英国がファイザーとBioNTechの新型コロナワクチン緊急使用を世界初承認

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英政府は医薬品当局の推奨を受け、BioNTech(ビオンテック)とPfizer(ファイザー)が共同開発した新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を承認した(英国政府リリース)。

英国は広範使用を目的に新型コロナワクチンを承認した初の国となる。承認により、高齢者ケアホームの住人や医療従事者といった最も「ハイリスク」な人たちが年末までにワクチンの接種を受けられるようになる。

BBC(BBC News記事)は、英国の医薬品・医療製品規制庁(MHRA)が来週からワクチンを提供してもよいと述べた、と報じている。ただし、まず最初に誰が接種を受けるのかははっきりとしていない。

緊急使用の申請は、BioNTechとPfizerが先月MHRAに提出した。また、オーストラリア、カナダ、欧州、日本、米国の当局にも提出したが、まだどこもゴーサインを出していない。

声明文の中で、Pfizerの会長兼CEOのAlbert Bourla(アルバート・ブーラ)氏は英国の緊急使用の承認を「新型コロナとの戦いの中で歴史的な瞬間」と表現した。

「この承認は、科学が勝利すると最初に我々が宣言して以来、取り組んできた目標だ。注意深い評価を行う能力、そして英国民を守ろうとタイムリーに行動を取ったMHRAを称賛します」と同氏は述べた。「今後さらに承認や許可が得られると予想していて、これまでと同様に緊急性をもって高品質なワクチンの世界に向けた安全供給への移行に注力します。多くの人が感染する中で、この壊滅的なパンデミックを終わらせるという集団レースにおいては毎日が大事です」。

英国の承認は、BioNTechとPfizerが世界で行ったフェーズ3治験を含む試験データに基づいている。フェーズ3の治験ではワクチンの効果は95%で、安全上の重大な懸念は見当たらないとされた。

このワクチンはまたそれまでSARS-CoV-2ウイルスにさらされていなかった治験参加者、さらされていた治験参加者のどちらにおいても効果的であることが示された。

効果は年代、性別、人種、民族に関係なく一貫性があり、65才以上の人での効果は94%だった、と両社は明らかにした。

英首相Boris Johnson(ボリス・ジョンソン)氏は12月2日朝、正式承認のニュースをツイートした。そこには、ワクチンが「来週から英国で接種可能になります」と書いている。(2つめのツイートでは、一般的にはワクチン接種が「ついに」通常の経済活動に戻ることを可能にする、と推測している)。

英国はBioNTechとPfizerのワクチンを4000万回分注文している。これは2000万人分ということになる(1人2回の接種が必要)。ただ、注文したワクチンすべてを受け取るには時間がかかる。

「締結した契約を実行するにあたり各国に平等に提供できるよう、ワクチン4000万回分の提供は2020年から2021年にかけて段階的に行われます」と両社はプレスリリースで述べた。

「ワクチンが英国で承認され、我々はワクチン供給を始めるために迅速に動きます。初出荷分は数日内に英国に届くと見込んでいます。納入完了は2021年になります」と付け加えた。

英国の国民保健サービス(NHS)は、NHS最高経営責任者Simon Stevens(サイモン・スティーヴンス)卿がいうところの「英国史上最も大規模なワクチンキャンペーン」に向けて準備を進めている。BBCによると、50ほどの病院がスタンバイし、カンファレンスセンターのような施設に設けるワクチンセンターも準備中だ。

ジャーナリストへのコメント(Twitter投稿)のなかで、保健大臣Matt Hancock (マット・ハンコック)氏は来週80万回のワクチンが利用でき、年が明けてさらに多くのワクチンが投入されると述べた。「製造されるスピードで接種を展開していきます」と付け加えた。

ハンコック氏はワクチン初回分は、ケアする人も含め、ケアホームにいる「最も高齢」の人に優先して接種すると述べた。「そして当然のことながら年齢のレンジを下げていきます。NHSスタッフもまたワクチン接種を優先されるべきリストの上の方にきます。それから健康面で影響を受けやすい人、特にコロナウイルスに対して脆弱である人も優先されます」。

ワクチンは21日の間隔を空けて2回接種する必要がある。12月2日の記者会見で、MHRAと英政府の共同ワクチン・予防接種委員会の担当者は、完全な免疫は2回目の接種の7日後以降に得られる、と明らかにした。ただし、1回目の接種から何日か経って多少の免疫がつくとも述べた。

記者会見の中でMHRAのCEOであるJune Raine(ジューン・レイン)博士は、ワクチンの承認につながったデータについて行われたチェックの基準に「絶対的な自信」を持つことができると話した。米国の食品医薬品局(FDA)のような各国の当局で行われているものと「同等」のチェック基準だと表現した。FDAはまだ緊急使用を承認していない。

英国の対応は9月に始まり、チームの招集や、スタッフが並行して作業を進められるようにキャパシティを確保するなど数カ月かけて準備した、とレイン博士は述べた。

ハンコック氏が主張していた、EUよりも早いワクチン承認にブレグジットが関係していた、ということについては、レイン博士はむしろ2021年1月1日(ブレグジット移行期間が終わる時)まで効力を持つEU法の下で準備できたことの恩恵があったと話した。

MHRAのスピーディな承認はローリングデータと専門性へのアクセスに頼っていた、とレイン博士は述べ、差し迫っている英国のEU脱退が、今後追加される新型コロナワクチンの承認を遅らせるかについては疑問を呈した。

「進捗は完全に、レビューや確固たる評価、独立したアドバイスという点においてデータが利用できるかどうかにかかっていました。これが、EUとの関係を明確にできればと思います」とレイン博士は付け加えた。

共同ワクチン・予防接種委員会(JVCI)の当局は、BioNTechとPfizerのワクチンはマイナス70度で保管される必要があり、これにともなう制約がワクチンプログラムの初段階の実行において「フレキシビリティ」につながるかもしれない、と述べた。

画像クレジット:MHRA/JVCI press conference slide

つまりそれは、たとえば医療現場のスタッフが、働く場所に保冷施設があるために自分たちがワクチン接種を受けるのが簡単であればそうすることを意味する。しかしながら当局はまた、短い期間ながらワクチンが2〜8度の環境で品質を維持できるとも言及した。これはケアホームでの接種にともなう困難を解決するのに役立つとの考えを示した。

英国は、EUにある施設(ベルギーの製造施設)からBioNTechとPfizerのワクチンの供給を受ける。ブレグジット移行期間の終わりが迫るなか、EU脱退が将来のスムーズなワクチン供給における物流面での支障を引き起こすことになるかどうかは不明だ。もし支障があれば、製造と同じスピードで接種を行うというハンコック氏の計画に赤信号が灯る。これは、ブレグジット後の英国とEUの貿易について交渉がまだ続いているからであり、決着がつかない場合、税関検査により輸入遅れが発生する懸念もある。

また、(英国に限定しない)別の疑問として、ワクチンの効果がどれくらい続くのかというものがある。BioNTechとPfizerのワクチンはかなりのスピードで開発され、この疑問に答える長期的なデータはまだない。

他の企業が開発している新型コロナワクチン候補にも同じことが言える。

「英国の緊急使用承認により、英国市民は治験をのぞいて世界で初めて新型コロナワクチンを接種する機会を手にします」とBioNTechの共同創業者でCEOのUgur Sahin(ウグル・サヒン)氏は声明で述べた。「英国でのワクチンプログラムの展開でハイリスクの人たちの入院数を減らせると確信しています」

「我々の目的は、承認を受けた安全で効果のあるワクチンを必要な人に提供することです。世界中の当局に提出したデータは厳密な科学と極めて倫理的な研究・開発プログラムに裏付けられたものです」。

カテゴリー:バイオテック
タグ:BioNTechPfizer新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

画像クレジット:Dogukan Keskinkilic / Anadolu Agency / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi