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2020年の注目すべき労働問題を振り返る

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今週はあまりたくさんのことが起きなかったので、この機会を借りて2020年の注目すべき労働関連の話題を振り返ってみたい。

ギグ・ワーカー vs Uber、Lyft、Instacartなど

カリフォルニア州の住民立法案 Proposition 22は、Uber、Lytf、DoorDashらのギグカンパニーの支持を受けて通過し、ギグワーカーは個人事業主として分類されることになった。これは賛成側にとって2億ドル以上の価値をもたらす重要な法案だった。しかし戦いは終わっていない。詳しくはこちらで読める(未訳記事)。

Amazonのつまづきの数々

Amazon(アマゾン)は年間を通じてさまざまな労働争議に直面し、その多くは同社の倉庫従業員監視(VICE記事)に関わるものだった。

一例を挙げると、元Amazonの倉庫係であるCharistian Smalls(チャリスタン・スモールズ)氏は2020年3月、ニューヨーク州スタテン島の同社配送センターでストライキを起こした後に解雇された。その結果ニューヨーク州司法長官は、Amazonがスモールズ氏を解雇したことで連邦労働安全法およびニューヨーク州の公益通報者保護法に違反したという疑いで捜査している。

スモールズ氏の解雇は、他の倉庫労働者たちを奮い立たせ、後にAmazon倉庫内の変革を要求する国際組織を編成するきっかけとなった。主催者らは労働者への報復がAmazon Workers Internationalを組織化する原動力の1つだったと語った。一方、Amazon経営陣は、スモールズ氏を疑う発言を繰り返し、同氏を抗議行動の首謀者だと指摘した。

かつてAmazon広報担当者は本誌に対し、同社はスモールズ氏を抗議の組織化を理由に解雇したのではないと伝えた。Amazonは「他者の健康と安全を脅かし雇用条件に違反した」ために同氏を解雇したと語っている。

2020年11月、スモールズ氏はAmazonを相手取って訴訟を起こし、同社が従業員にPPE(個人用保護具)を支給しなかったと主張した。

テック・ワーカーによる組合結成

Kickstarter(キックスターター)とGlitch(グリッチ)は、テック企業として労働組合を結成した初期の会社だ。Kickstarter社員たちは2020年2月に組合結成を投票で決めた。1カ月後、Glitchも投票によって組合を結成した。

2020年9月時点で少なくとも10社のテック企業が組合結成を積極的に進めていると、OPEIU(事務専門職従業員国際労働組合)の北東部組合組織責任者であるGrace Reckers(グレース・レッカーズ)氏が本誌に語っている。

「労働者たちは自分たちが作っている製品が、どのように使われているかを決めることができません」と彼女はいう。「シリコンバレー企業のほとんどは、より良い世界を作り、私たちの生活を簡単・革新的にするというメッセージを発信していますが、同時に、すばやく動いて物事を破壊するという哲学の下で行動しています」。

【情報開示】筆者のパートナーはGlitchに勤務し、組合の交渉委員会に所属している。

Pinterestが厳重な監視下に置かれる

Pinterest(ピンタレスト)の元従業員であるIfeoma Ozoma(イフェオマ・オゾマ)氏とAerica Shimuzu Banks(エアリカ・シムズ・バンクス)氏の2人は、同社における人種および性差別を声高に非難(未訳記事)した。その直後、Pinterestの前COOであるFrancoise Brugher(フランソワーズ・ブルーガー)氏が同社を性差別で訴訟(未訳記事)し、Pinterestは2250万ドル(約23億2000万円)で訴訟を和解した。

しかしオゾマ氏とバンクス氏は、自分たちの扱いについてブルーガー氏と比較して二重基準であると私に説明した。ブルーガー氏が2000万ドル(約20億1000万円)を受け取ったのに対して、オゾマ氏とバンクス氏が受け取った退職手当は報酬の1年分以下だった。

「これは、黒人女性が先陣を切って不平等を暴き、そこへ白人女性がやってきてすべての恩恵を受ける、という昔ながらの米国の伝統に沿うものです」とバンクス氏は私に語った。

ゲブル博士のGoogle辞職が波紋を呼ぶ

カリフォルニア州サンフランシスコ、2020年9月7日。GoogleのAI科学研究員であるTimnit Gebru(ティムニット・ゲブル)氏が2018年9月7日にMoscone Centerで行われたTechCrunch Disrupt SF 2018第3日の壇上で講演(画像クレジット:Kimberly White/Getty Images for TechCrunch)

Google(グーグル)のAI研究者のトップであるTimnit Gebru(ティムニット・ゲブル)博士は、会社のDEI(多様性・公平・受容)ヘの取り組みと彼女の研究論文を巡る承認手続きに失望したことを訴えるメールを直属の部下に送ったことでGoogleを解雇されたと語った。ゲブル氏がそのメールを送ったのは、言語モデルに関するAI倫理の論文に彼女と同僚の名前を載せることをGoogleが許可しなかったことを受けたものだった。以前ゲブル氏は上司にメールを送り、もし会社が彼女の具体的条件を認めなければ会社を去るつもりだと書いていた。その後Googleは同氏の辞意を受け入れたことを伝え、彼女の業務メールへのアクセスを切断した。

2020年12月にGoogleのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、ゲブル氏の退社に至った経緯を再調査すると発言した。ピチャイ氏は、会社は「多大な才能をもつ著名な黒人女性指導者がGoogleを去った事実の責任を受け入れる」必要があると社内メモに書いた。さらに同氏は、このことがGoogle社内の過小評価されているコミュニティに「波及効果」をおよぼしていることについても言及した。

Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏が取締役の席を黒人に譲る

Reddit(レディット)の共同ファウンダーであるAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏は、同社取締役を辞任し、後任を黒人にするよう会社に求めた。Redditはオハニアン氏の提案を受け入れ、Y CombinatorのCEOであるMichael Seibel(マイケル・サイベル)氏を指名した。

コワーキングスペース「The Wing」でトラブル発生

ワシントンDC。女性専用コワーキングスペース The WingのファウンダーであるAudrey Gelman(オードリー・ゲルマン)氏。The Wingはニューヨーク市でスタートし、ワシントンDCはニューヨーク以外で初めての事業所(画像クレジット:Evelyn Hockstein/For The Washington Post via Getty Images)

The Wing(ウィング)は、人種その他の差別を巡る疑惑を受けて炎上した。CEOのAudrey Gelman(オードリー・ゲルマン)氏は辞任し、対応を怠ったことを後日謝罪した。

元従業員に送ったメモの中でゲルマン氏は、The Wing在任中に有色人種女性に対する差別と戦わなかったことを謝罪した。同氏はさらに、成功と規模拡大を急いだ自身のやり方が「会社の描いた価値に見合った健全で持続可能なカルチャーや、自分たちの価値を認められ尊重されていると社員が感じられる職場の慣行を犠牲にしていた」ことを認めた。

つまり、The Wingは「サービス業界における歴史的な迫害と人種差別の根源を絶つことをせず、より優しく穏やかなバージョンに見せていただけでした」とゲルマン氏は述べている。

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画像クレジット:JOHANNES EISELE/AFP via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook