M1搭載Mac miniレビュー、高性能で低価格なデスクトップMacの復活

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最新のMac miniに小さなところはない。

Mac miniの小さなサイズや価格の安さを気にすることはない。この小さなデスクトップは、Apple(アップル)の新しいチップセットのおかげで、ほとんどのユーザーにとって革命的な存在となった。「M1」と呼ばれるこのチッププラットフォームは、アップルのデスクトップコンピュータやポータブルコンピュータの心臓部に長年搭載されてきたIntel CPUに取って代わるものであり、その仕上がりは素晴らしいものになった。

M1 Mac miniの使い心地は、まるで新しいiPadやiPhoneを使っているような感覚だ。すべてが満足のいくかたちで、あるべきところに当てはまる。私は試用機が遅くなるのをずっと待っていたが、1週間近く経った今も、使い始めた日と同じくらい速い。新型Mac miniは驚異的だ。ほとんどのユーザーは既存のMacコンピュータが大幅にアップグレードしたとわかるだろう。価格は関係なく、これに勝てるマシンはほとんどない。

カジュアルなユーザー、つまりウェブブラウザやアップルのアプリを使って生活している人にとって、Mac miniは文句なしの選択肢である。つまり、私が自分のために買うデスクトップということだ。パワーユーザー、つまり専用アプリケーションを使う人にとっても、Mac miniは真剣に検討すべき製品だ。主要なアプリケーションのほとんどは、新しいMac miniで十分に使える。特に、写真やビデオなどを扱うクリエイティブなアプリケーションには最適だ。

Mac miniは、Macのラインナップの中でも、長い間忘れ去られた存在だった。ほとんどアップデートされず、プロモーションもされず、何年もベンチを温めながら、アップルのポータブル機器がアップデートやモデルチェンジを繰り返し、世の中がモバイル化するのを眺めてきた。しかしいま、我々は終わりのないパンデミックの真っ只中にいる。コーヒーショップが閉店し、出張が制限される中、新型コロナウイルス(COVID-19)の危機はデスクトップコンピュータの再発見につながるかもしれない。

M1を搭載したMac miniは勝ち組だ。

レビュー

初めに知っておくべきことがいくつかある。1つは、新しいMac miniがM1 SoCを搭載しており、Intelの先代モデルとは根本的に異なるということ。CPUの代わりにSoC(System on a Chip)を採用することには利点と譲歩がある。このチップセットはArmの設計を中心に構築されており、CPUよりも多くのコンポーネントが統合されている。多くの点において、従来のコンピュータで使用されているチップよりもスマートフォンやタブレットに使われているシステムに近い。この設計のため、これまで別々だったコンポーネントが、いまではチップに直接統合されている。

2つめ。アップルは私にテスト用のMac miniととも6K 32インチのPro Display XDRを提供してくれた(これらはアップルに返却される)。私自身が所有する24インチのディスプレイもHDMI経由で稼働させている。Mac miniの製品ページによると、モニターは2台まで接続できるとのこと。サードパーティ製のソフトウェアを使って3台目のモニターをつなぐこともできたが、不安定なので使えるとは考えない方がいいだろう。

そして3つめ。TechCrunchでは新しい13インチMacBook Air13インチMacBook Pro(未訳記事)もレビューしている。これらのシステムを同じ条件でベンチマークを行い、ユニット間の違いを確かめた。

我々のテストでは、アップルのM1 system on a chip(SoC)が価格に関わらずライバルを上回ることがわかった。M1を中核に搭載するMac miniは、超高価なMac Proを除くすべてのアップル製コンピュータよりも、ほとんどの点において高速で、ときにはMac Proよりも高速だ。さらに、このパフォーマンスの向上は、専用に作られたアプリケーション上のコンピューティングタスクに限らず、システム全体で顕著に現れている。このシステムはサクサクと動作し反応が良く、コンピューティングの新時代の幕開けのように感じられる。

新たなMac体験

新しいMac miniの体験をサクサクという言葉では表現しきれない。このシステムは爆速だ。ユーザーは、起動時間からアプリケーションの起動までの速さも向上していることにすぐ気づくだろう。これまでは、パワフルなマシンでもmacOSはiOSに比べて重く感じたが、もうそんなことはない。M1チップとmacOS(Big Sur)の組み合わせは、軽くて自由で使うのが楽しい。

さらに良いことに、ArmベースのM1チップによって、MacでiOSアプリを実行することが可能になった。MacでもiPadと同じようにスムーズに動作する。

Intelが入っていない新しいMacを受け入れることに、躊躇する人もいるかもしれない。いま使っているIntelチップ用のレガシーアプリは新しいMacで動くだろうか?快適に使えるだろうか?すべての可能性に答えることはできない。私は数日の間に十数本のアプリをこの新しいシステムにインストールして動かしてみたが、障害を経験したことは一度もなかった。 以前のプログラムを使っても、すべてが宣伝文句通りに動作し、ほとんどの場合は数カ月前に使っていた15インチのMacBook Proより、このM1搭載Mac miniの方が快適に動いた。新しいプラットフォームで実行できないアプリケーションは1つも見つからなかった。

最大の速度向上は、M1プロセッサ用のネイティブアプリケーションを使っているときに最も顕著に現れる。アップルのFinal Cut Proでは、アプリケーションの読み込みは一瞬にして行われ、ボタンを押してから起動して使えるようになるまで、わずか2秒しかかからなかった。

M1チップを使ってネイティブのFinal Cut Proアプリで8K映像を編集するのは、Intel Macで4K映像を編集する時よりも苦痛が少ない。しかし、ファイルの書き出しにはまだ時間がかかる。これはIntelのプラットフォームがM1を上回る数少ない作業の1つだ。

レガシーなソフトウェアを使っているときも、システムは軽々と処理をこなした。Photoshopでの編集はより円滑に感じられた。Lightroomではフォトアルバムの読み込み速度が上がり、面倒は何もなかった。Adobe Premiereでのビデオ編集は、6Kの映像をスクラブしながら編集するのも簡単で苦ではない。ファイルの解凍さえもはるかに速くなった。

画像クレジット:Matt Burns

くだらないデモだが、上のGIFを見て欲しい。アプリケーションが瞬時に起動するのがわかるだろう。ほとんどすべてのアプリが同時に起動する。アップルがBig Surにもビーチボールを組み込んでいるとしても、私はまだそれを目にしていない。

M1チップはArmの設計をベースにしているため、アップルはこの新しいコンピューティングプラットフォーム上で動作するようにmacOSを作り直す必要があった。見た目はほとんど同じだが、Big Surは同社独自のAppleシリコン用に作られている。再設計されたチップを最大限に活用するためには、アプリケーションをArmフレンドリーな設計になるようにコードを書き換えなければならない。にもかかわらず、意外なことがわかった。アップルのRosetta 2はIntelプラットフォーム用にエンコードされたソフトウェアを、新しいアップルのプラットフォーム上で動作させ、M1のパワーを活用することができるのだ。

このハードウェアとソフトウェアを総合的に構築するアプローチは、ほとんどの用途で大きなメリットをもたらす。一般的なシステムレベルのタスク、例えばアプリの起動、スリープ状態からの復帰、ファイルの解凍などは一瞬で実行される。ビデオのレンダリングや写真の編集など、その他の処理も同様に高速だ。音楽や写真、Safariまで、新しいMacの発売時にはすべてのアップル製アプリケーションがM1用に再エンコードされている。Adobeなど他社製アプリケーションの多くは、まだネイティブではないが、以前のバージョンでも問題なく動作し、そして多くの場合、IntelプラットフォームよりもM1の方が快適に動くのだ。

M1プラットフォームには専用のグラフィック処理ユニットがない。チップのコアに内蔵されているのだ。機械学習専用メモリのおかげで、dGPUがないことは、プロのユーザーでもほとんど気にならないだろう。それでも、集中的なグラフィックス作業を行う人(プロのグラフィックアーティストのような)は躊躇するに違いない。しかしそれも、アプリケーションが新しいArmアーキテクチャにネイティブになれば、この結論は変わるかもしれない。

M1はまた、eGPU(外部グラフィックスカード)を使用する機能を持たないが、ほとんどのユーザーは心配する必要はない。しかしIntelベースのMac miniと強力なeGPUの組み合わせが、Mac Proの代わりになる低価格で有用な選択肢だと感じていたプロにとっては問題かもしれない。我々のテストによると、これらのM1システムのGPU性能は素晴らしく、クリエイティブなメディア編集アプリケーションにおいてさえ、ほとんどの人には十分な性能を発揮する。

一般的なワークフローに加え、システムがどれだけ反応するかを確認するため、いくつかのベンチマークを実行してみた。さらに一歩進んで、アップルの最上位システムと、新しい13インチのMacBook Airや13インチのMacBook Proとの間のパフォーマンスをチャートにした。

ベンチマークは時に結果を単純化しすぎてしまうことがあるが、それでも必要なテストである。これによって、様々なシステムを同じ環境で比較することができるからだ。複数のテスト結果を見たところ、結果は同じだった。M1は本当に優れている。

新しいMacのラインナップ

Mac miniには2つの兄弟モデルが存在する。アップルの13インチMacBook Airと13インチMacBook ProにもM1が搭載されているからだ。その性能の差はわずかだ。3台すべてが同じコンピューティングプラットフォームを採用しているが、MacBook ProとMac miniは冷却方式が異なる。これら2モデルは冷却性能が改善されているため、MacBook Airよりも持続的なパフォーマンスを発揮するのに適している。

我々のテストでは、3つのマシンはすべて同じようなパフォーマンスを見せた。Airは長時間のテストで低下し始めたが、これはファンを搭載せずパッシブ冷却を採用していることが原因だと思われる。MacBook ProとMiniのSoCはファンで冷却されるが、Airではヒートシンクが使われているのだ。

これにどれほどの意味があるだろうか。Airのパフォーマンスは長時間の集中的なタスクの間だけ遅くなるものの、ほとんどのユーザーにとって十分に高性能だ。ウェブの閲覧、写真の編集、動画の視聴といった仕事ならAirは完璧にこなす。

新しいMac miniには、Intel製の兄弟モデルと比べて1つだけ欠点がある。M1 Mac miniは、Thunderbolt 3入力ポートを2つしか搭載していないのだ。ユーザーによってはこれを受け入れられない人もいるだろうが、私はそうではない。Mac miniのThunderbolt機能を拡張する方法は数え切れないほどあるし、私にとっては、そのパフォーマンスはポート数の制限を補って余りあるものだ。

また、M1 Mac miniには10GBのEthernetも搭載されていないため、サーバーとして活用したいユーザーの希望は叶えられない。これもM1の制限である可能性が高く、将来のチップセットの改訂で対応されることを期待したい。

マルチモニター対応は、M1 Mac miniの大きな欠点だ。1台はThunderbolt経由で、もう1台はHDMI経由で接続するしかないため、合計で2台のモニタしか使えない。サードパーティ製のソフトウェアを使えば3台目のモニターを低解像度で動作させることができたが、不安定でパフォーマンスも低かった。私を含む一部の人にとって、マルチモニター対応は大きな問題であり、2台のモニターでは十分ではないことが多いのだ。

ベンチマーク

アップルはM1を搭載したコンピュータを宣伝する際、チップセットについていくつか突拍子もない主張をした。しかし、その主張のほとんどは事実であることがわかった。我々はM1システムでいくつかのベンチマークを実行し、Mac Proを含む最新のMacと比較してみた。

ベンチマークは大雑把な表現をするため、微妙なニュアンスを見逃してしまうことがよくある。ここでもそれが当てはまる。最初の数回のベンチマークではM1の速さが実証されているが、最終テストではFinal Cut Proの重要な側面を捉えきれていない。確かに、Intelベースのシステムよりも書き出しは遅いが、M1ネイティブバージョンのFinal Cut Proを使うと、以前のシステムよりもずっとスムーズに作業が行える。8K映像の操作、スクラブ、編集も何の支障もなく簡単にできる。レンダリングはIntel版より時間がかかるものの、編集はずっと楽にできるだろう。

このテストではXcode 12.3ベータをダウンロードし、その解凍時間を比較した。11.57GBのファイルを解凍すると28.86GBのフォルダになった。バーが低い方が優れている(画像クレジット:TechCrunch)

次にウェブKitをコンパイルしてその時間を計測した。バーが低い方が優れている(画像クレジット:TechCrunch)

画像クレジット:TechCrunch

Geekbenchを使って2つのテストを行った。1つはRosetta 2を使ってレガシーアプリケーションを実行したときのシステムのパワーを実証するもの。もう1つはM1ネイティブモードでGeekbenchを実行し、Appleシリコンの実力をテストした。バーが高い方が優れている(画像クレジット:TechCrunch)

Final Cut Proでは、8K動画(80GB)のレンダリングに要する時間を計測した。バーが低い方が優れている(画像クレジット:TechCrunch)

結論

長所

  • 価格の割には画期的な性能
  • レガシー(Intel)アプリやiOSアプリを簡単に実行できる
  • 排熱と静粛性に優れている

短所

  • モニターを2台しか接続できない
  • eGPUに対応しない
  • 2つしかないThunderbolt 3ポート

テストしたMac miniのスペック

  • 8コアCPUと8コアGPUを持つApple M1チップ
  • 16コアのNeural Engine
  • 16GB ユニファイドメモリ
  • 1TB SSD ストレージ
  • ギガビットEthernet
  • テスト機の価格:$1299(スペックはカスタマズしたもの、日本では税別13万2800円)

新しいMac miniは素晴らしいマシンで、静かな復活の始まりのように感じられる。別の時代にはアップルは信頼できる適正価格のデスクトップで知られていたが、その言葉はこのMac miniにもそのまま当てはまる。

長年Mac miniを愛用してきた私は、デスクワーカーのための素晴らしい選択肢として、Mac miniを再び見ることができて興奮を抑えられない。

M1チップセットにより、アップルはパーソナルコンピュータの長い歴史の中で新たな章を歩み始めた。このチップセットは、優れたパフォーマンスを小さくて電力効率に優れたパッケージで提供することで、コンピューティングのパラダイムを再定義した。Mac miniでは、M1はMacのデスクトップ機に新しい体験を提供する安定した馬車馬として輝きを放っている。新しいMacBook AirMacBook Proでは、M1は従来よりも大幅に長いバッテリー駆動時間と安定した性能を発揮する。これらのレビューはこちらこちらでご覧いただきたい。

新しいMac miniを買うべきか? デスクにかじりついている人ならそうするべき。新しいMac miniは最高だ。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleMacApple Siliconレビュー

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(翻訳:TechCrunch Japan)