Waymoは「自動運転」という表現をもう使わないと宣言するが業界には賛否両論

次の記事

AppleとのEV提携の可能性に関する報道で現代自動車の株価が20%以上アップ

Waymo(ウェイモ)は自社の技術に10年以上使い続けてきた「Self-driving(セルフドライビング、自動運転)」という用語の使用を止め、代わりに「Autonomous(オートノマス、自律走行)」と呼ぶことにした。

見るからに小さな変更だが、これにより同社の技術は何をして、何をしないかが明確になるとAlphabet(アルファベット)傘下のであるWaymoは話す。またこれは、Tesla(テスラ)がその先進運転支援システムの説明に使っている「Full self-driving(完全自動運転)」という言葉と自社(さらには業界全体)との距離をとるための取り組みとも見られている。

「この1年間、私たちはその言葉の重要性と、『自動運転車』といった用語がWaymoのような自律走行車メーカーの製品を正確に表現しないことの意味を考えてきました」と米国時間1月6日に公開された同社のブログ記事に書かれている。「Waymoの車両は、自分から走るわけではありません。むしろWaymoは、運転操作の自動化を目指しているため、自律走行のほうが正確な表現となります。先進運転支援システムと自律走行技術といった、大きく異なる技術の説明を1つの用語でひっくるめてしまうことは、『Autonowashing(オートノウォッシング)』と呼ばれています。そこには深刻な安全性の問題が潜んでいます。人々は一貫して、運転支援機能の能力を過大評価する傾向があるとの研究結果もあります」。

【訳注】Autonowashingとは、実際はそこまで自動化されていないにも関わらず、それを隠蔽(ウォッシュ)して自動運転ができるかのように思わせる用語のこと。

自動運転という用語を止めるWaymoの決断は、他の自律走行車メーカーからは、業界全体への行動の呼びかけとして見られている。だが、業界が用語の明確化と一般大衆の啓蒙の必要性に基本的に合意しているにも関わらず、Waymoが受け入れた具体的な用語体系に賛同しない企業もある。

TechCrunchが話を聞いた業界内部の一部の人たちや企業創設者たちは、「自動運転」という用語を使わなくなれば、不本意ながらその用語をTeslaに譲ってしまうことになりかねないと懸念している。啓蒙のほうに労力を振り向けるべきだと示唆する声もある。

「私たちは、この技術の無人運転へ適用を追究しつつ、自家用車やトラックを運転するテクノロジーと運転者を支援するテクノロジーとの違いを明確にする用語を使いながら、その恩恵について人々の認識を高めてもらう取り組みをしています」と、Aurora(オーロラ)のCEO、Chris Urmson(クリス・アームソン)氏はいう。「他の企業の誤解を招くマーケティング活動に同調して技術の名称を変えるよりも、私たちが目指す命を救う技術を定義する明確な用語に沿うことのほうが、業界としては重要であるという考えに私たちも同意します」。

そうしたWaymoへの反発は、ひとつには業界内の同社の立ち位置に関する認識が影響している。WaymoはもともとGoogle(グーグル)の自動運転車プロジェクトであり、技術開発と自律走行車の商品化で先陣を切る企業だ。同社の事業はこの新興市場において、大きな責任と影響力を背負っているからだ。

今回の発表にともない、啓蒙キャンペーンの名称を「Let’s Talk Self-Driving(自動運転を語ろう)」から「Let’s Talk Autonomous Driving(自律走行を語ろう)」に変更したWaymoは、自家用車の先進運転支援システムを、自動運転または半自律走行と説明し宣伝してきた自動車メーカーのこれまでのやり方が混乱を招いたと主張する。この呼称変更の元凶としてWaymoがTeslaを名指しすることは決してないが、「オートパイロット」や「FSD(フル・セルフ・ドライビング、完全自動運転)」といった用語を使うTeslaは、自動車と安全に関連する数多くの団体のみならず、自動車メーカーの間にも批判を巻き起こしている。

Waymoは、自動運転車として宣伝されている乗用車、トラック、SUVに乗るドライバーたちは、その技術の能力の限界を理解しておらず、間違った使い方をしかねないとの調査結果について語っている。同社が取り上げたのは、2019年に実施された調査だ。回答者の半数が、運転車が決してハンドルから手を離してはいけないシステムの場合でも、その運転支援機能は手放し運転が可能だと信じていたという。

ドライバーが運転席にいなくてもクルマが自動的に運転してくれる技術をどう表現するかに関連する疑問や混乱は、もう何年間も消えずにいる。自律走行、自動化運転、無人運転、自動運転といった用語が、この10年間、入れ替わり立ち替わり使われてきた。復活して人気を得ることなく、時とともに消えていった用語もある。「完全自律走行」は、ごく最近になって自律走行言語学に加わった新語だ。当のWaymoも、自動運転という言い方を止めると発表したブログ記事の中で、状況に応じて「自律走行」と「完全自律走行」を使い分けている。

「自動運転」という用語は、自律走行車技術を開発し商品化しようとする企業にとっては頼もしい存在だ。Argo AI(アーゴエーアイ)、Aurora(オーロラ)、Cruise(クルーズ)、Motional(モーショナル)、Nuro(ニューロ)、Voyage(ボイエージ)といった同業界の他主要メーカーは、彼らの取り組みを各ウェブサイトで「自動運転」と称している。Zoox(ズークス)は、自律走行配車サービスを自称するはみ出し者だ。

関連記事
Waymoが運転手不在の自動車送迎サービスをフェニックスで一般公開
フォードとVWが出資する自動運転スタートアップArgo AIの評価額は7830億円

カテゴリー:モビリティ
タグ:Waymo自動運転

画像クレジット:Waymo

原文へ

(翻訳:金井哲夫)