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ビットコイン擁護派がトランプ政権の性急な仮想通貨規制に反抗

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全米のBitcoin(ビットコイン)ファンが、共通の敵である米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)に対抗して結集している。

Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領の側近の1人であるSteven Mnuchin(スティーブン・ムニューチン)米財務長官は感謝祭以降、バイデン政権が2021年1月20日に就任する前に、いくつかの暗号通貨規制を押し通すために残業を続けている。

FinCEN声明では、金融規制を設ける理由について、テロ資金調達、制裁回避、麻薬や武器の闇取引を抑制する目的があると例のごとく列挙しているが、今回のような異例の緊急性(Coin Centerサイト)を正当化する新たな根拠については一切言及していない。

これらの規制案には、暗号通貨の取引所に、個人のウォレットに送信された3000ドル(約31万円)以上の取引を含む記録を保存し、さらに1日で1万ドル(約104万円)を超える価値の取引を行ったユーザーをFinCENに報告することを義務づける提案(The Verge記事)が含まれている。比較のために挙げると、銀行は1万ドル以上の現金引き出しがあると米国内歳入庁に報告しなければならない(Zacksのサイト)が、銀行システム自体の中で処理を行う必要はなく、顧客がシステムから引き出した現金をどこで使うかを監視する義務はない。

さらに、補足的なFinCENの声明(CoinDesk記事)では、米国人が外国のサービスプロバイダーで保有している暗号通貨の価値が1万ドルを超えた場合も、報告を求めることが提案されている。この2つ目の新提案は詳細がまだ漠然としているものの、財務省が数千ドル(数十万円)の価値に相当するビットコインを扱っている人について、顧客情報の把握に特別な注意を払いたいと考えていることは明らかだ。

電子フロンティア財団は、これを令状や疑惑なしに「より多くの金融監視を推進するもの」として、懸念を表明している(ビットコインのユーザーは、他の資産と同じように、すでに保有額を税務上申告する義務がある)。このように、6万5615人を超える暗号通貨擁護者が、FinCENに批判的な声明を提出した。その中には、Fidelity(フィデリティ)やSquare(スクエア)などの企業も含まれる。Squareの声明によると、同社は「当社のサービスに加入していない、または当社の顧客としてサインアップしていない人々『受取人』について、信頼性の低いデータを収集しなければならなくなる」と述べている。

ワシントンD.C.の非営利団体Coin Center(コイン・センター)は声明を発表し、この提案はまた、ユーザーが取引相手やネットワーク運営者を知らない可能性がある分散型サービスへの米国人のアクセスを制限するだろうと述べた。

Coin CenterのリサーチディレクターであるPeter Van Valkenburgh(ピーター・ヴァン・ヴァルケンバーグ)氏は、他の金融機関よりも多くのデータ収集要件を暗号通貨企業に課す規則に対して、通常の60日間のコメント期間ではなく、15日間のコメント期間しか認めなかったことからも、この提案は非常に異例であるとTechCrunchに語っている。

「この規則は、暗号通貨の取引所に、取引相手の名前や物理的な住所など、現金取引では必要のない余計な情報を収集し、保持し、報告することを求めるものです」と、同氏はいう。「今のところ我々がわかっている限り、新政権に移行する前にこのプロセスを完了させるスケジュールになっています。つまり、この規則が確定するということです。新政権が新しい規則を発令し、過去の規則を覆すことは可能ですが、それははるかに困難なプロセスです」とヴァン・ヴァルケンバーグ氏は語った。

2021年1月の第1週に就任したCynthia Lummis(シンシア・ルムミス)次期上院議員は、米財務省がこのように異常に短いコメント期間を設けているのは「ばかげている」とツイートした。同様に9人の議員が、冬休みを利用したこの早計なルール作りがプロセスの正当性を損なっていると警告する書簡を発表した。

これらの提案は唐突というだけでなく、調査が不十分と思えるほど曖昧なものでもある。Square Crypto(スクエア・クリプト)の開発者であるMatt Corallo(マット・コラーロ)氏とMIT Media Lab(MITメディアラボ)のディレクターであるNeha Narula(ネハ・ナルラ)氏は、FinCENの提案はビットコインのアドレスがどのように機能するかについての基本的な技術的概念を混乱させるとの声明を発表。そのため、このような規制を実施することは難しく、法外に高いコンプライアンスのための注意事項は、米国の企業に負担をかけることになると述べた。

「政治的な動機を見極めるのは常に難しいですが、公衆の噂では一貫して、これはムニューチンによる個人的な後押しであり、それ以上でも以下でもないことが示されています」とコラーロ氏は述べている。「Jane Yellen(ジャネット・イエレン)次期財務長官の発言やFinCENの新しいリーダーシップがどうなるかによって、我々は今後の数年間がどのようなものなるか、多くを学ぶことができるでしょう。イエレン氏が決められることはたくさんありますが、有益で実用的な規制を構築する仕事で、ムニューチン氏の土壇場の試みよりも悪いことにはならないでしょう」。

ヴァン・ヴァルケンバーグ氏は、トランプ政権が立法プロセスに従わない場合、Coin Centerをはじめとする暗号通貨業界の団体は、法廷で判決に異議を唱える準備ができていると述べた。すなわち米財務省は提出されたパブリックコメントを、この独善的なルール形成者たち自身が設定した日付の2021年1月7日までにすべて読み、検討する必要があるということだ。

「財務省はその後、すべてのコメントを考慮したと最終規則を発行する権限を、法律上は持っています」とヴァン・ヴァルケンバーグ氏はいう。「しかし、もし彼らがすべてのコメントを考慮しなかったことが明らかであり、新政権が発足する前に確定的な規則が公表されたと感じられたら、すべてのコメントを読んで考慮するという要件が満たされていないと法廷で主張するのは非常に簡単でしょう」。

現在の状況だと、現政権は次期政権に「混乱」を「背負い込ませる」つもりのようだと、ヴァン・ヴァルケンバーグ氏は語った。

【Japan編集部】本稿を執筆したLeigh Cuen(リー・クエン)氏は、ViceやBusiness Insider、Newsweekなどに寄稿しているニューヨーク在住の記者。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Bitcoin暗号資産 / 仮想通貨コラム

画像クレジット:ismagilov/iStock / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)