ユニコーンの公開市場での高い評価、何に価値があるのか誰もわからない

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今週もまたユニコーンになったスタートアップが株式を公開し、評価額が急騰するのを見ることとになった。すでにIPO価格で注目されていたが、これほど多くのユニコーンが公開市場で高額な評価を得ているのを見ると、一体誰が誰の価格をつけ間違ったのだろうと疑問が湧いた

まあそれは好みの問題であり、言葉の定義上の議論であり、コップの中の嵐なのだが。それよりも重要なのは、正確にいえば、一体何に価値があるのかを知っている人が誰もいないということで、それが多くの人を金持ちにしたり、頭に血を上らせたりしている。

これは新しいテーマではない。私は何年もそのことに触れてきたが、私たちにとって今、大切なのは企業の評価に対しては3つの明確な区分があり、その間のギャップは縮まるようには見えないということだ。そうしたギャップが広がったという人もいるだろう。

区分1は民間資本群だ。これは、2020年9月のラウンドでAffirm(アファーム)を1株あたり19.93ドル(約2070円)と評価したり、2020年2月にはRoblox(ロブロックス)を40億ドル(約4152億8000万円)と評価したような一群だ。今ではAffirmには1株あたり116.58ドル(約1万2000円)の価値があり、Robloxには295億ドル(約3兆627億円)の価値がある。すごい話だ。

区分2は長期公共投資群だ。IPOの価格設定という文脈で重要な役割を果たす一群だ。彼らは民間資本の関係者よりも、より多くの資金をスタートアップに投下したがる。このグループにとってAffirmは、1株あたり20ドル以下では価値のないものだったが、わずか数カ月後には1株あたり49ドルの価値を持つものとなった。すごい話だ。

区分3は、/r/WallStreetBets(Redditの株式サブグループ)や、Twitterでミームストック(若者に人気の高い価格の不安定な株式)やフィンテック関連で暴れまわる連中のような個人投資家の一群だ。見ている分にはとても楽しいが、連中にはラスベガスで500ドル(約5万円)だって貸そうとは思わないだろう。彼らは、たとえばTesla(テスラ)のような特定の株式に、際限もなく資金を注ぎ込むことを良しとしている。それはしばしば保守的な公的資金よりもはるかに多くの額となる。個人投資家からの需要によって、需給曲線が完全に狂い、新規上場企業の価値が大幅に増幅することがある。Poshmark (ポッシュマーク)が公開初日に高かったIPOの評価額を2倍以上上回ったのはこれが理由だ。

現在、ほとんどの投資家たちはうまくやっている。区分3の価格を払う気のない区分1は、区分2を非難しがちだが、結局民間資本の人たちは単に儲けを他のグループと分け合うつもりがないので文句をいっているように聞こえる。

ともかく、誰が何に本当の価値があるのかを知っているのだろう?最近、投資経験を持つアーリーステージの創業者と、ソフトウェア企業(公開未公開は問わない)の価格と、それが意味を持ったり持たなかったりする理由に関してチャットを行った。彼がいうには、銀行の古い評価モデルでは、ソフトウェア企業の成長は時間の経過とともにゼロになると推定されており、SaaS企業が利益を上げることは稀だとされていたのだという。どちらのコンセプトも間違っていたので、価格が上昇した。

しかし、これまでなら翌年の収益の10倍で評価されていたであろう企業が、なぜ今は中央値で18.1倍の評価を受けることになったのかの理由を、私は誰にも説明してもらえていない。私が知っている、現状を説明するための理論のどれもが、これは正気の沙汰ではないし、誇大広告ではないレンズを介して理解できる価格ではないといっている。

(もし私が間抜け野郎だと思うなら、メールでの説明をお願いしたい。世界がまたまともに動き始めたら、評価に対する最高の説明をしてくれた人にコーヒーをごちそうしよう)。

マイルストーンとメガラウンド

重要なマイルストーンを見ると、いくつかの企業が未公開市場を離れて、新規公開クラブへの入会が行われたにぎやかな週だった。特に、高価格で取引が始まったAffirmとPoshmarkはそれを代表している。そしてBumble(バンブル)は株式公開を申請した。彼らはIPOの良いタイミングを狙っているようだ。

しかし、私の目に留まったマイルストーンなども含み、まだまだたくさんのことが起こっていた。フィンテックの多くのシナリオを1つのサービスにまとめるスタートアップのM1 Finance(M1ファイナンス)は、今週の運用資産残高(AUM)が30億ドル(約3兆1000億円)に達した。2020年2月に10億ドル(約1兆円)に達した同社のAUMは、2020年9月には20億ドル(約2兆円)に達していた。

なぜこれが気になるのか?同社は以前、AUMの約1%に相当する収益を得るように運用しているとTechCrunchに対して語っていた。もしその割合が2020年10月のシリーズCを経てもまだ続いたとするならば、同社は半年未満で、年間経常収益(ARR)として約1000万ドル(約10億円)を追加したことになる。この収益を生み出すペースは私の注意を引き姿勢を正させた(中西部のことに対して決して発信をやめないJosh Inglis[ジョシュ・イングリス]氏に感謝したい)。

しかし、私がM1 Financeのことを持ち出したのには、別の理由がある。私は特定の市場の深さにずっと驚かされ続けている。今なお成長を続けるネオバンクであるOKRソフトウェア市場の意外な深さ、そして多くの現職企業や資金力のあるスタートアップが存在する市場での、M1の残高獲得能力だ。

だからこそ価格が意味をなさないのかもしれない。もしTAM(獲得可能市場)の限界が見えないならば、どんなものでも価格が高くなってしまうのだろうか?

続いて、今週の重要なことについて、いくつか簡単に眺めておこう。

  • GitLabの評価額は現在60億ドル(約6232億円)になった、2020年の年間経常収益は1億5000万ドル(約155億8000万円)に達した。直近の四半期では、前年同期比75%増となっていると推定される。
  • フィンテックスタートアップのLendingPoint(レンディングポイント)が、非公開の評価額の下に1億2500万ドル(約129億8000万円)を調達した
  • ニューヨークに拠点を置くPaige(ペイジ)は1億ドル(約103億9000万円)を調達した。コンピューターを使った診断を支援する。

VisaとPlaidの契約破談にVCからひと言

Mercury Fundのマネージングディレクターでありテキサス州支持者である(Twitterハンドルより)Aziz Gilani(アジズ・ギラニ)氏が、Visa(ビザ)によるPlaid(プレイド)買収交渉が破談に終わった件について、投資家としての意見を記事として寄せてもらえた。この契約に対しては、米法務省が独禁法の懸念から訴訟を起こしていた。完全版はこちらで読める

記事の一部を以下に少し紹介しておこう。

PlaidとVisaの契約が破談になったことから得た大きな教訓は、2021年には何もかもがこれほど速く変化するのかということです。直接上場やIPOを上回るSPACの最大の利点は、これらの流動性の高いイベントをいかに早く完了できるかということです。評価額が週ごとに変化する世界では、米司法省による遅延は取引を台なしにしかねません。たとえ米司法省が最終的に法廷で敗訴したとしてもです。

私は哲学として政府が自分たちの意志を押しつけることは受け入れられませんが、現在のスタートアップ反乱軍の波が、世界のFAANG(ファング)たちに食い荒らされないことも個人的には願っています。ここ数年、多くのスタートアップ企業が「迅速なエグジット」というメンタリティの犠牲になっています。それはMint(ミント)があれほど早急にIntuit(インテュイット)に売却されたことにも象徴されています。迅速で安価な資本が自由に利用できることで、現在のスタートアップたちは大きく成長しているのです。

注目していく価値はあるだろう。

その他いろいろ

なんという1週間だったのだろう。ここでご紹介できるのは少しだけだ。いろいろと注意をそらされて、情報を入手できなかったアーリーステージラウンドもあるが、ひと通り紹介しておきたい。

  • Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)はMarcus(マーカス)にMarqeta(マルケタ)を選んだ。もしこの言葉の意味がわかるなら、これが重要なことだとわかるだろう。そうでないのであれば、気にせず人生を謳歌しよう。
  • Nayya(ナヤ)は、VentureBeatが「保険金給付管理プラットフォーム」と呼ぶものに対し、Felicis(フェリシス)からの資金も含めて1100万ドル(約11億4000万円)を調達した。
  • Minna(ミンナ)は、Tech.eu(テックeu)が「サブスクリプション管理アプリ」と呼ぶものに対して、1550万ユーロ(約19億5000万円)を調達した。
  • Muniq(ムニーク)は、血糖コントロールに役立つシェイクを販売するために、シリーズAで820万ドル(約8億5000万円)を調達した。
  • TechCrunchからはさらに2つのハイライト、素敵なCrossbeam(クロスビーム)ラウンドMoss(モス)へのさらなる資金提供が報告されている。

では今回はこのあたりで。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:IPO

画像クレジット:Nigel Sussman

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(翻訳:sako)