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P&Gは米連邦取引委員会の訴訟を受けて女性向けカミソリのスタートアップBillie買収を断念

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Procter & Gamble(プロクター・アンド・ギャンブル、P&G)は、以前から計画していた(Businesswire記事)女性向け美容製品のスタートアップBillie(ビリー)の買収を、米連邦取引委員会(FTC)からの中止を求める法的措置を受けて断念した。2020年12月、FTCはニューヨークのスタートアップBillieのP&Gによる買収を阻止しようと起訴(未訳記事)。Billieは女性向けのカミソリやその他の美容品を製造しているが、この2社が合併すればカミソリを使ったウェットシェービングの市場に競争がなくなってしまうという理由からだ。

米国時間1月5日、P&GとBillieは共同声明を発表し、この取引を解消に追い込んだ合併を阻むFTCの措置に苦言を呈した。

私たちはFTCの決定に失望し、BillieとP&Gの合併には世界中のより多くの消費者によりよい製品を提供する素晴らしい可能性があると主張しました。しかしながら熟考の末、長期におよぶ法的異議申立に勢力を費やすことはせず、今回の取引を解消し、私たちが本来専念すべき事業に資源を集中することを双方で合意しました。

Billieは女性向けカミソリの市場における、いわゆる「pink tax(ピンクタックス)」を排除したことで有名になった。ピンクタックス(ピンク税)とは、同等の製品でも男性向けよりも女性向けのほうが高い価格帯で販売されることを指した言葉だ。近年では、自然志向が強い美容市場にも幅広く行き渡っている。つまり硫酸エステル、パラベン、ホルムアルデヒド、科学調味料、アルコール製剤、合成着色料、香料、安価な発泡剤、不安定なシリコン、酸化防止剤などを使用しない製品だ。

またこのスタートアップは、そのミッションとソーシャルメディアやウェブの世界での現代的で、ときには進歩的なマーケティング手法に反応した、Z世代やミレニアル世代などの特に若い消費者の取り込みに成功している。その広告では、体毛を露わにした女性を使うなど、昔ながらの社会的期待を逆なでするようなメッセージを発している。広告に登場する女性は、カミソリの宣伝であったとしても、最初から毛のない滑らかな肌を見せるものとされてきた。

Billieは、女性は自分の体毛を好きなように扱うべきだが、剃りたい方には手頃な価格のカミソリを喜んでお売りしますと宣伝している。

もうひとつBillieでおもしろい点は、そのビジネスモデルだ。同社は替え刃をサブスクリプションで消費者に届けている。これにより収益は増大し、顧客ロイヤリティも向上した。

P&Gとの買収より前に、Billieは販売実店舗の拡大を計画していた。それによってBillieのブランドはP&G製品との直接的な競合相手になるはずだったとFTCはいう。

「売上げが伸びれば、Billieは実店舗を増やしてP&Gの強敵になるはずでした」とFTC競争局長Ian Conner(イアン・コナー)氏は、2020年12月に発表された声明で述べていた。「もしP&GがBillieの強敵としての急成長を食い止めることに成功すれば、消費者は高い商品を買わされる羽目になります」と彼はいい加えた。

FTCによる訴訟の結果、両社は法廷闘争は行わず、合併計画を中止することに決めた。

FTCは本日発表されたリリースで、この判断を賞賛している。両社の合併断念の判断をReuters(ロイター)も報じている

「Procter & GambleのBillie買収断念の判断は、低価格で高品質で革新的な製品を評価する消費者にとって、良いニュースだった」とFTCは声明で述べている。「Billieは、他と同等のカミソリを上乗せ価格で買わされることに嫌気がさしている消費者を広告のターゲットとする直販業者だ。FTCは、Billieから活力ある競争を排除してしまう恐れがあることから、その合併に法的措置を講じる決断をした」。

これは、FTCが2020年に行った2つめの独占禁止訴訟となる。これ以前に、Schick(シック)のカミソリを製造しているEdgewell Personal Care(エッジウェルパーソナルケア)が、これもまたカミソリの直販ブランドであるスタートアップHarry’s Inc.(ハリーズ)を13億7000万ドル(約1400億円)で買収(未訳記事)しようとしたところをFTCは訴訟で阻止している。その結果、この合併話も流れた。

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タグ:P&GBillie買収FTC

画像クレジット:Billie

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(翻訳:金井哲夫)