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The TechCrunch Exchange(連載)

金持ち連中はなぜくだらない資産をやりとりしているんだ?

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大変な数週間だった。Robinhood(ロビンフッド)が、荒れ狂う市場の中でその手数料無料モデルを維持するために新しい資金調達を行い、他の新興取引業者たちはそのビジネスモデルを変更し、さらに多くのことが起きていた。しかし、こうしたスタートアップの世界の中に、どうにも腑に落ちない動きがあった。なぜ一部のお金持ちたちは、下らない資産の取引をしているのだろうか?

個人投資家が自分の取引アイデアを実践するのは構わない、これまでもそうだったし、これからもそうだろう。いつになっても変わることはない。しかし私たちは、Elon Musk(イーロン・マスク)氏やChamath Palihapitiya(チャミス・パリハピティヤ)氏のような人たちが、彼らの幅広い市場への影響力を利用して、一般の人たちに対して直接的または間接的に、愚かな取引を奨励しているところを目にしてきた。それは多くの一般人には、失っても構わないとはとても言えない額の損失が出るかもしれない取引だ。

たとえばマスク氏が繰り返しTwitter(ツイッター)に登場してはDoge(ドージ)を称賛することを考えてほしい。Dogeは極めて不安定でほとんど価値を持たない冗談のような暗号通貨の1つだ。あるいは、パリハピティヤ氏が公にGameStop(ゲームショップ)にお金を注ぎ込んだことを考えてほしい。彼は他の人たちよりもより良く準備を整えてそれに臨んだ。彼はそうして金を稼いだ。だがGameStopカジノをプレイした人の多くは、それほど幸運ではなかった。多くの人が余剰資金以上の損失を出している。

もちろんそれは買い手の自己責任だ。しかし私は、抜け目がなく資本力もある人間が、普通の人たちを、長期的なファンダメンタルズに裏打ちされていない、短期的リターンを狙った資産に誘導するのは好きではない。やれやれ。

そうそう、公衆への迷惑というテーマといえば、Hawley(ホーリー)上院議員は先週、大手ハイテク企業による中小企業の買収を阻止するアイデアを発表し、注目を集めている(同議員はトランプ元大統領支持者で先の米議事堂での騒乱にもひと役買っている)。さすが反乱に寛容な議員さんだけあって、とてつもなくまじめな提案というわけではなく、ユーモラスと言えそうなほど曖昧な書き方がされている。

しかし、私の個人的なブログで書いたように、大抵はうんざりさせるようなこの政治家から出てくる意見の何が問題なのかといえば、大規模なハイテク企業による小さい会社の買収を制限しようとする動きに、超党派的な関心があるということなのだ。スタートアップにとってこれは良い報せとはいえない。M&Aによるエグジットはスタートアップにとって重要な流動性イベントであり、最も多くの資金を持っているのは大企業だからだ。

スタートアップの評価額が下がることは、うれしくはない。だが米国の民主党と共和党の一部が、トップダウン形式のテックM&Aを弱体化させようとしていることは注目されているものの、その動きがスタートアップの評価額や資金調達に何をもたらすのかについてはほとんど注目されていないと思う。もしそうした指標が低下した場合には、大企業に対抗しようと働くスタートアップの数が減る可能性がある。

よく考えよう。

マーケットノート

Exchangeは、再びUnity(ユニティ)CFOのKim Jabal(キム・ジャバル)氏に話を聞いた。それは単に好きなゲームや、嫌いなゲームについて冗談を言い合うためだけではなく、彼女が入社したときには非公開で今は公開された同社の財務責任者として、ジャバル氏がどのように考えているかを把握しておきたかったからだ。その中からいくつかご紹介しよう。

  • GAAPと非GAAP:直近の第4四半期の純利益についての質問を行った。これは、 一般に公正妥当と認められた会計原則(GAAP)を使って計算したものだ。それは株式報酬費用にある程度影響を受けている。ジャバル氏は、彼女のチームや投資家が非GAAPの数字をより重視していることを明言した。なぜかって?それが株式報酬費用のような非現金費用を取り除き、企業業績に異なる視点を提供するからだ。これはスタートアップのやり方としては標準的だが、彼女のコメントは、会社がIPO後に急速に成長していたとしても、使い慣れた数字を使い続けてなんの問題もないことを示している。もし成長が鈍化すれば、きっと変わることになるだろう。
  • COVID: 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はこの先影響があるのだろうか?ジャバル氏によれば、彼女の会社が過去エンゲージメントの上昇を見たときには、結果的には以前の状態には戻らない傾向があったという。私はこれが、スタートアップやビッグテック企業の中の、新型コロナで加速されたすべての部分に当てはまるかどうかを知りたいと思う。もしそうであれば、非常に朗報だ。
  • 数字を把握しよう:ジャバル氏は、彼女の主要な指標は非GAAP営業利益率とフリーキャッシュフローであると語った(成長以外の数字では、と私からつけ加えておこう)。超明快で理解しやすい。スタートアップのCEOのみなさん、最新ラウンドについて話をするときには、同様の数字を用意していてほしい。

スタートアップといえば、私が注目していて最近増資をした会社の話をしよう。Deepgram(ディープグラム)という会社だ。私は、2020年3月に1200万ドル(約12億6000万円)を調達した同社のシリーズAを取材した。それが今回はTigerの主導でさらに2500万ドル(約26億3000万円)を調達しているので、これは大金がアーリーステージに投資されているおもしろい事例だと思う。ともあれ、Deepgramは音声認識の特定のモデルとその市場に賭けていたし、新しい投資は、その双方への賭けがうまくいっていることを意味している。

最近私はDatabricks(データブリックス)のCEOを話をした(最新のメガラウンドについてはこちら)、彼はAI、特にGAN(Generative adversarial networks、敵対的生成ネットワーク)NLPなどから得られた大きな利益について語った。私たちの読みは、AIやそれに類似したデータへのアプローチ方法がワークフローに浸透していくにつれて、さらにDeepgram的ラウンドが増えることが予想できるというものだ。

そして、フィンテック企業のPayoneer(ペイオニア)が上場されることになった。SPACを使ってだ。投資家向け説明会の内容はここから閲覧できる。Payoneerは、収益を上げないままSPACを経由して上場するわけではない。同社の2020の収益は3億4600万ドル(約364億6000万円)になると予想されている。ここで取り上げたのは2つの理由からだ。まず、スライドを読んでほしい。そして「なんでSPACのスライドはこうも読みにくいのだろう?」と自問してほしい。私には意味がわからない。そして次に、「なぜ彼らはこれまでのようなIPOを行わないのだろう?」と自問してほしい。数字は32ページと40ページに書かれている。私には理由がわからない。もし何かわかったら教えてほしい。もっとも良い答えを送ってくれた方には、イーロン・マスク氏お勧めのDogeコインを差し上げよう。

その他のことなど

最後に。TechCrunchが注目アプリに関する新しいニュースレターを発行する。書くのはSarah Perez記者だ。申し込みはここから。無料だ。

何か新しい曲を聴きたいときには、こんな曲はいかがだろう。ではまた。

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画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)