クラウドソーシングによる宿題サポートプラットフォームで3.5億人を支援するBrainlyが約83億円調達

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新型コロナウイルスのパンデミックにより、バーチャルラーニングが大幅に増えた。リモートに移行した(あるいは留まった)学校もあれば、地域社会がソーシャルディスタンスを保てるよう非常に強力なオンラインコンポーネントを組み込んだ学校もある。その結果、家での勉強を支援するツールが急増した。その1つが米国時間12月17日、この市場におけるチャンスをつかもうとグロースラウンドを発表した。

生徒や親が参加し、宿題のアドバイスやサポートが受けられる人気のネットワークを構築したポーランドのスタートアップであるBrainly(ブレインリー)がシリーズDで8000万ドル(約83億円)を調達した。資金は生徒だけでなく家庭にも提供するツールの開発継続と、インドネシアやブラジルなどいくつかの主要な新興市場での拡大に使う。このニュースは同社が劇的な成長を遂げる中で飛び込んできた。同社のユーザーベースは2019年の1億5000万人から今日では3億5000万人に増加した。

資金調達は以前から投資しているLearn Capitalがリードし、同じく過去からの投資家であるProsus VenturesRuna Capital、MantaRay、General Catalyst Partnersも参加した。同社はこれまで約1億5000万ドル(約160億円)を調達した。バリュエーションは開示していないが、CEOで共同創業者のMichał Borkowski(ミーハウ・ボルコウスキー)氏は「間違いなく」アップラウンドだったと強調した。参考情報だが、PitchBookは同社が前回2019年に3000万ドル(約31億円)を調達したシリーズC(未訳記事)でのバリュエーションが1億8000万ドル(約190億円)だったと推定している。

このCラウンドはBrainlyが米国で成長するための資金調達だった。現在、米国市場では約3000万人のユーザーを抱える。米国はBrainlyがユーザーから収益を得る唯一の市場だ。他の国ではどこでもBrainlyは無料だ。米国には生徒の宿題を支援する市場で大きな勢いがある(Twitter投稿)Cheggのような手ごわい競合他社がいる。Cheggのユーザー支出の約74%が米国1国に集中している。

Learn CapitalのパートナーであるVinit Sukhija(ビニート・スキジャ)氏は声明で「Brainlyは世界最大の学習コミュニティーの1つになり、35カ国以上で大幅なオーガニックグロースを達成しました」と述べた。

画像クレジット:Brainly

新型コロナウイルスの大流行の前は、生徒、それも主に13〜19歳の生徒を対象としていたとボルコウスキー氏は述べた。生徒は宿題をサポートしてくれる人々とつながるためにこのサービスに目をつけた。たとえば数学の問題や1848年革命につながった一連の出来事を把握することなどだ。プラットフォームはオープンエンドで、宿題のQuora(クォーラ)といった感じだ。人々は興味のある質問を見つけて答えたり生徒に質問したりできる。

しかしこのプラットフォームはバーチャルラーニングへの移行にともない、まったく新しい側面を帯びてきたとボルコウスキー氏はいう。

「新型コロナ以前、西欧諸国でオンライン教育は大きな投資分野ではありませんでした。今それは大きく変化し、生徒、保護者、教師に広く採用されました」と同氏は説明した。「しかし、オフラインからオンラインへの切り替えという大きな移行にともない子供たちは格闘しています。先生はやるべきことがありすぎて、以前と同じように専念することができなくなりました」。

そのため「homework(宿題)」が「all work(勉強すべて)」になり、結果として家庭学習にこれまで以上に多くの助けが必要となった。そして、多くの親がその差を埋めるべくより深く関わろうとしたが、「親を教師とすることは難しかった」とボルコウスキー氏は付け加えた。親たちがかつて学んだ方法は子供たちのそれとは違うのかもしれない。答えを覚えていなかったり、知らない可能性もある。

Brainlyが気づいたのは、パンデミック以降アプリを使う親が増えたことだ。子供と並んでアプリを使いながら一緒に問題に取り組んだり、子供をサポートする前に自分がまずサポートを得たりしている。13歳未満の子供を持つ親が多数利用している。同氏によると、現在、新規登録全体の15〜20%が親からのものだ。

これまでBrainlyが注力してきたのは、利用する生徒に対し、そして今では親に対し、どのように多くのツールを開発するかだ。これまではそうしたコミュニティーのオーガニックグロースがすべてだった。

ただし、より多くの教育関係者に拡大する余地はあることは明らかだ。そうすれば、どのような種類の質問にどう回答すべきかについて、もっとうまいやり方が可能かもしれない。ボルコウスキー氏によると、同社は実際に教育者やカリキュラムを作成している人たちからアプローチを受けている。それにより、回答を、生徒が聞く可能性が最も高い質問と適切に結びつけられるかもしれない。だがいまのところ同社は「生徒と親が行き詰まっていることに焦点を合わせ続けたいと考えています」。

Brainlyは将来のプロダクトに関して、より多くの個別指導、ビデオ、AIを組み合わせる方法を検討している。AIの側面は非常に興味深いものであり、実際にはAIの利用が、広範なカリキュラムを個別のニーズに結び付けることを可能にする。

たとえばある種の2次方程式のテクニックについてヘルプを求めると、同じような練習問題がたくさん提示され、いま学んだことを深く理解し、応用する助けとすることができる。より広い範囲を含む数学の試験で、そうした問題と一緒に出題されるような関連するトピックが示されることもある。さらに助けを求めたいなら、家庭教師と会う機会が提供されるかもしれない。

ボルコウスキー氏によると、Brainlyは現在、個別指導を静かに試験運用しており、これまでに約15万回のセッションを行った。同氏によると、こうした大規模なユーザーベースを持つことで、サービスを大規模に実行しながら、テストモードをうまく維持することができる。

「生徒が何を勉強しているのか、それは各国のカリキュラムのどの部分なのか、そして生徒を支援するために私たちに何ができるのかを見極めます」とボルコウスキー氏はいう。「しかし、生徒1人1人にあわせ、それが適切に機能するためには膨大な作業と機械学習が必要」だとし、それが全面的に展開されていない理由の1つだと付け加えた。

Brainlyが新しいサービスを積極的にテストしている分野は、個別指導とパーソナライズだけではない。さまざまなテクニックを説明するビデオを追加するためにスペースを増やしている(これは数学のようなものには特に適していると思うが、たとえばアートのテクニックにも同様に役立つ)。これはおそらく、同社が多くのビデオツールを導入するために行った2018年の買収が一部ベースになっている(未訳記事)。Brainlyの拡大戦略がいかによく考えられているかを示している例だ。

すでに「週に数千件」が追加されているが、個別指導と同様「これは私たちにとってテスト段階です」とボルコウスキー氏は付け加えた。新しいプロダクトは第1四半期にもっと追加されるはずだと同氏は語った。

カテゴリー:EdTech
タグ:Brainly資金調達

画像クレジット:Klaus Vedfelt / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi