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自動車修理業者の業務をデジタル化するAutoLeap、顧客との関係性「修復」を支援

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自動車修理工場に行くのが好きな人はいないだろう。クルマを預けた後に何が起こるかのか、透明性はほとんどなく、請求書は大抵の場合、読みにくい箇条書きの連続に過ぎない。まるで混沌とした試練のように感じられることがある。

トロントを拠点とするスタートアップ企業のAutoLeap(オートリープ)は、6カ月前に設立されたばかりだが、9月にはひっそりとシードファンディングで500万ドル(約5.2億円)の資金を調達した。このチームは、自動車修理工場をようやく21世紀に持ち込むことで、この崩壊した経験を修復する方法が見つけ出せると考えている。彼らの大きなアイデアは、自動車修理業者が業務を整理し、仕事のスケジュールを立て、部品を注文し、デジタル検査を実施し、透明でシームレスな方法で顧客に請求書を発行するのを支援するというものだ。

自動車修理のプロセスを近代化しようしたのは、彼らが初めてではない。他のスタートアップ企業の中では、シアトルを拠点とする5年前に設立されたWrench(レンチ)が、その目的に向けてすでに4000万ドル(41.4億円)の資金を調達(GeekWire記事)している。2年前にLAで創業した自動車修理・整備サービス業のRepairSmith(リペアスミス)は、ダイムラー社から支援を受けている。

だが、世界の自動車修理市場は現在7000億ドル(約72.5兆円)と評価されており、まだ新たな企業とアプローチの参入する余地があることは明らかだ。そしてAutoLeapにはいくつか有利な点がある。

まず第一に、有益なコネクションのある投資家ベースを持っていることが挙げられる。AutoLeapのシードラウンドを主導したThreshold Venturesは、10月に逆さ合併で株式公開(Insurance Journal記事)した自動車販売プラットフォームのShift(シフト)への投資を含め、自動車業界とのつながりを持っている。

他にもMaple VC、Liquid2 Ventures、Global Founders Capital、Codename Venturesなどのベンチャー投資家が投資しているが、AutoLeapはさらに、自動車業界に影響力を持つ何人かの著名人からも支援を受けている。Shiftの共同創業者George Arison(ジョージ・アリソン)氏、元ゼネラルモーターズCEOのRick Wagoner(リック・ワゴナー)氏、元ブリヂストン上級幹部のNed Aguilar(ネッド・アギラール)氏などだ。

さらに重要なのは、AutoLeapの創業者たちが以前にも一緒に、退屈な事業に活気を取り戻すために働いていた経験があるということだ。AutoLeapを立ち上げる前、共同CEOのRameez Ansari(ラミーズ・アンサリ)氏とSteve Lau(スティーブ・ラウ)氏は、スモールビジネスの経営を支援するSaaS企業、FieldEdge(フィールドエッジ)の共同CEOとして4年間を過ごした。

トロント大学で出会った大学時代の友人である2人が、この会社を立ち上げたわけではない。ラウ氏がウォートンで、アンサリ氏がスタンフォードで、それぞれMBAを取得した後、2人はいわゆるサーチファンド(個人投資家から支援を受けたチームが会社を探して買収し、一定期間それを経営した後、売却してさらに多くの利益を得るという仕組み)を利用して放置されていたビジネスを買収し、成長させるために力を合わせた。

それは関係者全員にとって生産的な経験だった。ソフトウェアがすでに30年前から存在していたFieldEdgeを2000万ドル(約20.7億円)で買収した後、ラウ氏とアンサリ氏は同社の製品を劇的に改善したため「この会社が従来の製品で得ていた金額の7倍も請求することができるようになった」とラウ氏は言っている。

その後、彼らは2018年に投資会業のAdvent(アドヴェント)に、会社を「1億ドル(約103.5億円)より多い金額」で売却(Adventリリース)したとラウ氏。

それは堅実な退陣だった。その2000万ドル(約2070億円)の投資を差し引いても、チームはFieldEdgeの売却益のうち30%を得て、残りはサーチファンドの投資家に回った。

それでもラウ氏によると、「資金調達に夢中になった」ライバルのServiceTitan(サービスタイタン)がいなかったら、彼とアンサリ氏は続けていたかもしれないという。7年前に設立された同社は、投資家から合計4億ドル(約414億円)を調達している。

ServiceTitan の膨大な軍資金と「これが私たちにとって最初の退陣になる」ことを考え、「私たちは撤退しました」とラウ氏は語る。

今日では、ラウ氏もアンサリ氏も、このシナリオをAutoLeapで繰り返したくないと考えている。実際、ラウ氏によると、同社はシード資金を確保した今、「頭を下げて」おり、投資家との話し合いは「一切していない」とのことだが、この状況が変わるまでにはそう時間は掛からないと想像する向きもある。

投資家が資金を提供するのは、紙のチラシやぼろぼろになったファックス機や請求書の山をなくすことを目的とした、急成長中のソフトウェアプラットフォームだ。そのためには修理業者にこのソフトウェアを十分に時間を掛けて試すように説得しなければならない。

だが、そうなるのは当然のことだとラウ氏は認めている。「それはオンボーディングに向けた取り組みになります。なぜなら、それが彼らのビジネスの生命線になるからです」とラウ氏は述べた。AutoLeapの販売プロセスでは、修理業者に既存のデータを共有させ、時間を掛けてその使い方を学ぶように説得しなければならない。

その説得力がラウ氏にあることは明らかだ。同氏によると、新規顧客がオンボーディングするまでの期間は1~2週間で、「顧客が価値を見出し始めると、『ああ』という瞬間が訪れる」とのこと。実際、AutoLeapはトロントの数店舗、ラスベガスの1店舗、ボストンの1店舗など、すでにいくつかの業者と提携しているという。

同社の拡大計画について、ラウ氏によると、シード資金の一部はデジタルマーケティングに使われる予定だが、口コミにも大きく依存しているという。修理業者の工場は一部の地理的なエリアに集中していることが多く、これがAutoLeapの迅速な普及を可能にすると彼は考えている。

その仮定を裏付ける「多くのデータ」はありません、とラウ氏はいう。しかし、AutoLeapがこのままやり方を貫けば、普及するまで長い時間は掛からないだろう。

写真はAutoLeapの共同CEOのラミーズ・アンサリ氏(左)とスティーブ・ラウ氏(右)。新型コロナウイルス流行のため、ラウ氏自らフォトショップで合成したものを提供してくれた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AutoLeap資金調達自動車

画像クレジット:AutoLeap

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(翻訳:TechCrunch Japan)