シンプルなドラッグ&ドロップで動画の背景を消去できるKaleidoの「Unscreen」

次の記事

世界最軽量約634gの13.3型ノートPC「LIFEBOOK UH-X/E3」が発表

プロ仕様のツールや設備一式がなければ、撮影した動画の背景を消すのはかなり面倒だ。適切なツール等を持ち合わせていても、なかなか簡単には進まない。以前からワンステップで画像の背景を消去できるツール、remove.bg(リムーブドットビージー)を展開していたKaleido(カレイド)が、この度、フルモーションの動画に対応する新製品Unscreen(アンスクリーン)を発表した。

サービス自体はいたってシンプルだ。アンスクリーンのウェブページに動画をドラッグし、数分待つだけ。処理時間はコンテンツのサイズと解像度によって異なるが、手前の人物やオブジェクトだけを残し、背景をすべて消してくれる。

同社が初めて展開した製品、リムーブドットビーシーも、サービス内容は基本的に同じだった。処理対象は画像のみに限られていたが、Product Hunt(プロダクトハント)で大ヒットとなった。仕事でよく動画の処理をする身としては、背景を瞬時かつ正確に消せる効果的なウェブサービスが、非常にシンプルな形で提供されていることが嬉しい。もちろんPhotoshop(フォトショップ)を使っても同じことができるが、もっと手間がかかる。

そういえば、カレイドがオフラインの動画処理サービスに参入することを決めた理由は、ビデオチャット業界ではZoom(ズーム)やMicrosoft(マイクロソフト)をはじめとする各社がすでに定着した競合サービスを展開していて、「ある程度の品質で使えればいい」程度でユーザーが満足していることだったという。一方、オフラインの動画編集サービスは比較的競争が少なく、専門知識のないユーザーが使えるサービスともなると、選択肢はさらに限られる。

ハリウッド(映画製作やハイエンドの動画制作業界を総称して)では、デジタル合成の様相が変わってきている。費用がかかり複雑な作業も必要とされるが、ドラマ『The Mandalorian(マンダロリアン)』で使われていたような視聴者の目を引くLEDスクリーンが、グリーンバックやフレームごとのロトスコープ処理といった標準的な方法に代わって採用されるようになっている。そのため、振り返るだけの一瞬のシーンやラッシュ(下見用フィルム)などの場合に背景をシンプルなワンステップの処理で簡単に消去できる技術は、VFX技術のスタジオや製作スタジオにとって救世主となるだろう。

動画編集の市場が進化しているのは間違いないが、有料会員数が証明しているように、ニーズも確かに存在しているのだ。カレイドはこれまで完全に自己資金で運営しており、投資家を取り込む必要も願望もない。経費やメディア露出に対応できるだけの収益を獲得しているためだ。

現代の大半のメディア製品と同じく、アンスクリーンはフリーミアムのサブスクリプションモデルで提供されている。10秒間までの動画であれば無料でお試し利用できる(とはいえ、透かしが入った低解像度のファイルとなるため、一般公開には不向き)。また、通常のサブスクリプションの場合は、アップロードする映像の量に応じて月額9ドル(約950円)から389ドル(約41000円)までさまざまなプランが選択可能だ。収益の3分の2は中小企業からのものだが、有料会員には大手の企業やメディア会社も含まれる。

もちろん、製品そのものの品質が低ければ話にならない。そこで私自身、長い髪の女性が映った5分間の720pの動画を処理してみたところ、およそ45分で完了した。出来上がりは良い品質で、髪の部分もしっかり残っていた。わずかに狂いはあったが、それも適宜ペイント処理で簡単に修正できる程度のものだった。私が自撮りでカメラに話しかけた1分半の1080pの動画も処理してみたが、こちらは33分で完了し、同僚の23秒間の動画(私のものより線がもう少しはっきりしていた)については約10分で非常に鮮明な動画が仕上がった。

これも最初のFashion Week(ファッションウィーク)のようなおしゃれな動画だと思った読者の方、残念

なぜこんなに処理時間がかかるのか、疑問に思ったことだろう。ズームではリアルタイムで映し出されるが、解像度が低いうえ、品質も良くない。オンラインで無期限に公開したり、製品の広告に使用したりするような素材には、もっと高品質のものが必要だ。私個人の感覚としては、アンスクリーンの背景消去はかなり品質が良いものの、そのまま世に出せるほどではない。公開前に一度確認し、不具合を修正したほうがよいだろう。

ユーザーは動画の背景として静止画や別の動画、単色の背景を選択できるほか、2つのチャンネル(アルファチャンネルとカラーチャンネル)に分けてエディターに流し込むこともできる。その他のオプションは限られているため、グレードアップやリサイズ、別の色での再レンダリングなどには対応していない。結局のところ、これはオンラインの動画編集プラットフォームではなく、ウェブホスティング型のVFXのため、それ相応の機能が搭載されているという印象だ。

一点、カレイドが慎重に動作確認を行ってきた点がある。これが差別化要因になるのは悲しい限りだが、アンスクリーンは、他のソリューションではうまく認識できない特定の肌や髪の色に対応している。事実、こうしたツールでは特定の背景の場合に、肌のトーンが暗い人よりも明るい人の方が、巻き髪の人よりもストレートヘアの人の方が、消去処理が正確である場合があり、これらのツール開発に使用されるトレーニングセットに多様性が欠如していることを示している。

コンピューターの視覚アルゴリズムが原因で、巻き髪は特に処理が難しいことで有名だが、アンスクリーンではそこそこ良い仕上がりとなっている

カレイドのBernhard Holzer(バーナード・ホルツァー)氏によると、カレイドはこの点を初めから意識しており、チームとして世界中からトレーニングデータを収集することで、国や大陸に関係なくすべてのユーザーに平等に対応できるよう徹底してきたという。また、予期しない課題にも目を光らせている。例えば、卒業式用の角帽をかぶった人が飾りの紐を左右に動かしている動画をシステムがうまく認識できないことが分かったため、データを大量に加えて修正を行った。フィードバックを送信するようユーザーを促し、それを生かすことによってシステムを継続的に進化させている。

カレイドの会社規模の成長も止まる気配がなく、今年は従業員数が倍増して30名に達する見込みだ。また、前述の通り資金も引き続き同社の収益のみで運営される。ウェブツールの品質向上は確かに相当なものだ。これまでは、1回のクリックで背景を消去できるツールなど誰も想像していなかった。そんな中で業界初のサービスを創出したアンスクリーンは、業界トップの座を獲得し、その座を維持することを目指している。

関連記事:パンデミック時代に適合し動画制作方法を作り変えるVidMob

カテゴリー:ソフトウェア

タグ:動画撮影・編集 機械学習

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)