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NASAが月試料収集プロジェクトに日本のiSpaceなど4社を選抜、宇宙鉱業のパイオニア育成を目指す

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NASAは、月の表土サンプルを収集し地球に持ち帰るプロジェクトへの参加企業を募集していた。多数の民間企業が応募した中からispace Japanなど4社が選択された。

選定された4社はNASAの月着陸ロケットへの機器の搭載をすでに予約している。NASAはペイロードに民間企業を加えることでプロジェクトのコストの大幅削減ができることを実証しようと考えている。またNASAは、月試料採集にあたって民間企業に支払いを行う。企業は取得した物質の一時的な所有権を持ち、独自の目的に使用した後でNASAに譲渡することとなる。今回のプロジェクトこうした方式の前例となるだろう。

選定は簡単な基準に基づいて評価された。つまり、まず技術的に実現可能かどうか、次にどれほどの費用がかかるかという2点だ。4社はそれぞれが異なる手法でNASAの要求条件を満たそうとしている。プロジェクトは50〜500g程度の月のレゴリス(要するに月の土だ)を採集して地球に持ち帰ることだ。地球での回収作業はNASA自身が実施する。2024年までにサンプルの取得を実現できるという点が要求仕様に含まれていた。これはNASAのアルテミスミッションに間に合うようにするためだ。NASAは実際にサンプルを購入する義務はないが、必要なら購入できるようオプションが設定されている。

選定された4社は以下のとおり。

Lunar Outpost:米国・コロラド州ゴールデン。契約金額はわずか1ドル(約104円)。2023年に完成予定のBlue Originの月着陸船を利用する。

ispace Japan:日本、東京。契約金額5000ドル(約52万円)。現在、2022年に設定されている最初のミッションでHakuto-R着陸船を利用して収集を行う。

ispace Europe:ルクセンブルグ。ispace Japanと同一のグローバル宇宙企業グループに属する。契約金額5000ドルで2023年の2回目のHakuto-Rミッションに参加予定。

Masten Space Systems:米国・カリフォルニア州モハベ。契約金額は1万5000ドル(約156万円)。2023年に自社開発のMastenXL着陸船を使用する予定。

NASAには16ないし17社から22の応募があった。このプロジェクトはNASAが官民パートナーシップという手法のメリットを実証することも重要な目的で、月のような地球外天体から試料を収集するための方式に1つの先例を作れるよう意図している。

NASAの国際関係・省庁間関係担当副長官代行のMike Gold(マイク・ゴールド)氏はこう述べている。

これが内部的にも外部的にも先例となり、民間企業とのパートナーシップというNASAのパラダイムを今後も前進させていくことと信じています。NASAはこれまでのようにシステム開発自体の資金を負担するのではなく、民間企業の事業に対して顧客として料金を支払う役割となります。

具体的にいえば、今回の契約は月試料の収集に関して民間企業が主導的役割を果たすこと、また試料の所有権を収集した企業が持つことについて重要な先例となるだろう。ゴールド氏はこう述べている。

宇宙開発においてロケット工学はむしろやさしい部分だと私は常々いっています。政府の政策、各種の法的規制、予算などの課題には対処することは非常に困難な課題です。こうした問題を事前に解決しておかないと公的部門と民間部門の協力によって生じる素晴らしい進歩がひどい遅延に見舞われかねません。民間セクターの能力を利用する先例を確立することは重要です。企業のリソースを使ってNASAがその成果物を購入利用できるようにすることはNASAの活動だけでなく、官民協力による宇宙開発、探査に新しいダイナミックな時代を開くでしょう。我々はまず月にやがて火星にたどり着くでしょう。

NASAは民間企業が月(将来は火星)に行き試料を収集し所有権を保持し後に、公的および民間の顧客に試料を売却することができるというビジネスモデルを確立することを望んでいる。

今回の選定にあたって入札価格が非常に低かったのはこれが理由の1つだ。ispaceやLunar Outpostのような企業は地球外天体の宇宙鉱業を含む未来的ビジネスモデルを持っていいる。さらに月着陸ミッションはすでに計画されており、NASAが今回の提案要項に明示したとおり、NASAは月着陸船の開発費を支払うことを考えていない点だ。 NASAは月に実際に収集された試料の料金だけを支払うというモデルとなっている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:NASAispaceLunar OutpostMasten Space Systems

画像クレジット:ispace

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(翻訳:滑川海彦@Facebook