貨物業界向けクラウドベースの決済・融資サービスを提供するPayCargoが約37億円調達

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海運業は、商業の世界では物理的な面から見ても、古くて技術的に最も遅れている分野の1つだ。扱うのは、巨大な貨物タンカー、航空機やトラックの巨大な車両群、連結された列車コンテナなど、超アナログな事業特性がある。

この事実はスタートアップにとっては好機だ。米国時間9月29日、貨物業界向けにクラウドベースの決済・融資サービスを構築したPayCargoは、新型コロナウイルスの感染蔓延を受けて事業を拡大するため、3500万ドル(約37億円)の資金調達を発表した。

今回の投資は、単一の投資家であるInsight Partnersが実施した。Insight Partnersは、4月に95億ドル(約1004億円)の巨大なファンドを発表(未訳記事)し、世界的な健康に対する関心の高さを受けて、投資先企業の支援はもちろん、それに伴って現れる新たな機会を探している。

PayCargoは後者に当たるようだ。同社CEOのEduardo Del Riego(エドゥアルド・デル・リエゴ)氏は、貨物業界が新型コロナウイルスの感染蔓延によって多くの混乱に直面した一方で、一部の場所では生産が停止し、社会的な距離を隔てるルールが荷主の仕事や現物の移動方法に新たな課題を生み出した」とコメントしている。なおPayCargoは、COOのJuan Carlos Dieppa(フアン・カルロス・ディエッパ)氏と会長のSergio Lemme(セルジオ・レム)氏が共同で設立したスタートアップだ。

「新型コロナウイルスの感染蔓延は、世界的なサプライチェーンへの影響について大きな不確実性を生み出しました」とリエゴ氏はインタビューで語っている。

世界経済が縮小している現在、多くの人がさらなる影響に備える一方で「PayCargoは利益を上げており、設立当初から成長を続けている」と同社は述べている。同社の業績自体が、生産が実際にどのように回復しているかについての肯定的なシグナルになるかもしれない。

PayCargoは、支払者が支払いを送信するためのツール、ベンダーがそれらを受信するためのツール、既存のITにツールを統合するためのAPI、および出荷のための前払いをしたくない人のための融資サービスを提供するプラットフォームを提供している。これらはすべて、この分野で働く人の大多数にとっては、いまだにペーパーワークで固定化されている業務で、解決するのに数週間かかることもあり、電子サービスで取り組むべき最優事項となっている。

現在、PayCargoは1万2000社の荷送人や運送業者、4000社のベンダーから年間約40億ドル(約4227億円)の支払いを処理している。顧客には、陸・海・空にまたがるKuehne + Nagel、DHL、DB Schenker、BDP、Seko Logistics、UPS、YUSEN Logistics、そしてHapag-Lloyd、MSC、Ocean Network Express、Alliance Ground、Swissport、エールフランスなどが名を連ねている。PayCargoはAPIを介して、国際航空運送協会(IATA)、カーゴネットワークサービス(CNS)、CHAMP Cargosystems、IBS、Accelya、Unisys、Kale Logisticsなどの多くのパートナーと連携して、顧客にサービスを提供している。

TechCrunchでは以前にも、非常に断片化されたアナログな貨物業界について書いたことがあるが、未だに多くの取引のベースとなっているのは、ファックスや当事者間で物理的にやり取りされる実際の紙書類、そして商品だけでなく書類を手渡しでやり取りする人々だ。それを支える決済インフラについても同じことが言える。

そのため、テクノロジーを駆使して市場に取り組もうとする多くのスタートアップが生まれた。Emergeはトラック業界、Cargo.comは航空貨物を対象としている。また、欧州のZencargo、FreightHub、Sennderはクラウドベースのインフラを貨物輸送に導入することに注力している。なお、Sennderはこの市場での統合者としての立ち位置を確保しており、最近ではUberの欧州事業を買収したばかりだ。そのほかFlexportは、物流の出荷管理SaaSにおいて、注目すべき企業の1つだ。

PayCargo自身も多くの競合他社を抱えており、その中にはより大きなサービスを構築している企業も含まれているかもしれない。これまでに取り上げたものに加えて、GlobalTranz、CloudTradeなどがある。ちなにみリエゴ氏は、競合他社の名前を直接挙げることを拒否し「PayCargoは市場で最も優れた、最も堅牢なソリューションです」と語るのみだった。

CrunchBaseの推定によると、出荷関連のテック企業には全体で約55億ドル(約5815億円)が投資されており、最終的には非常に物理的なビジネスに、最新のプロセスを導入しようとしている。

しかし、業界の規模はそれよりもはるかに大きく、ある試算では米国の海運ロジスティクス市場だけでも2023年までに1兆3000億ドル(約137超5000億円)の価値がある(InXpress記事)と予測されており、これの処することがいかに有益な機会になるかがわかる。

Insight Partnersでマネージングパートナーと務めるRyan Hinkle(ライアン・ヒンクル)氏は「貨物業界が急速に電子決済に移行する中、PayCargoは支払いプロセスの自動化に成功し、支払い者とベンダーの双方に効率性を確保することで、ビジネスを行うための市場をリードするプラットフォームとしての地位を確立しています。私たちはPayCargoと協力して、PayCargoのグローバルな決済ネットワークを拡大し続け、ScaleUpと運用の専門家で構成されるInsight Onsiteチームを通じて、同社の素晴らしい顧客リストに追加のリソースを提供できることに興奮しています」とコメントしている。同氏は今回のラウンドでPayCargoの取締役会に参加している。

カテゴリー:フィンテック

タグ:PayCargo 海運業 資金調達

画像クレジット:GettyImages

原文

(翻訳:TechCrunch Japan)