Axiom Space(企業)

民間による商用有人宇宙活動は思いのほか早く実現する

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「宇宙で働く」という話を聞いたとき、SFの話をしているのだと感じたとしても無理はない。だが、地球の大気圏外で実際に働く人の数は、また人生の多くの時間を宇宙で過ごす人の数も、加速度的な割合で増え始めている。今はまだ人数がとても少ないので増加速度はゆっくりに感じられるが、間もなく目に見えてくるはずだ。人数を急速に増やすための計画も準備が整っている。

近々、これを中心的に牽引することになる企業は、宇宙ステーションでの民間向けサービスを提供し、ゆくゆくはステーションの運営も行おうというAxiom Space(アクシオム・スペース)だ。Axiomは、国際宇宙ステーション(ISS)での経験や専門知識を持つ人たちによって設立され、経営されている。同社はすでに、民間クライアントのためにISS上でNASAの宇宙飛行士の手を借りた研究開発ミッションを実施している。2021年からは、民間宇宙飛行士のISSへの送り迎え全般を取り仕切る計画を立てており、新しい商用宇宙ステーションの建造計画もある。これは、いずれISSが引退した後に、その役割を引き継ぐことになっている。

Axiomの最高ビジネス責任者Amir Blachman(アミア・ブラックマン)氏は、先週開催されたTC Sessions:Spaceのパネルディスカッションに登壇した。このディスカッションには、他にもNASAの探査およびミッション計画責任者のNujoud Merancy(ニュジャウド・メランシー)氏、Sierra Nevada Corporation(シエラネバダ・コーポレーション)上級副社長であり元宇宙飛行士のJanet Kavandi(ジャネット・カバンディ)氏、Space Exploration Architecture(スペース・エクスプロレーション・アーキテクチャー、SEArch+)共同創設者Melodie Yashar(メロディー・ヤシャー)氏も登場した。ここでは、公共と民間の団体が、地球の外で、または遠く離れて、過ごす時間が長くなる(比較的近い)将来の準備がどれだけ進んでいるかが集中的に議論された。

「今です。もう数年前から今です」とブラックマン氏は、実際に宇宙で暮らす人の数がNASAの宇宙飛行士を超えるのはいつかという質問に答えた。「Axiomは、独自のミッションでISSにクルーを送り込みます。同時に新しい商用宇宙ステーションを建造し、ISSが引退した後にその役割を引き継ぐ予定です。私たちの最初の有人ミッションは、今から12カ月後に予定している4人の宇宙飛行士の打ち上げです。この4人はすでに身体検査を行い、宇宙服の採寸を済ませています。またすでに、打ち上げを行う企業との医療とトレーニングのチームを統合を行いました。この4人は2021年に、別のクルーを2022年に、2023年に2人、2024年には4人を打ち上げ、その後は数を増やしていきます」。

バックマン氏とメランシー氏は、Axiomの将来の商用ステーションにも、NASAの将来の月面基地や月の軌道を巡り月ミッションの足場となるルナゲートウェイにも、自動化とロボットシステムが重要になると話していた。

「ISSは、人が常駐することを基本としています」とメランシー氏。「無人ステーションになることは想定していません。地上の管制官たちが実際にたくさんのオペレーションを行っていますが、ステーションの維持管理は人間が行う仕組みになっています。月の構造物やゲートウェイを計画する際には、そのような贅沢はいえません。ゲートウェイは、人がいるときだけ稼働します。月面基地に人が滞在するのも、次第に長くなりますが、最初は1週間程度です。しかしながら、人がいない間も、有用な科学調査や有用な探索が行える状態を維持しておかなければなりません。そこで、テレロボティクスや地上からのコマンドによる維持管理能力を持たせ、クルーが到着したときに、ハッチを開けて中に入ればすぐに仕事にかかれる環境になっているというのが理想です」。

「火星での、またそれ以前に月面での、そうした住居や重要インフラの建設においては、できる限り自立的に行うべきであり、またそのように考えで進めるべきだという想定の下で、私たちは作業を進めてきました」とヤシャー氏は続けた。「そのため私たちは基本的に、人を送り込む前の予備的ミッションの段階から、建設、材料、採掘、原料加工に至るほぼすべてのシステムと、私たちが目指している他のすべてのシステムが、多かれ少なかれ、できる限り自律的に行われることを期待してデザインしています」。

カバンディ氏も、現代の有人宇宙システムには大幅な自動化を導入すべきという点で、他のパネリストの考えに共鳴していた。それによって複雑性が増さないかとの私の質問に、彼女はむしろ反対の結果をもたらすと答えた。皮肉なようだが、宇宙の有人活動への道を拓くには、人の手をできるだけ減らすことが重要になるということだ。宇宙のインフラの運用と管理においてはなおさらだ。

「技術の進歩は、物事をより単純化する場合もあります」とカバンディ氏。「長年かけて私たちが能力を高めてきた過程で、たとえばコンピューターは、どんどん難しくなるのではなく、より簡単に使えるようになりました。目標は、クルーの拘束時間やクルーの維持管理の手間を削減して、どのようなミッションにおいても、研究やその他宇宙で本来行うべき仕事に専念できるようにすることです。インターフェイスを単純化するほど、自動化率は高まります。クルーは何か問題が起きたときだけ介入すればよくなります。しかし通常は物事が滞りなく進行し、クルーは何もしないで済むというのが理想のかたちです。そうなれば、本来宇宙で行うべき仕事に集中できる自由な時間が増えるのです」。

カテゴリー:宇宙
タグ:Axiom Space民間宇宙飛行ISS

画像クレジット:Axiom Space

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(翻訳:金井哲夫)