Littel Black Doorは高級服の共有や売買、持続可能性にも配慮した現代女性のためのソリューション

次の記事

海洋保全事業のアクセラレーター「Ocean Solutions Accelerator」の3年目の育成企業が決まる

Lexi Willetts(レクシー・ウィレッツ)氏とMarina Pengilly(マリナ・ペンギリー)氏は、所有していた高級服やアクセサリーをネットで販売すれば年間3万ポンド(約400万円)にもなることを知り、Instagram(インスタグラム)やシェアリングエコノミーの扱いにすでに精通している現代女性のためのソリューションを開発しようと決意した。そうして生まれたソリューション、Little Black Door(ザ・リトル・ブラック・ドア、LBD)が、iOSのアプリストアに登場した。そこでは女性たちが、友だちやフォロワーと持っている洋服を見せ合ったり、スタイリングしたり、共有したりできる。さらに、ユーザーは販売プラットフォームを利用でき、高品質なファッションを、より環境にやさしく持続可能なかたちで買えるようになる。新型コロナウイルス のパンデミックによりファッション業界が打撃を受け、消費者は新しいものよりも高級な中古品を求めるようになる中で、このアプリは利益を生む見通しだ。

それについて、ウィレッツ氏はこう話している。「これは、私たちの衣服にまつわる悪習を改める手段としてスタートしました。私たちは、つい買い過ぎてしまいます。今何を持っているかを忘れてしまうからです。また、友だちから借りるより、新たに買うことを考えてしまいがちです。さらに、売るものを一覧表にする作業も非常に面倒です。取引の大部分をオンラインで行なっていた私たちは、大変に豊富な電子領収書データを蓄積していることに気がつき、それを利用すれば、自分が持つ服への関心を高め、どうでもいい安物の服の買い過ぎをなくすことができないかと検討を始めたのです」。

この手のプラットフォームにありがちなこととして、そもそも自分が所有する服の管理を、どうやってデジタル化するかという問題がある。そんな面倒なことをやりたがる人間はいない。そこでこのアプリは、まったく新しいアプローチを導入した。服の購入データに着目し、ソーシャルシェアリングの習慣を活用して、服のデジタル管理が簡単にできるようにしたのだ。さらに、持っている服を販売に結びつけ、不要なアイテムを売却するという新習慣を、ずっと簡単に始められるようにしている。

その結果、LBDアプリは「InstagramとDepop」を足して2で割ったような初めての存在となった。ユーザーは、自分のアイテムをバーチャルワードローブに追加すると、画像認識AIと自然言語処理により、それが特定され、分類も試みられる。そしてTシャツ、黒、半袖、ミニマリズム、アーバンカジュアルといった分類結果をユーザーが確認すると、ワードローブ追加が確定する。

さらに興味深いのは、LBDアプリは電子メールで購入したアイテムのレシートを取り込むという点だろう。つまり新しいデータからも、ユーザーがすでに持っている既存のデータからもワードローブが作れるということだ。一度アプリ内にワードローブを設定すれば、ユーザーは服やカテゴリー、服に費やした総額を確認できるようになり、「ルックブック」を作成して友だちやフォロワーにシェアしてコメントをもらうことができる。それを通じて友だちが服を借りたり、「スワイプで販売」機能でアイテムを売却できたりもする。

他のワードローブアプリには、アプリを毎日使うことでインセンティブを得られるような「バイラルループ」を持つものはほとんどない。LBDはソーシャル機能を追加してコミュニティ主導のプラットフォームを構築し、「ファッションのInstagram」と呼べるものになっている。

これとよく似た従来の「ワードローブアプリ」は、服の認識能力に大きくこだわってきたが、まともに機能するものはほとんどない。LBDが考案したのは、レシートのデータと購入履歴をAIを活用して巧みに処理し、さらにワードローブに小売りパートナーのリンクも設けるというものだ。こうすることで、ワードローブのアイテムデータが主役となり、アップロード機能はさほど重要ではなくなる。これをベースに、彼女たちはより使いやすく、そして極めて重要なことに遊び心のある機能を生み出すことができた。

「私たちは娯楽性があり、ユーザーがワードローブに深く関わりを持てる機能をデザインしました。シェアリングエコノミーの考え方を念頭に、友だちと簡単にシェアできる方法を考えています。さらに、このアプリは『ファストファッション』の購入を控え、質の高い服やアクセサリーに消費を切り替えて、クローゼットの中身を共有するという『意識ある消費』の文化を築くようデザインされています」とウィレッツ氏は話す。

このように、このアプリはとてもおもしろい。しかし、ビジネスモデルとしてはどうだろう?実質的にLBDは、女性の服に関連するデータを生み出している。このデータを利用した適切で持続可能なブランド広告の制作、小売業者との提携、付加価値サービスの提供、買い取りプラットフォームでの手数料の徴収、認定販売者の設定、ハイエンドなワードローブを持つハイエンドユーザーのためのプレミアムなバージョンの創設などが考えられる。

LBDは4つの重要なトレンドをカバーしている。フリマアプリの流行(Real Real、Depopなど)、ワードローブのシェアリング習慣の流行(Rent the Runway、Hurrなど)、eコマースへのAIの導入の流行、そして、リレシートとオンライン販売の流行だ。

ファッション市場は大きい。国際的な服飾とアパレルの市場は7億5840万ドル(約800億円)規模に上り、その半分以上が女性向けだ。新型コロナウイルスのパンデミックによるロックダウンで人々の着飾る機会が減り、市場はその煽りを受けたものの、現在は回復傾向にある。しかも、顧客の持続可能性に対する意識が、以前よりもずっと高くなっている。つまりLBDは、世間の大きな「リセット」の恩恵を得られる立場にあるわけだ。

さらに来たるべき不況下では、よく知っている馴染みの相手(友だち)から中古品を買ったり、不要品を売ったりするほうが安くつく。提携小売業者にすれば、顧客が個人のワードローブで実際に行っていることに関するより有用なデータを入手できるため、それに沿ったより的を絞ったコレクションの制作と販売が可能になる。そしてそれは、在庫の無駄を削減し、環境にプラスの影響をもたらすことにつながってゆく。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Little Black Doorファッション

画像クレジット:Lexi Willetts and Marina Pengilly, founders, Little Black Door / Lexi Willetts and Marina Pengilly, founders, Little Black Door

原文へ

(翻訳:金井哲夫)