroid機メーカーのエコシステムより好ましく、アップルのほかのサービスもインドで利用したいと望む人もいる。Apple NewsやApple Payなどのサービスは、いまだにインドで利用できない。

新しいiPhoneの発表が数週間後に控えると予想される中でアップルのオンラインストアがインドでオープンした。また、多くのインド人が贅沢に買い物をする時期であるインド最大のお祭り、ディワリのおよそ1カ月前でもある。

画像クレジット:Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)